テレビのニュースキャスターであるレベーカは、マドリッドの空港で、子供の頃に別れたきりになっている母親を待っていた 彼女の母親ベッキー・デル・パラモは人気歌手で、15年の間メキシコに住んでいたがスペインに帰ってくることになってきた
こちらは1991年制作の スペイン フランス の合作映画です(112分)
こちらのブログでは「ジュリエッタ」「私が、生きる肌」「バッドエデュケーショ
ン」 他にもと、ご紹介の多い ペドロ・アルモドバル監督 の映画で、長らくDVD化
されていなかった作品でしたが、今回 T〇UTAYA の発掘良品にて登場 早速レンタ
ルいたしました。当然、アルモドバル作品という事もありますが、長年鑑賞したかっ
た大きな理由としては、この映画の音楽を 坂本龍一 が担当しており、このコラボを是
非観たいと思っていたからです いざ鑑賞してみての音楽の感想ですが、「レヴェナ
ント」 同様 ここに坂本あり~!といった下品に目立った事はせず、あくまで作品をリ
スペクトした仕事ぶりでございまいた
映画自体は、アルモドバルお得意の母娘の愛憎劇となっておりまして、舞台はマ
ドリード 往年の人気歌手ベッキー・デル・パラモ が15年振りにメキシコから帰国
それを出迎える娘のレベーカ 彼女は、母の昔の恋人マヌエルと結婚して、今は夫の
経営するテレビ局の人気キャスターになっていました
到着したベッキーは、昔住んでいたアラミーヨ広場の地下アパートに住む事にします
そこに偶然貼られていた、ベッキーを真似たゲイのレタルのショーのポスターを見た
二人は マヌエルを誘いショーを見に行くことに、、、ショーが終り、レベーカ
は一人レタルの楽屋を訪ねますが そこで二人は結ばれてしまいます
一方、旦那のマヌエルはベッキーに、レベーカとの愛が終わったことを告白するので
した。 それから一カ月後、何者かによってマヌエルが銃で胸を撃たれ殺されます
レベーカとベッキー、そしてマヌエルの愛人イザベルが容疑者として挙げられ、尋問
を受けます レベーカは、マヌエルの死のニュースを読んでいる時、突然 涙ながらに
自分の犯行だと告白を始め逮捕されます
事件を担当するドミンゲス判事の手引きで母と面会したレベーカは、母への複雑な思
いをまくし立て、倒れてしまいます なんと彼女は妊娠していました 証拠不
十分との理由で釈放されたレベーカは、ドミンゲス判事が、ゲイのレタルその人であ
ることを知るのでありましたが、、
本作は、自分の人生を選んだ母親の娘への贖罪と、母親への歪んだ愛情を成就させよ
うとした娘の葛藤の物語です アルモドバルが好んで使う 赤 という色が、本作の画
面の中に常にどこかしらに差し込まれています それは親子の血であり、情熱、激情
を感じさせます。
衣装に至っては、おもいっきり CHANEL や ARMANI といったブランドが画面
を彩っております 当然ながらゲイの方々も登場し、ショーやダンスといったサービ
スも披露してくれています しかし、あちらのゲイの方は肩幅が広くて大きいのであ
りますな~ 映画はミステリー的な要素を含み、え~ っという展開になっていき
ます ちょっと ヒッチコックやデパルマのようだったりしますが、アルモドバルはそ
こをサラッと受け流して、母親と娘の長い時間を隔てた確執をやや歪んだ形で幕引き
させます というか、登場人物全てが歪んでいるのでありますが、、、最後のレベー
カはちゃっかりしていましたがね
とにかくアルモドバル監督は女性を描く事に長けている監督だな~とつくづく感じる
私でした。エンドクレジットで流れる 坂本龍一のテーマ曲が、二人の母娘の心情を補
足しているようにも聞こえる、映画のルックスとはやや違った曲調で、見事な余韻と
なっておりましたです
映画のラスト 病院のベッドに横たわる母親に、町を行く女性の足元を見ながら、レ
ベーカが 「ママといた子供の頃、ママのハイヒールの音が寝室を出て 廊下に消えるま
で眠れなかった、、その時からいつかヒールの音が戻るのを待っていたのよ、、、」
と語りベッドの上の母親を抱きしめる場面に全てが象徴されているようでした ハ
イヒール 自立した女性の象徴であり、レベーカには母親の象徴だったのでしょう
アルモドバルの描く、こんな母娘の物語に興味が湧きましたら、一度ご覧になってみ
て下さいませです
では、また次回ですよ~!
そして、言わずもがなで、ある素材で作った本作の音楽映像です 宜しければです