日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。


 




こちらは2014年制作の 日本映画 日本 になります

この年のキネマ旬報で、日本映画の2位に選出された作品でございます

1959年に 市川崑監督 によって映画化された、小説 「野火」 がありますが、こち

 

らの作品は、リメイクというよりは、同原作の、再映画化という物になると思います

 

 

 


この監督さん 塚本晋也 監督という方なのですが、残念ながら、わたくし1本も観た事

 

がないのでありまして、「鉄男」をいつか観ようと、VHS時代は思っていたのです

 

が、我がご近所のT◎UTAYA(それも、意外と大型店舗でありまする)には現

 

在、置いておりませんのであります ( 白竜のVシネは、山ほど置いてあるのに! つ

 

いでに再見しようと、探してみた 今村昌平の 「黒い雨」 も無いとは、、、取り寄せ

 

ると、ここは ¥350 も余計にかかるのでありまして、旧作が、3本も観れるではな

 

いか!もう、これは、この店舗との闘いでありまする!)

 

 



どんだけ貧乏なんだ! (TωT) と、ついついいつもの愚痴が出てしまいました で、塚

 

本作品を初めて観ることになったのですが、まぁ思っていたように、癖が強めの監督

 

さんでありました それはあくまで、技術的な面で、ですが、編集や、対象物の撮り

 

方が、ややオーバー(パワフル?)な感じは、作風なのでありましょうね

 

 

 

 

題材が題材の為、資金が集まらず、ほぼ、自主制作のような状態で製作されたもよう

 

です 軍から見放され、敵が、何処から撃ってくるかも分からない、フィリピンの島

 

で、一人彷徨う田村 (監督自らが演じておられます) 食料も全く無い状況で、次第に

 

理性も失われていきます途中、別の隊に出会うのですが、敵の空襲に遭い、ほぼ全滅

 

になります ここでのシーンは、かなり残酷な描写で映し出されます 腕や足が吹き

 

飛んだ人々や、臓器が地面に散らばっている惨状を、克明に映し出します

 

 



そんなボロボロの人間とは対照的に、ジャングルの自然は生命力にあふれ、青々と美

 

しく画面を覆っています この色から醸し出す生命力は、59年版には描けなかった

 

物であります 最後は、あまりの飢餓状態の為、他の人間の肉を食べるか?という所

 

にまでいくのですが、、、ただ、あくまでそこがポイントではなく、その極限状態に

 

至る、戦争という出来事、いったい何の為にこんな事をしているのか? 入口も、出口

 

も無い、この状況の不毛さと、人間の狂気と人間性とは?をこの作品は問いています

 

 

 


ラストシーン、何とか生き延び、日本に帰った 田村 が、窓越しに、燃え上がる炎の幻

 

影を見ます それは、これから、現在からでも起こる、すぐそこにある戦火の炎に対

 

しての、監督からの警告であり、不安を暗示しているのかもしれません 後は、観る

 

方の好みにもよると思うのですが、画面がデジタルの為、くっきりとした画面で、そ

 

れをリアルと捉えるか、深みが無いと捉えるかでも、印象が違うと思います

 

 

 


もう一つ、DVDでご覧になると、セリフがメチャメチャ小声であります これもリ

 

アルと捉えるか、、、ですが、SEの大きさとの落差が大きいので、セリフを聞こう

 

とボリュームを合わせると、銃撃シーンの音がメチャ大きくなりますのでご注意を!

 

です ヽ((◎д◎ ))ゝ 自然の醸し出す音は、とても効果的でイイ感じですが、音楽

 

は、ちょっと大げさで、私の好みではありませんでした あくまで、「好み」 の問題

 

でありまする 市川崑 版 と、塚本晋也 版 同じ原作で、描き方がかなり違うテイスト

 

の作品になっております 87分という凝縮された今作でありますが、機会があれば

 

見比べてみるのも面白いかとおもいます

 

 



ちょっと関連している感じがある記事があったので、載せてみました ( °д°)

『永遠の0』について、高畑勲監督は「昨今の“良心的な反戦映画”は、家族を守るために戦地へいくことを強調するけれども、それはお国のため、天皇陛下万歳では、今の人が共感できないから、そのかわりに客の同情を得るため」と指摘し、それを“反戦”とするのは「詭弁」であると批判。また、『「永遠の0」を検証する ただ落涙するだけでいいのか』

皆様はどうお感じになられますでしょうか?

では、また次回ですよ~! バイバイ