「ザ・スイッチ」

 

「透明人間」などホラー、サスペンスの話題作を数多手がけるジェイソン・ブラムが製作「ハッピー・デス・デイ」シリーズのクリストファー・ランドンが監督を務める異色ホラー。

 

 

 

 

 

 

             -  FREAKY  - 監督 クリストファー・B・ランドン

 

 出演 ヴィンス・ヴォーン、キャスリン・ニュートン、ケイティ・フィナーラン 

 

こちらは2020年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(101分)

 

 

 

 

 

  女子高生のミリーは、片思い中の同級生にも相手にされず、今日も憂鬱な一日をやり過ごそうとしていた。 家では夫と死別し悲しみを紛らわすかのようにアルコールに溺れる母と、警察官の姉との板挟みになり、学校では嫌がらせのターゲットにされるは、教師に目を付けられたりと我慢を強いられる毎日。 

 

 

 

 

親友のナイラとジョシュと一緒にいる時間だけが、ミリーにとって僅かな慰めだったそんなある日の晩、アメフトの応援後に無人のグラウンドで母の迎えを待っていたミリーに、邪悪な影が忍び寄る。 連続殺人鬼ブッチャーが、鳴り響く雷鳴とともにミリーを短剣で突き刺す。間一髪、命を取り留めたミリーだったが、翌朝目覚めると、ミリーとブッチャーの身体が入れ替わっていた。いきなり巨漢の中年男になったばかりか、殺人鬼として警察に追われる身となってしまったミリー。 

 

 

 

 

一方のブッチャーは、女子高生の姿になったことを利用して、ますます凶行を重ねていく事態に。 そんな中、中年男の中身がミリーだとなんとか親友のナイラとジョシュに信じてもらえたものの、24時間以内に入れ替わりを解除しなければ一生元の身体に戻れないと知った状況の中、殺戮を企てるブッチャーからミリーは身体を取り戻すことはできるのか? 女子高生と連続殺人鬼がぶつかり合う、長い長い夜が幕を開けようとしていた、、。

 

 

 

 

みんな大好き「ハッピー・デス・デイ」のブラムハウス製作、クリストファー・ランドン監督の新作ホラー作品の登場です。 基本的な構図は「ハッピー・デス・デイ」とほぼ同じで、女子高生VS殺人鬼という非常にシンプルな定番ホラーなのですが、そこにワンアイディアをプラスしてくるのがブラムハウス作品。 今回も楽しませてくれました。

 

 

 

 

邪悪な呪いがかけられた短剣を偶然手に入れた伝説のオジサン殺人鬼ブッチャーが、その短剣で女子高生のミリーを刺した事で互いの身体が入れ替わってしまうという事から始まるストーリーで、殺人鬼ブッチャー側はしめしめですが、女子高生のミリーにしたらいきなり加齢臭バリバリのオジサンになったデメリットしかない状況を打破する為に、元の身体を取り戻そうと奮闘する事になります。

 

 

 

 

本編のオープニングでブッチャーが登場する場面ではジェイソンのようなマスクを被り、イチャイチャする4人のカップルを襲い始めます。 ワインボトルを喉に押し込んだり、便器に頭を打ち付けたり、テニスラケットを頭に刺したり、最後には「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスのように部屋のハンガーに女性を吊るしたりとこれまでのホラー映画をオマージュするかのようなシーンが至る所に散りばめられているのも特徴です。

 

 

 

 

このオジサン化したミリーを演じるのがあの強面俳優のヴィンス・ヴォーンという所が本作の一番の見所で、女子特有のキャピキャピしたボディランゲージを彼が演じるだけでギャップ萌えのメチャメチャ可愛らしいキャラクターに見えてくるから不思議です。

 

 

 

 

対する殺人鬼ミリーは、それまでイケてない地味なルックスから一変して真っ赤なレザージャケットにアップした髪といういで立ちで颯爽と学校に登場。 この登校場面でいきなりあの名曲「ケセラセラ」が流れる中で颯爽と歩くミリーの場面には痺れました。 詞の内容とそのカットの絶妙な融合は見事で、この映画で最も好きなシーンとなりました。

 

 

 

 

殺人鬼ミリーが登校して、昨夜の出来事を聞き出そうと絡んでくるいけ好かないいじめっ子の同級生や教師達といった本物のミリーからしても面倒な人物を、次々と血祭りにあげていく殺人鬼ミリーの姿には不謹慎ながらも爽快感さえ感じてしまいます。

 

 

 

 

日本では大林監督の「転校生」や「君の名は」等、多くの作品で入れ替わりという設定が使われていますが、こちらもそれと同様に既視感のある場面が多く登場します。 殺人鬼の姿で親友の前へ登場し、事情を話しますが当然信じてもらえず攻撃を食らってしまいます。 しかしミリーしか踊れないダンスを披露した事で信じてもらえるようになったり、トイレで立ったまま用を足した後、紙で拭くのか尋ねたり、それで遊んでみたりなど、、

 

 

 

 

他にも身体が入れ替わった事で普通に通れていたものにぶつかったり、思った以上に怪力が出て相手を突き飛ばしてしまったりするミリー。 ブッチャーの方もいつもは簡単に殺せる相手のつもりが思わぬ抵抗にあって跳ね飛ばされてしまい戸惑う場面等があって、男女の身体の違いや、性別によってその扱われ方が変わってくるという皮肉も描かれています。

 

 

 

 

親友二人​​​​に助けられながらブッチャーの行方と短剣を手に入れる為に行動するミリーですが、その途中で様々な体験をする事で彼女が内面的に成長していく姿も描かれています。 その象徴的な場面が逃げ込んだマーケットの試着室で起こる母親との会話シーン。 

 

 

 

 

母親は相手の声から見ず知らずの男性客と思って扉越しに話しかけ、世間話の延長線で亡くなった夫の事や娘を思う気持ちを告白します。 家族には話さない母親の本音を聞いたミリーは改めて家族の愛情とその存在の大きさを感じる事になります。

 

 

 

 

このミリーと行動を共にする親友二人が黒人の女の子とゲイの少年という所や、彼女のお姉さんがバリバリの警官という設定や、ブッチャー姿のミリーに見た目は関係ないとキスする片思いだったボーイフレンドの姿など、今時の時代に乗ったバランス感覚を感じます。 そういった時代のエッセンスを作品の中で上手く取り入れるのがブラムハウス的な上手さですよね。

 

 

 

 

そんなドラマもありつつも本作はあくまでも痛快なホラー映画となっていまして、多くのホラー作品にあるベタな展開や描写をあえてやっていたりします。 逃げ場のない所へ逃げてみたり、消えた相手の名前を呼びながら家の中を探してみたりといったお約束をしっかりと網羅している丁寧さ。 そこも笑ってしまうのですが、、。

 

 

 

 

後半ではお馴染みのチェーンソーが出てきたり、ひと段落したと見せかけて~や、救急車からの殺人鬼の復活や、家族総出でブッチャーと大乱闘してのエンディングと、飽きさせる暇を与えないくらいの展開を見せてくれます。 これは短剣の呪いが12時間という時間制限を設定した上手さでしょうね。 

 

 

 

 

ただし、ホラー要素を期待するとちょっと物足りなさを感じる作品で、グロ描写もありますがそちらもかなり控え目です。 どちらかというとヴィンス・ヴォーンの女子あるあるのコメディ感と、かなりお下品な思春期的な下ネタが多く、ホラー映画とは言い難い作品ではあります。 

 

 

 

 

その分、怖いホラーが苦手な方や面白い映画を観たい方には十分楽しめる、B級感エンターテインメント映画になっていると思いますので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー