海から陸上へとあがってきた人魚の姉妹がたどりついた先はワルシャワの80年代風ナイトクラブだった 野性的な魅力を放つ美少女の2人は一夜にしてスターとなるが、姉妹の1人がハンサムなミュージシャンに恋をしたことから、姉妹の関係がおかしくなっていく やがて２人は限界に達し、残虐な行為へと駆り立てられていく、、、
こちらは２０１５年制作の ポーランド 映画 
です （９２分）
アグニェシュカ・スモチンスカ という女性監督の長編デビュー作となる本作は、大ま
かにはアンデルセンの童話 「人魚姫」 を下敷きにしたお話であります
しかし、あくまでも基本のお話の流れであって、かなり大胆に脚色が施されています
時代は１９８０年代のワルシャワ 夜の海辺でバーに出演している３人組のメン
バーが奏でる音楽に引き寄せられ 
姉妹の人魚が海から現れます 二人の容姿
を見て驚く３人でしたが 
彼等の勤めるナイトクラブに出演させる事にします
水から上がると普通に人間の足に変化 
水に濡らすと下半身が人魚に変化すると
いう謎の形態でした。
妹のシルバー、姉のゴールデン の二人はたちまち人気者になります その人間の世
界でお酒やタバコ、お洒落といったものを経験していく二人 妹のシルバーはバンド
のベーシスト ミーテクに恋心を抱き始めますが、「俺にとって君は魚なんだ」 と告げ
られます 
姉のゴールデンは男をナンパして、ひと気の無い場所で、男を襲いその心臓を食べる
のでした 
シルバーとミーテクの関係は、そのままつづいていました
ミーテクへの愛が止まらないシルバーは、ある決断をします それは下半身を人間の
もと移植するというものでした。
手術は成功し、人間の足を手に入れたシルバーでしたが、同時に声を失っていました
人間の下半身になりミーテクと結ばれようとしますが、思わぬ出血が 
それに驚き
途端に冷めるミーテク 
彼の心は離れ、仕事で知り合った女性と付き合い始め、
遂には結婚にまで、、、
二人結婚パーティーの席、笑顔で二人を眺めるシルバーでしたが、そこへゴールデン
がやって来てシルバーにささやきます 「朝までにあの男を食べないと、泡になって
消えてしまう」 と、それを聞いたシルバーは、ミーテクが一人になった
瞬間を見計らい、ダンスに誘います そして互いに抱き合い、チークダンスする
彼の首筋に牙を立てようとするシルバーでしたが、、、
本作をジャンル分けするのは大変難しい作品です ファンタジーであるのは確かです
が、想いもよらぬ ミュージカル場面もふんだんに登場しますし、ホラー的なグロテス
クな表現もあります 人魚の形体は他のどの映画にも似ていないもので、見ように
よっては、艶めかしいエロティックさと、グロテスクな生臭さを感じる見た目です
それは本作のテーマを象徴したもので、人魚はまだ大人の女性ではない少女のメタ
ファーとして描かれています。
無垢の象徴として、人間の世界に放たれた人魚が経験する出来事、初めての月経、初
めてのタバコ、お酒、性的経験、恋愛の妄想 それらによる 「少女の成長物語」 とし
て見る事が出来ます 現代に生きる若者を人魚に例えて、自分たちのアイデンティ
ティの損失や、戸惑い、違和感を描いているように感じました 
かなり独特な映像センスと音楽のチョイスで、少々驚かされますが、同時に非常に
ユニークで、不思議なオリジナリティを感じる映画でございます
以前ご紹介いたしました 「RAW」にも通じる部分が多く、女性監督ならではの世界観
が、今後も 沢山 出て来る事を期待してしまう私でありました 興味が湧きましたら、
是非ご覧になってみて下さいませです 
ではまた次回ですよ～！ 
劇中使用されている音楽のPVでございます 宜しければお聴きくださいまし