都内の団地に住むサラリーマンの小川五郎とその妻千代 二人の間に一人息子が生まれ太郎と名付けられる 太郎は両親の愛情をたっぷり受けて、すくすくと育っていく やがて三人は郊外へ引っ越すことになり、祖母と同居することになった。

 

 

 

 

 

 

こちらは1962年制作の 大映映画 日本 です(88分)

 

松田道雄の育児書「私は二歳」「私は赤ちゃん」を原作に、市川崑 が監督、妻で脚本

 

家の和田夏十 が脚色した作品で (衣装考証までやっておられました)  ワンピ  子供視点

 

から、夫婦の日常を描いた映画になっております

 

 

 

 

Movie 映画は、画面に映される ぼんやりとした光の映像に、主人公である生後間もない 

 

太郎ちゃん べび③ (ボク)のナレーション(中村メイコ)から始まります ここで赤ちゃ

 

んが、最初 どのように光や音を感じたり キラキラ 自分の身体や、親を認識していくのかを

 

見せる事で、太郎ちゃん 視点で語られる物語に入り込みやすくなっています 最初は

 

まだゆらゆら動く影にしか見えていなかったものが 母や父となり、ボクが起こす行動

 

に一喜一憂する二人を不思議そうに見ているボクとのギャップが可笑しく描かれます  

 

 

 

 

ボクの母 千代 (山本富士子) と父 五郎 (船越英二) は団地に住む夫婦 会社  初めて

 

の子供という事で ボクのとる行動に非常に過敏  やれ犬に噛まれた、はしかだと大

 

騒ぎ ある日は動物園へ出かけます。ますが、ボクが迷子になって大騒ぎ ここの迷

 

子預かり所で、迷子になった子供達がそれぞれ小言を喋っているのがまた愉快です

 

(ここで市川崑独特の編集が冴えています)

 

 

 

 

秋になる頃、五郎が千代に思わぬ相談をします 長男が転勤に伴い大阪へ引っ越すこ

 

とになり、一人で残る母親と実家で一緒に住んでほしいと言われます 団地暮らしの

 

狭さに不満を持っていた千代は子育てにも良いと考え おばあちゃん(浦辺粂子)の住

 

む一軒家に家族で越す事にします 家  ボクには無条件で優しいおばあちゃんです

 

が、甘やかし過ぎを心配する千代  ボクが咳をした事を心配して もやもや 医者に連れて行く

 

よう千代に言います。が、医者に「心配する事はない」 と薬を貰ってきた千代に不満

 

のおばあちゃんは、注射注射と何件も回って 注射 ボクに注射させる始末 そんなおばあ

 

ちゃんへの怒りを五郎にぶつける千代 ムキー  

 

 

 

 

そんなある日、おばあちゃんと千代は一緒に買い物に出かけます 留守番を任された

 

五郎はテレビに夢中で、ボクから目を離している隙にビニール袋で遊ぶボク 千代達

 

が帰って来てボクを呼びますが返事がありません 慌てて探すと、ビニール袋を頭から

 

被ったボクが廊下で倒れていました 滝汗 千代がすぐに救命処置を行い、何とか一命

 

を取り留めます ひと安心したところで、千代とおばあちゃんは五郎を厳しく咎めま

 

した これを機会に嫁姑はすっかり団結 グー 叱られる五郎にボクは同情します とこ

 

ろがそれからすぐ、おばあちゃんは急逝してしまうのでした 天使   

 

 

 

 

おばあちゃんの死から一か月 ボクがおばあちゃんを探していると、五郎はボクに 「遠

 

いところへ旅行にいったんだよ」 と教えます​​​​ 千代はおばあちゃんの死に責任を感じ

 

ていました そして 「とっても良い人だったわ」 と呟いて泣き出しますあせる  五郎は

 

その言葉に嬉しさを感じます そして 「人間は親、子、孫と続いていく続いていくか

 

ら意味があるんだ」 と語ります。やがてボクの二歳の誕生日がやって来ました ボク

 

が大きな月を見上げると、おばあちゃんの笑顔が月に浮かび上がります 満月 「ボク

 

は大人になるんだ!」 と満面の笑みを浮かべ 映画は幕を閉じます  カーテン

 

 

 

 

そもそも、育児書を基にこれだけの脚本に仕上げ、一本の映画にしてしまうという所

 

からして凄いのですが、それを逆手にとって、自由な映像表現に挑戦している所もま

 

た市川崑の映画の楽しい所です。 ボクの気持ちをナレーションで語らせたり、人形

 

を使ったコマ撮りや、動物園の不規則な編集  ゾウ  羊  しし座  ハサミ 月に浮かぶ 

 

浦部粂子の顔 (月世界旅行か!) と夜空に浮かぶバナナのアニメーション 誕生日

 

のケーキのろうそくを消すシーン  誕生日ケーキ 年輪を重ねる事の大変さと、これから増えて

 

行くであろう ボクの未来を表している幻想的な場面です キャンドル 

 

 

 

 

森永乳業 の協賛で、森永ミルクや牛乳配達員が登場したりという面白さもあります

 

団地住まいの憧れが終わり始め、核家族化が進行した時代 それによって子育てをどう

 

したら良いのか?という迷いが今見ても良く分かり、見方によっては子育てのハウツ

 

ー映画という先駆けの面も持っています  メインの出演者以外にも、団地のママ友

 

で 岸田今日子が独特の存在感で登場してちょっと笑ってしまいます 他にも これまた

 

存在感のある 京塚昌子が千代の姉役でワンシーンだけ出演されていて、映画に多面性

 

をもたらしてくれています。​なんていう事のない、普通の夫婦のお話なのですが、こ

 

のような斬新な切り口で語る事によって、なんとも味わい深い日本の庶民の物語に着

 

地させてしまうのも 市川崑と和田夏十 という黄金コンビのなせる業でありました  

 

あと 山本富士子 さんの美しさたるや、、、です キラキラ

 

 

 

 

様々な問題で、1963年を最後に、映画出演を辞めてしまった事は残念でなりませ

 

ん もし映画を続けておられれば、市川崑の 金田一耕助作品で、誰かを殺す場面を観

 

る事が出来たかも はてなマーク と思うと淋しい限りです (メインはやはり殺人を犯す側ですか

 

らね)  岸田今日子 渡辺美佐子 両氏は出演されておられましたから、、、

 

ボクこと太郎ちゃんが語る? 「粗探しばかりするから大人は不幸なんだ」 という言葉

 

がやけに心に残る映画でありました、、、 機会があればご覧になってみて下さいま

 

せです

 

では、また次回ですよ~! パー