「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督が、異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。

 

 

 

 

 

 

        -  OLD  -  監督 脚本  M・ナイト・シャマラン

 

出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフ

 

こちらは2021年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(108分)

 

 

 

 

  ガイとプリスカは息子トレントと娘マドックスを連れて、離婚前の最後の家族旅行のため南国のリゾート地を訪れる。トレントとマドックスはホテルに宿泊していた警察官やダンサーと交流し、トレントはホテルのマネージャーの甥イドリブと友人になる。

 

 

 

 

翌日、一家はマネージャーに勧められてプライベートビーチに招待され、ビーチには同じくマネージャーに招待された三組、外科医チャールズと妻クリスタル、娘カラ、母アグネスの一家。看護師ジャリンと心理学者パトリシアのカーマイケル夫妻。人気ラッパーのミッドサイズがいた。

 

 

 

 

休暇を満喫する彼らだったが、浜辺で女性の死体を発見したことで事態が一変する。女性はセダンの知人だったことからセダンが殺人の疑いをかけられ、その間にアグネスが急死し、さらにマドックス、トレント、カラの3人が急速に成長してティーンエイジャーになってしまう。

 

 

 

 

彼らはビーチから脱出しようとするが、ビーチを離れようとすると意識を失ってしまうことが判明する。さらに各家族の少なくとも一人は何らかの基礎疾患を抱えていることも判明する。

 

 

 

 

やがてトレントとカラは恋に落ち、カラはトレントの子供を出産するが、鉱石の影響に順応できずに死んでしまう。悲観に暮れる中、統合失調症が悪化したチャールズがセダンを殺してしまい、脱出に向けた動きが活発化する。ジャリンは海から、カラは崖を登って脱出を図るが、2人とも途中で意識を失い溺死・転落死し、さらにパトリシアが持病のてんかんの発作を起こして死んでしまう。

 

 

 

 

その日の夜、それぞれ視力と聴力を失い始めたガイとプリスカは和解して関係を修復するが直後にガイはチャールズに襲われてしまう。 しかしプリスカによる咄嗟の判断でチャールズは感染症を引き起こして死亡する。

 

 

 

 

一方、マドックスとトレントはビーチで死んだ犠牲者が書き残したノートを発見し、「ビーチを囲む鉱石の影響で急速に老化が進み24時間で一生が終わってしまうこと」「ビーチに閉じ込められた人々は何者かに監視されていたこと」を突き止めるのだが、、。

 

 

 

 

監督の名前だけで求心力のある数少ない監督、M・ナイト・シャマランの新作となる本作。リゾートホテルに訪れた数名の家族が、ホテルの案内でやってきた秘密のビーチでくつろぐうちに異変に気付き始める。 そこでは日常の何倍ものスピードで時間が過ぎていくビーチで、脱出も不可能な場所だった!

 

 

 

 

もうこのアイディアだけで観たくなる設定の上手さ、これを思いついた時点でシャマランの勝利確定という作品なのです。 まぁ元ネタとなるグラフィックノベルはあるようですが、監督に毎回期待されているサプライズやケレン味にちゃんと今回も答えた作品です。

 

 

 

 

海岸で突如発見される謎の女性の遺体から始まり、老人の死、目を離した子供達の異常な成長という怒涛の展開。 ビーチから脱出しようとしても気絶して出られず、自分達が異様な危機的状況に陥ってしまった事に気付いていく家族の恐怖と混乱。

 

 

 

 

そんな混乱の中でも打開策を見出そうとする人物もいれば、疑心暗鬼で暴力的行動に走る人物も出てきたりと、人によって様々なリアクションが起きるというのも興味深いところです。 そうこうしてるうちにもまた子供は成長し、大人達はしわが増えて老化していくという待ったなしの状況がよりスリルを増していきます。

 

 

 

 

そして偶然なのか、3組の家族にはそれぞれ何かしらの病気を抱えた人間がいて、それが短時間で病状が進行していくという所も怖く、小さかった腫瘍が大きくなってその場で取り出す羽目になるという場面では悪趣味な遊び心をくすぐられます。 

 

 

 

 

一番のサプライズは小っちゃかった女の子が目を離していた隙に妊娠していた場面でしょうか人間の一生で起きる誕生から死までが数時間で巻き起こるという現象は正に映画体験そのもので、その現実として起こっている状況とどう向き合うかにそれぞれの個性があり、否応なしに過ぎる時間は人生そのものを凝縮して描いているようです

 

 

 

 

様々なスリラー的な見せ場で観客の興味を惹きながら、ちゃんと親と子供、子供の成長、親と子供の立場の逆転や老化と死、そして家族といった普遍的な人間のテーマを軸にしているのがシャマランの憎い所。 

 

 

 

 

目がぼやけたり耳が遠くなったり、離婚しようと喧嘩していたそもそもの原因を忘れてしまうという老化現象も、この特殊な世界に限らず嫌な事は見えない、聞こえない、忘れてしまうという事すらも自然の摂理に則った、死への優しい手順なんじゃないかとすら思えてしまう演出はちょっとした感銘を受けた程です。

 

 

 

 

「シックス・センス」のヒットによって毎回ある種のレッテルを貼られててしまった感のあるシャマラン監督、今回もその期待に応えるべく一応のラストは用意されていますが、そのサービス精神による説明は好みが分かれる所でもありますが、事細かく説明するラストは微妙に感じました。 あれもサービス精神からくるものなんでしょうね。

 

 

 

 

出演者もなかなか豪華で一番のお目当てだったガエル・ガルシア・ベルナルもそこそこ堪能出来ました。もっとメインで観れるかと思ったんですがね。 他にもその奥さんが微妙でしたが、あの「ファントム・スレッド」のお方。あちらでは魅力的に感じたんですが本作では、、。 「ヘレディタリー」の彼や「ファーザー」のあの人等、地味に豪華でしたよ。

 

 

 

 

そうそう、今作でもネタバラシ人物として監督自らがガッツリ出演されていて、DVD特典では監督のインタビューの他、どうでもいい第二班監督と主題歌を担当している二人の女性の謎のロングインタビューが収められていました。 

 

 

 

 

そのどちらもシャマランの娘さんで、3人共互いの素晴らしさを褒め合っているという映像が10数分入っていてみているこちらは 「もういいぜ!」 の一言。 つくづく色々な意味でこの作品はシャマランのホームムービーだったんだー!という、驚愕の大落ちが待ち構えておりました親バカ怖いです、、。

 

 

 

 

様々な国籍と人種、様々な職種と世代が、限られた時間と場所で、どう行動しそれに向き合うかという人生を縮図化したような本作。 100分程の中でスリルとサスペンス、ホラーといったビックリ要素と、人生と家族の愛と絆も描かれていて、気軽に観るには十分楽しめる幕の内弁当のような 「こじんまりした豪華映画」 となっていますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー