イギリスで実際に行われている青少年向け課外活動「デューク・オブ・エディンバラアワード」を題材に、謎のハンターに命を狙われた4人の若者の奮闘を描いた青春ブラックコメディ。

 

 

 

 

 

 

          -  GET DUKED!  -  監督 脚本 ニニアン・ドフ

 

 出演 ケイト・ディッキー、ケヴィン・ガスリー、ジョナサン・アリス、

                                                                          ジョージー・グレン 他

 

こちらは2020年制作の イギリス映画 イギリス です。(86分)

 

 

 

 

 

  スコットランドの自然豊かなハイランド地方へ青少年向け課外活動「デューク・オブ・エディンバラ・アワード」にやって来た3人の問題児と1人の優等生。 広大な丘陵地帯のど真ん中に置き去りにされた彼らは、キャンプをしながら徒歩で目的地までたどり着かなければならない。 地図を頼りに歩き始める4人だったが、正体不明のハンターが彼らを付け狙っていた、、。 というお話です。

 

 

 

 

「デューク・オブ・エディンバラ・アワード」とは、都会の青少年を対象に奉仕活動や大自然の中での数日間のキャンプを通して、自己啓発や協調性の育成を促すことを目的としたものだそうで、イギリスでは実際に行われている課外授業のようなものでしょうか。

 

 

 

 

物語は、イタズラで公衆トイレのウ〇チに火を点けたら便器ごと大爆破!トイレを全焼させた落ちこぼれの生徒ディーン、ダンカン、DJビートルートの3人組は更生プログラムの一環として強制的に課外活動へ参加させられる事になり、バンに乗せられハイランド地方に連れてこられます。 バンには他にもイアンという優等生が自主参加していました

 

 

 

 

見渡す限り山々と自然の風景が広がる中、4人は地図を頼りに徒歩で目的地を目指すという、ー泊二日のオリエンテーリングを言い渡されます。 説明を終えた教員はそそくさと目的地へバンで向かってしまいます。 残された4人はチームワークを作り、オリエンテーリング技術を駆使し、野外で食料の調達などを行いながら目的地まで辿り着くしかないようです。​

 

 

 

 

とりあえず歩き出す4人ですが、それを遠くで見る人影が、、嫌な予感しかしません周りは山ばかりの厳しい道で、これまでも多くの旅行者が行方不明になっているという場所でした。 ところが遠足気分のバカ3人組は、イアンの心配をよそにマリファナを取り出して手近な紙で巻いて吸い始める始末。 ところが、その紙はイアンが用意してきた唯一の地図の重要部分だったので、すぐにも路頭に迷うことになってしまいます。

 

 

 

 

文句を言いつつも進む4人に一人の男が目に入ります。 道を聞こうと丘の上から話しかけた途端、「今年は人口が増えすぎた 群れのためには弱い動物を間引かねばならん」 と呟きながら、男は持っていた猟銃を4人に向けて発砲してきます。 慌てて逃げ出す4人。 あれはきっとエディンバラ公で、これは俺達をハンティングする為のイベントだと思い込む4人。 それを追ってくる謎の男との攻防が始まります。

 

 

 

 

このサバイバル合戦にパン泥棒を追う3人しか居ない地元の警察が絡み、ハチャメチャな追いつ追われつのドラマが展開していくという作品です。 ちょっと前にご紹介した映画「ハント」に近い雰囲気もありますが、こちらはあくまでもコメディが基本。 

 

 

 

 

4人を追ってくるハンターもなかなかのご高齢で、不気味なマスクを着けてはいるものの、どこかのんびりとした上品さが感じられる程。 しかし独特な哲学なのか田舎の因習なのか、迷う事なく撃ってくる姿はなかなかのサイコ感も漂っていて不気味です

 

 

 

 

そして「トレインスポッティング」の脇役に出て来そうな4人がなかなか良い味をしております。 いつもおちゃらけているムードメーカーのダンカン、アメリカのヒップホップスターを夢見て悪ぶっているDJビートルート、卒業したら親父の魚工場に勤める予定のディーン、優等生風でも周囲から浮いてそうなイアンの4人が、お馬鹿なりにサバイバルの中で活躍し、互いを認め友情を深めていくという過程が意外にもキュンとしちゃうのです。

 

 

 

 

このコメディとホラーが混じったような危険な作品に、よりスパイスを効かせているのが様々な映像のエフェクトで、多くのミュージックビデオを手掛けた監督のセンスと手腕が冴えまくっています。 

 

 

 

 

オープニングクレジットのアニメに始まり、DJビートルートのPV感、ウサギの糞でトリップした映像は正にサイケでシュール。 敢えて安っぽいCGが独特な世界観を醸し出して、彼らの恐怖と不思議なトリップ体験をこちらも共有する程です。

 

 

 

 

ただのお馬鹿コメディと思って観たら、途中は完全にホラーになってたり、階級社会を皮肉っていたり、正に力技のビックリラストが待ち構えていたり、それでいて良い感じのエンディングになってたりと、様々な意外にもな映画でありました。

 

 

 

 

この 「トレインスポッティング」 のような悪になりきれない、イケてない劣化版のような4人が、最後には愛しく可愛く思えてしまうようなコメディ映画、色々と粗さもある作品ではありますが、ラストの女子との交流等、意外性があって最後まで楽しめる作品だと思いますので、頭をゆるくしたい時にでもご覧になってみてはいかがでしょうか、です。

 

 

では、また次回ですよ~! パー