増村保造、市川崑、吉村公三郎という、大映が誇る三大監督によるオムニバス映画

 

 

 

 

 

 

こちらは1960年 大映制作の日本映画になります

 

 

「耳を噛みたがる女」―― 銀座のキャバレーでホステスをしている紀美は、客から金を巻き上げては株に投資をしていた。紀美を落とせるか友人と賭けをしていた会社社長の跡取り息子の正巳は、彼女をドライブに誘い出すことに成功する。

「物を高く売りつける女」―― 失踪した流行作家の三原は、湘南の海岸で白い肌の女と出会う。数日後、一軒の別荘の前で彼女と再会した三原は、売りに出しているというその家を、彼女ごと買い取ると申し出た。

「恋を忘れていた女」―― かつて売れっ子芸妓だったお三津は、京都で修学旅行専門の宿と、酒場とお茶屋を経営する働き者だ。亡くなった夫の妹が結婚資金を借りに訪れるが、財産を横取りされると思ったお三津は、彼女を帰してしまう

 

 


 

このそれぞれ独立した3つのお話から成る、当時には珍しい、オムニバス作品です

 

 

ハイヒール 第1話 「耳を噛みたがる女」 増村保造 監督 若尾文子 主演

 

 


 

 

キャバレーに努める 紀美 はお金が全て、男をその気にさせてはお金を貢がせています 

 

そんな紀美も、本気で好きになった男性が出来ます、彼も紀美と結婚したいと言いま

 

す 2人はその夜結ばれ、やっと女として幸せな結婚が出来ると思って目覚めた朝、

 

その男性が結婚すると人から聞きます 寝込んでいる紀美の元に彼が駆けつけて、や

 

っぱり俺と結婚してくれと言われますがそれを聞いた紀美は、、、

 

 



当時の東京の街並みを見ているだけでも楽しめます、会話も東京弁とでも言いましょ

 

うか、独特のテンポで、現在でも言葉が変化しているんだな、と感じます 3作の中

 

では一番当時の風俗を見る事が出来る作品で、大人はちゃんとした服装をしていたん

 

だな~と感心いたします 若尾文子さんが可愛らしい小悪魔を演じていて、コメディ

 

風の仕上がりになっております


ハイヒール 第2話 「物を高く売りつける女」 市川崑 監督 山本富士子 主演

 

 



流行作家の 三原は、連載をとばして失踪します 失踪先の海岸で謎の女性 爪子 に出

 

会います 不思議な空気の爪子に心惹かれる三原は、翌日、偶然爪子の家の前で再会

 

します 家に招き入れ、身の上話をする爪子、主人を亡くし、生活の為、思い出の詰

 

まったこの愛しい家も売って、東京に出るつもりだと言います 爪子の気持ちに心打

 

たれた三原は、この家を買っても良いと持ち掛けます、爪子は三原に家を売る事にし

 

たのですが、、、

 

 



そもそもこの作品を観ようと思ったのが、市川崑監督の作品を観たかったからであり

 

まして オープニングから独特な導入と雰囲気があります そして前半と後半が全く

 

違う作品のような展開になるのです、前半はまるでシュールなSFと「雨月物語」を

 

混ぜたような感じで、少々戸惑うのですが、後半はかなり現代的な展開になり、面白

 

い出来上がりになっています 後の 金田一耕助 のシリーズに繋がる、陰影と深みのあ

 

る撮影がもうここで完成されています 三原役に 船越英二 爪子に 山本富士子 であり

 

まして、山本富士子が、まぁ美しく、可愛いのであります 「黒い十人の女」の彼女

 

も良かったですが、こちらも良いですぞ~ (///∇//)


ハイヒール 第3話 「恋を忘れていた女」 吉村公三郎 監督 京マチ子 主演

 

 



老舗旅館に嫁いだ お三津 夫に先立たれたのですが、旅館の他、キャバレー、御茶屋と

 

手広く事業を展開して、仕事一筋で生きています ある日、自分の旅館に泊まってい

 

た一人の学生が事故に遭い、女性教師と残る事になります 疎ましく思うお三津、今

 

度は義理の妹が訪ねて来て、結婚するのでお金を貸してほしいと頼まれますが、将来

 

不安な男との結婚を反対します そんなお三津に 「何でも損得で考えるような貴方に

 

は、一生女性としての幸せなんて訪れないわ」と言われ、はっとするお三津 そんな

 

彼女に、昔唯一愛した男から連絡が入るのですが、、、

 

 



このお話が一番、他の作品に比べて、王道のお話になります 一番落ち着いたと言っ

 

てもいいかも知れませんが、この作品における 京マチ子 さんの存在感が凄いです、美

 

しいのは勿論ですが何とも言えない「凄み」があります これに匹敵する現代の女優

 

さんが、見当たりません こちらのカメラが名匠 宮川一夫 でありまして、観光的な

 

京都ではないのですが、美しいカメラであります 主演以外にも、様々な懐かしい俳

 

優さんの顔も覗けます  o(・_・= ・_・)o

 

 



3作共、60年という時代の作品なので社会に於ける「女性」という立場が、まだ今

 

程確立されていない事もあり、女性の幸せに対する価値観が、今から見ると微妙なず

 

れがあるかも知れません しかし、男性の立場から見ると今も昔も「男」は「女」に

 

翻弄されているのは変わりません「アホ」なのであります、、、( ´艸`)

そして、女性はいつの時代も、たくましい!のですな~! そんなたくましい女性達

 

の生き方と当時の、オリンピック前の日本へ、タイムスリップしてみてはいかがでし

 

ょうか?

では、また次回ですよ~! バイバイ