家庭を持ち、子孫を残すことが義務付けられた近未来。妻に捨てられてしまった男デイヴィッドは街のルールに従い、はずれにあるホテルへと送られる。そこでは45日以内に自分の配偶者となる人を見つけなければならず、見つけられなかった場合は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていた。デイヴィッドは他の参加者と共に配偶者となる人を見つけようとするがうまくいかず、独身者の暮らす森へと逃げ込む。森では独身者のリーダーが決めた「恋愛禁止」のルールがあったが、彼はそれを破り、独身者の一人である"近眼の女"と恋に落ちてしまう、、、
こちらは2015年制作の、ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリスの
共同制作の映画になります 第68回のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞しております
なんとも不思議な作品でして、SF的な近未来の世界感でもあり、シュールなブラッ
クコメディでもあり、現代を皮肉った風刺劇でもあり、愛についてのラブストーリー
だったりします
奇想天外なお話なのですが、独身者を許さない近未来 (特にSF的なセットやCGは
皆無ですが)独身者だけ集められ、45日間ホテルに閉じ込められてパートナーを見
つけなければ動物にされてしまう ( ̄□ ̄;)!! のです 事前になりたい動物は申請し
ておくのですが、主人公のデイヴィットは事前に ロブスター を希望します (これが
タイトルになっているのですが)
ロブスターは100年以上生き、彼自身 海が好きだから、という理由なのですが、、
このホテル内のシーンは、なんとも美しい撮影と照明で撮られているのですが、やっ
ている内容がオフビートな感じで、このギャップがとても不思議なバランスを醸し出
して、ついクスクスと変な笑いを生み出します そして何故か毎日ハンティングの時
間があり、そのホテルの住人同志で、麻酔銃でハンティングし合います、一人仕留め
るごとに1日期日が延期されるという不思議なルールでもあります (異性をハントす
る精神を培うって理由もあるのでしょうかね?)
講義もあって、独身の場合の食事、パートナーの居る食事、など、シュールなコント
のような講義で、いかに独り者は良くないか、を刷り込まれます 嫌気が差したディ
ヴィットはホテルから逃げ出し、森に逃げ込むのですが、そこに今度は独身者が結集
したコミュニティが、ゲリラのように潜んでいて、彼はそこで彼等と行動を共にしま
す しかし、ここはここで恋愛禁止でキスしただけでも制裁が待っているのでした
まるで浅間山荘に突入する前の赤軍の残党のような世界でありまして、女性リーダー
(レア・セドゥ) が怖カッコイイのですがね、、
こんな中、やはり彼はその中の一人と恋愛してしまうのであります (゜д゜;)
さて彼等はどうするのか?どうなってしますのか? というお話になっているのです
が、最後には、なんとも皮肉な行動によって、愛 をまさにつらぬくのでありました
下手にこのお話を映画化すると、もっとB級感の変なコメディに仕上がってしまった
のでしょうが、ちゃんとしたヴィジョンが監督さんにはあったのでしょう、不思議な
空気感の漂う独特の作品になっておりまして、音楽の使い方も絶妙な選曲であります
久しく見ていなかった コリン・ファレル がなんともフワフワした無個性な主人公を好
演していますし、レイチェル・ワイズ ジョン・C・ライリー ベン・ウィショー
レア・セドゥ 等々豪華な出演者であります 脚本読んで、よくOKしたな~とも思う
のですが こんな作品になると分かるものなんでしょうかね?
とにかくなんというか、パートナー、恋人、が居るのが普通で健全である、という考
えもおかしいし、独身でいるにも、ある「枷」が生まれるし、コミュ症だったり、マ
イノリティだったり それぞれの着地点をそれぞれ模索、もしくは着地点も考えず、
ただ流れるままに生きるのも自由で、やはり自由にチョイス出来る事が普通であって
ほしいですなという作品でしょうか?
まぁ、自由や、普通ってのもある程度の義務や、枷 が生まれるのですがね、、、
そんな事も考えさせられる不思議な映画でありますが、ちょっと興味が湧いた方は
ご覧になってみてはいかがでしょうか?そして、貴方なら姿を変えられるなら、どん
な動物をチョイスしますか? 私なら、、、
では、また次回ですよ~!