1954年から62年にかけ、アルジェリアで起こった独立戦争を描いた作品 1954年の11月、仏領アルジェリアの都市カスバで、アルジェリアの独立を要求するアルジェリア人たちが暴動を起こした。これをきっかけにアルジェリア全域で暴動や時限爆弾を爆破させる事件が多発し、その状況を重大視したフランス政府は、マシュー将軍率いるパラシュート部隊をアルジェリアに送り制圧しようとする
こちらは1966年制作の イタリア、アルジェリア の合作映画になります
この年の ヴェネチア国際映画祭 で金獅子賞を受賞した作品でございます
賢では無い わたくしでありますが、今作はフランスの支配下であったアルジェリア
で起こったアルジェリア戦争において FLN(アルジェリア民族解放戦線)の活動と
フランス軍 との攻防を描いた作品です この作品の特異な所は、戦争を描いてい
るのですが、戦闘機からの空爆や、戦車での爆撃という「戦争映画」の醍醐味ともい
える場面は、ほとんど登場しない所であります では何が描かれているのか?という
と、FLN という一部のアルジェリア人によって結成された地下活動を、彼等の目線
側で描かれております
今作の原作となった小説を執筆した人物は、実際にFLNに所属し活動していた人物
であり、映画化にあたって、監督達は当時の資料、当事者へのインタビューを行い、
徹底的なリサーチで当時の出来事を再現する事にこだわった作品になっています
それによって映像は ドキュメント映画 を観ているような リアリティ が画面を通して
伝わってきます 主要の一部俳優以外は素人で、エキストラは地元の人々を出演させ
ている事も効果的に働いて、彼等の表情や、動きはリアル以外の何物でもありません
街を俯瞰で撮った画や、人物のアップの画から醸し出される説得力は圧倒的です
通常 弾圧されている アルジェリア 側の視点で撮られている為、彼等側に感情移入さ
せる演出がなされる訳ですが、フランス に抵抗する為の行為として、無差別テロ 活動
を行い、カフェや空港ロビーに女性が、時限爆弾を置き (このシーンは映画的にとて
も スリリング で見応えがあるのですが、、、)フランス の子供、女性も巻き込む爆
破によって、多大な一般市民の犠牲者を出す事になります テロ とはそういう物でし
ょうし、行う側としては、それを理解した上での意思表明なのでしょうが、あまりに
悲惨で非情な行為です
フランス 側も、地元の市民に対する 弾圧と不当な扱い、不信と思われた人物に対して
の非人道的な拷問と破壊行為 それに対する FLN の報復と、、憎しみの負の連鎖が
起きる実体をまざまざと体感させられます つまりこの作品では、弾圧する側、され
る側、どちらにも私達は加担させる事を拒むような作りになっています それがより
この映画を優れた物にしているのではないでしょうか
後半 FLN の重要人物達は捕らえられたり、家族もろとも家ごと爆破されたりと、組
織は壊滅させられるのですが、数年後、市民達の運動によって、ついに独立を果たし
ます このラストの群衆のシーンには驚きます あたかも実際のニュース映像を
観ているようです。これ自体は過去の アルジェリア で起こった出来事ではありますが
現在も別の場所で起こっていると思うと、人間の学習能力って、、とも思ってしまう
のであります ただ、自分の家族が誰かに命を奪われたら、多分、、いえ、きっと私
は復讐しようと思うでしょう 悲しいかな、やはりそれが人間なのかも知れません
島国、日本で良かった、と無情ながら思ってしまう わたくしだったのでした 音楽は
御大のエンニオ・モリコーネ が担当していて映像を盛り上げておられます
女性は、この手の 「戦争」 を題材にした映画は苦手な方もいらっしゃるかと思います
が、この機会にでも是非ご覧になってみてはいかがでしょうか
では、また次回ですよ~!