ウクライナのキーウで生まれたアメリカの前衛映画作家マヤ・デレンが当時の夫と共同で製作した実験映画の代表作 カンヌ国際映画祭で実験部門のグランプリを受賞。

 

 

 

 

 

 

      - Meshes of the Afternoon   -    監督 出演 マヤ・デレン 

 

    こちらは1943年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(14分)

 

 

 

  ウクライナのキーウ出身の映像作家 マヤ・デレンが当時26歳で製作したこの実験的なアバンギャルド映画。 その不思議で不気味な魅力に惹かれて鑑賞してみました

 

 

本作は公開当時サイレントの状態で公開されましたが、後年3人目の夫となった日本人作曲家によって雅楽風の音楽が付けられたバージョンがありますが、そちらはかなり映像に主観的な意図と誤った解釈を誘い、なによりかなり作品にとってノイジーに感じた私は、今回マヤの意図である無音状態(それも作品の一部として)で鑑賞してみました。

 

 

 マネキンの手に握られた一綸の花が下りてきます 手は消え道上に花が置かれます 

 

 

   坂を上がってきた女性が花に気付き、腕を伸ばしてその花を拾いあげました

 

 

 家を訪れた女性は鍵のかかったドアを開ける為、バッグから鍵を出しドアを開けます

 

 

  見慣れた部屋の風景 テーブルの上にはコーヒーとパン光ったナイフがありました

 

 

  女性は暗い階段を上り2階のベッドルームへ、、 風になびくレースのカーテン

 

 

   かけられたままのレコードを止め 窓辺のソファーに座ってうたた寝する女性

 

 

  窓の外に坂を上がる黒装束の人影が見えます 手に花を持ち、顔はまるで鏡のよう

 

 

      女性は後を追いかけますがその姿は消えて見失ってしまいます

 

 

    女性は再びドアを開け家に入ります 階段にはナイフが置かれていました

 

 

2階へ上がる女性 階段は2階の窓に繋がりベッドの上には外れた受話器があります

 

 

    ベッドのシーツの下には光ったナイフがあり、彼女の顔を反射させます

 

 

   受話器を戻すと出て来た窓に吸い込まれます 無重力の迷宮階段を彷徨う女性

 

 

      気付くと部屋のソファーで眠るもう一人の自分の姿を見ます

 

 

 眠る自分がいる窓の外には、花を持った黒装束の影とそれを追うもう一人の自分の姿

 

 

   口から鍵を出す女性 2階に向かう階段を上っていく花を手にした黒装束の影

 

 

  後を追う女性、黒装束の影は部屋にあるベッドの上に花を手向けて姿を消します

 

 

 ベッドには再びナイフが現れ、ソファーの自分、外を歩く黒装束、追う自分を見ます

 

 

 口から取り出した鍵は手のひらでナイフに変わり、手にした女性が家に入ってきます

 

 

          二人の女性はテーブルに座り、ナイフを持った女性を見つめます

 

 

    テーブルに置かれたナイフは再び鍵になり、女性はそれぞれの鍵を手にします

 

 

 しかし一人の鍵はナイフへと変わり、ソファーで眠る女性へと忍び寄っていきます

 

 

    女性の首へナイフが近づいたその時、恋人の男性が彼女を眠りから覚まします

 

 

                 彼の手から鍵が落ち、女性はその手に一輪の花を手渡します

 

 

     女性たちの姿は消え、2階へ上がる彼を追って彼女も階段を上がっていきます

 

 

 ベッドに横たわる彼女 愛撫する彼 次の瞬間枕元にあった花はナイフに変化します

 

 

         女性が彼に向ってナイフを振りかざすとその顔は鏡になりひび割れます

 

 

         ひび割れた鏡の破片は波打ち際に散らばり、波の中へと消えていきます

 

 

    玄関の花を拾い家へ入る男性 ドアを開けて部屋の中を見渡すとそこには、、、

 

 

ついつい難しそうに思えてしまう実験映画という名称ですが、本作には一応のストーリーや展開がある為、比較的観やすくてそこそこ楽しめる部類の作品になっています

 

 

同時に、ああだこうだと考察するのがお好きな方にも十分考察しがいのある作品で、劇中に登場するナイフや花、階段、電話機、鍵といった小道具や表現にフロイト的な解釈でアプローチするのも面白いかも知れません。

 

 

部屋の日常と男と女、そこから生まれる関係性や不安、女性であるがゆえの心理と思考が、日常という世界で不気味なホラー感と得体のしれない緊張で描写された作品です

 

 

難しく構えずに、自ら映像の世界観に溶け込んでしまうのが一番の鑑賞法なのではないかと勝手に思い込んでしまう本作。 

 

 

44歳で亡くなった彼女の遺灰は富士山に散灰されていて、日本との繋がりも感じられるマヤ・デレンの作品をこの機会にでも一度ご覧になってみてはいかがでしょうか、です。

 

では、また次回ですよ~! パー