八王子で残忍な夫婦殺人事件が起こるが、犯人の行方は杳として知れず、整形して日本のどこかで一般の市民に紛れて逃亡生活を送っていると見られていた。事件から1年後、千葉・東京・沖縄に素性の知れない3人の青年が現われる。歌舞伎町の風俗店で働いているところを発見され、千葉の漁港で働く父・洋平に連れ戻された愛子。漁港にふらりと現われ働き始めた青年・田代と恋に落ちるが…。東京の大手通信会社に勤めるゲイの優馬は、クラブで出会った直人を気に入り家に連れ帰るが…。母に連れられ、東京から沖縄の離島に引っ越してきた高校生の泉は、無人島に1人で住みついている謎めいたバックパッカー田中に心惹かれていくが…。そんな中、TVでは1年前の事件に関して逃亡中の犯人の情報を求める公開捜査番組が放送されていたのだが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2016年公開の 東宝映画 になります 日本

 

時には日本映画の、それも新作を観なきゃな~と思い、チョイスしたのが今作であり

 

まして以前 「告白」 をレンタルした時と同じ、私だけの嗅覚に引っ掛る 「匂い」 を

 

感じたものですから、内容もちゃんと確かめずに借りてみた次第です

 

 

 

 

新作系の日本映画に若干の抵抗があるのには理由がありまして、始まって30分位、

 

映画の世界に入るのに時間がかかってしまうのであります テレビのCM等でしか見

 

ない方々 (商品持ってニッコリ的な) を、映画の中の主人公だと自分の脳に言い聞か

 

せる、という時間がかかってしまうのであります で、この「怒り」という映画、や

 

はり自分の嗅覚を信じて良かった!という作品でありました同名小説の映画化であり

 

ますが、無論 原作を読んでおりませんので、映画のみの感想でしかないのですが、、

 

 

 

 

映画は 東京の八王子で起こった残虐な、夫婦殺人事件から始まります この犯人は

 

現場に 「怒」 という血文字を残し、顔を整形して何処かへ逃走しています ランニング

 

その1年後、千葉 東京 沖縄 の3つの場所に、それぞれ身元不詳の男が現われ、そ

 

の男と出会った人間とのドラマが描かれていく事になります つまり、それぞれ別の

 

男が絡む3つのストーリーを見る事になるのですが、この3人の中の誰かが逃亡中の

 

犯人なのか?というこちら側の心理を上手くくすぐる演出がなされています

 

 

 

 

そして、このストーリーは紛れもなく 「市橋達也」 の事件と、それに付随して流れた

 

噂が元となっている事は明らかであります (整形、沖縄の無人島、バスタブ、日雇い

 

労働、噂のゲイに身体を売って等) 他にも 八王子のスーパー強盗、世田谷一家殺害事

 

件、沖縄の少女暴行事件 等も盛り込まれているものですから、フィクションとノンフ

 

ィクションが上手く絡み合った作品となっております まったく、いやらしい程 ツボ

 

を押さえております (私個人のですが)

 

 

 

 

俳優陣も、それぞれ見事に役をこなしておりまして、人物に奥行と説得力を持たせて

 

います。撮影、編集も凝っていて、暗い殺人現場から、沖縄の美しい海へというカッ

 

トであったり、別の場所での出来事を、生活音で繋いだ編集や、照明を上手く使った

 

心理描写等、素敵です ただやはり映画のテーマ自体重く、観ているこちらも緊張感

 

がある為、鑑賞にはなかなか体力が必要とされます ダンベル

 

 

 

 

3つの場所で起きる事はストーリー上、交差する事なく進み、交わる事はありません 

 

ただ疑惑を持つ男という一点のみが共通するだけです 劇中、整形前の顔と、整形後

 

の顔が映し出されるのですが、その3人を演じた 森山未來、松山ケンイチ、綾野剛

 

の誰とも言えない顔写真の出来が良い塩梅でありまして、微妙に3人共、似ているの

 

では?と思わせる、これは映画ならではの素晴らしい効果でありました

 

 

 

 

この映画のテーマとしては、「人を信じる事が出来るのか?」 という単純でいて、難

 

しい疑問を投げかけてきます 信じた人からの裏切りや、信じる事の出来なかった自

 

分の愚かさと、後悔 それによって生じる 「怒り」 そしてそれは自分に返って来る

 

ものでもあるという事でしょうか ?? 映画を見始めた時は、それぞれ3人の男を疑

 

いの目で見ていたのですが、中盤になると、この3人以外の男が犯人であれば良い、

 

と思ってしまう位になっている自分がいるのでした

 

 

 

 

独特の重いテンションが続き、ラストに沖縄の貫けるような青い海が映し出され、エ

 

ンドクレジットが流れ終わっても、その重い雲がかかったような気持ちは、晴れる事

 

はありませんでした それだけ 「ドスン」 と来る内容の作品でありました 映画序盤

 

から音楽が気になり、中盤で確信に変わったのですが、、、そう、音楽が 坂本龍一 音譜  

 

が担当しておりました これを知らなかったのですが、嬉しい誤算でした ただ、音

 

楽の出来が少し豪華すぎたのでは?、、、と個人的に複雑な思いを感じる私でありま

 

した (普通の方には気にならないと思うのですが、、、)

 

 

 

 

という訳で、中々ヘビーな作品ではありますが、時にはどっぷりとこんな世界に浸か

 

ってみるのも良いかも知れません 時には日本映画も観ねば、と思う私でありました 

 

でも観たいと思わせてくれる作品が無いのですもの、、、スイマセン あせる 宜しけれ

 

ばご覧になってみて下さいませね

 

では、また次回ですよ~! バイバイ

 

 

 

 

 

 

 

エンディングテーマ 「許し」 ショートバージョンだと思いますが 宜しければどじょ~音譜