横溝正史の原作『瞳の中の女』の映画化で、盗まれた石膏像の首をめぐって起こる連続殺人事件を解決する金田一耕助の活躍を描く

 

 

 

 

 

 

前回の「蘇る金狼」と同時上映だったのが、この「金田一耕助の冒険」でした。 同じ79年の5月に公開された「病院坂の首縊りの家」で一応最後の市川崑版金田一耕助シリーズに対抗する形で公開されたパロディー版の映画でした。

 

 

 

 

 

 

横溝正史シリーズの古谷一行がやっと映画で金田一耕助を演じた作品だったのですが、最初からパロディーものというファンにはちょっと残念な扱いでした(笑)。監督は大林宣彦で、一応「瞳の中の女」という短編小説を軸にお話が進む現代版の金田一耕助の冒険。

 

 

 

 

 

 

ただ、大林監督の最初のコンセプトとして金田一耕助という有名なキャラをパロディーにするだけにとどまらず、監督自身の映画愛が作品内に溢れ出てしまい過去の様々な映画へのオマージュが盛り込まれ、勢い余って当時の時事ネタまで映画のネタにしたものですからもう作品はカオスな世界となっています。

 

 

 

 

 

 

「まだまだ終わらないからね~」と語るテレビCMから感じられる違和感に、金田一好きの私ですら「この映画は何かが違う」という嗅覚が働いたのか、劇場に足を運ぶに至らなかったのでありました、、。

 

 

 

 

 

 

横溝正史作品の最大の魅力であるおどろおどろしさと不気味さを全て排除した、明るくてドライなアメリカナイズされた異色の金田一耕助映画ですが、40年という時間のフィルターを通して俯瞰した視点で再びこの作品を観るとそのユニークな面白さを再確認する事が出来ます。

 

 

 

 

 

 

それでもかなりゆるくて粗いな~と思う場面も多々ありますが、その映像と時代もひっくるめてこのカオスを楽しんでしまう寛容さの先に、この映画の真のミステリーと謎が隠されているのではないかと思ってしまったり、しなかったりするのでした。

 

 

 

 

 

 

ハチャメチャ大林監督映画としてはありなのですが、古谷一行好きとしては正直この金田一耕助はちょっと不憫に感じてしまう私なのでした。

 

 

 

 

 

 

和田誠さんのイラストが素敵です。

 

 

 

 

 

 

等々力警部役の田中邦衛さんを始めとして沢山の素敵な役者さん達が出演しているのも大きな魅力の一つで、横溝正史と角川春樹が共演している自虐ネタは最高です。

 

 

 

といったところで、また次回ですよ~! パー