姉の才能の影に隠れ、密かに嫉妬の炎を募らせていたていたピアニストを目指す双子

 

の妹が、悪魔のノートを手に入れた事で起こる恐怖を描く。

 

 

 

 

 

 

                     -  NOCTURNE  -  監督  脚本  ズー・クアーク

 

 出演 シドニー・スウィーニー、マディソン・アイズマン、

                                                                         ジャック・コリモン 他

 

こちらは2020年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(90分)

 

 

 

 

 

  音楽学校の寄宿舎でピアニストを目指している双子の姉妹、ジュリエットとヴィヴィアンは子供の頃からピアニストを目指して研鑽を積んでいたが、ヴィヴィアンの才能がジュリエットのそれを上回っているのは誰の目にも明らかになっていた。しかも、ヴィヴィアンだけが有名大学への進学が決まっていた。 ジュリエットはそんなヴィヴィアンに対して嫉妬心を募らせるばかりだった。

 

 

 

 

ある日、卒業式の発表会でソリストをつとめるはずの生徒モイラが自殺したことで再度ソリストのオーディションが開かれることになる。 演奏会には有名音楽大学のスカウトマンが来ると聞いたジュリエットは、何としてでもオーディションに受かりたいと、担任の反対を押し切ってヴィヴィアンと同じ曲でオーディションを受ける決意をする。

 

 

 

 

そんな中、ジュリエットは自殺したモイラが残したノートを偶然手に入れる。 そこには”栄光を手に入れる6つの手順”として「悪魔のトリル」という曲の楽譜とともに、1「悪魔を呼ぶ呪文」 2 「自信を持つ」 3 「大勝利」 4 「結合」 5 「穢れの浄化」 を表す絵がページごとに描かれ、最後の6ページ目は破かれていた。

 

 

 

 

オーディションへ向けての練習の日々がつづく中、ジュリエットは次第にモイラのノートに描かれている内容に惹かれていき、度々不思議な光景を見るようになる。そんな中、彼女の担任が解雇されたり、姉のヴィヴィアンが怪我をしたりとジュリエットが望んでいた出来事がつづく。 奇妙に感じたジュリエットだったが、それらの現象はモイラのノートに描かれていることが現実化していたことに気づくのだった、、。

 

 

 

 

ポスターアートに惹かれてチェックしてみた本作ですが、なんと「ハッピ・ーデス・デイ」や「透明人間」を製作したブラムハウス作品でした。 一応作品説明にはホラー映画のジャンルにカテゴリーされてはいたのですが、若干、想像していたホラー作品とは違ったタイプの映画になっていました。

 

 

 

 

主人公は音楽の寄宿学校に暮らす双子の姉妹の妹であるジュリエットで、姉のヴィヴィアンと共にピアニストになる為の勉強をしています。 幼い頃から二人してピアノに打ちこんでいましたが、常に姉に先を越されて注目を浴びるのも姉の方。 それまでも妹なりに努力はしていましたが、それだけでは越えられない何かを持つ姉のヴィヴィアン。

 

 

 

 

双子でありながら、気づけば姉との差は大きく歴然としたものになってしまっていた事にジュリエットは強い焦りと不安を抱くようになります。 その上、学校の卒業は間近に迫り姉は有名大学への進学が早々と決まっているという状況。 明らかに姉に負けている事に強い劣等感を抱くようになったジュリエットは、いつしか姉を越える事が目標になっていきます。

 

 

 

 

そこへ訪れた卒業式の発表会でのソリストオーディション。 これに合格する事で、姉を見返して自分の存在意義と価値を確かめようと意気込むジュリエット。 そんな時に偶然手に入れる自殺したモイラのノート。 「悪魔のトリル」の楽譜と共に記された5つのオカルトチックな絵と謎の文章。 精神的に不安定なジュリエットはその神秘さに惹かれていく事になります。

 

 

 

 

中学や高校の時に勉強や部活で誰もが経験したんじゃないでしょうか、「あれ?いつの間にこんなに差がついてる!」っていう経験。 ジュリエットの場合はそれが2分だけ先に産まれた双子の姉という身近過ぎる相手。 恋人もいてプライベートも充実している姉。同じ年代の若者が生活をエンジョイしている中、ピアノに全てを打ちこんできたという自負があるのに、思い通りにいかないジレンマ。

 

 

 

 

17歳という未熟な年齢に迫る卒業や進路のプレッシャー。 双子の姉妹だからこそ比べられてしまう個性と、リアルに才能の有無が判断されるピアノの技術の差。 教師からも身の丈を知るような助言をされる中で、自分も特別な存在だと信じこもうとする彼女の姿が痛ましく、現実とのバランスを保つように、モイラのノートに悪魔的な力を感じていくジュリエット。

 

 

 

 

実際、自殺したモイラが残したノートが悪魔のものなのか、ただのノートなのか、ストーリーの多くはジュリエットの主観で進むため真偽は謎ですが、それを手にした事をきっかけとして、彼女の中にあった様々な願望や野心がドミノ状態に決壊して、ラストまで連鎖していく様は痛々しいホラーとしてそれなりに楽しめるエンディングとなっています。

 

 

 

 

このエンディングですが、個人的には観る方によって様々な解釈が出来るような終焉になっているように思えます。 映画が提示した通りのバッドエンディングですが、その周囲の人達は彼女に気いていません。 多くの凡人として忘れ去られるという意味合いが含まれている演出だからでしょうか? もう一つはハッピーなエンディングです。 あの拍手を受けた彼女が現実ともとれます。 まぁ少数意見かも知れませんが、、。

 

 

 

 

本作でジュリエットを演じているシドニー・スウィーニーと、姉のマディソン・アイズマンのピリピリした演技も見物です。 映像も美しい作品ですが、テーマゆえにピアノや様々な楽曲が物語をより深く味合わせる効果的を生み、緊張感のある映画に仕上げています

 

 

 

 

ホラー的な映像やちょっと意味合いの違う血も登場しますが、メインは双子の姉妹ゆえの愛憎と嫉妬の物語で、姉に対する劣等感から生まれる強迫観念の狂気が、現実的な世界で描かれた作品です。 ベタなホラーというよりは「ブラックスワン」や「RAW」に近い質感の映画だと思いますので、その辺りの作品がお好きな方や女のバトル好きにはお薦め出来る映画ですので機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

 

では、また次回ですよ~! パー