1970年代にロサンゼルスで実際に起こった大地震を基に、地震による災害に見舞われ

 

大混乱に陥っていくロサンゼルス市民とその凄まじさを描いたパニック大作

 
 

 

 

 

 

          - EARTHQUAKE - 監督 マーク・ロブソン 

 

 出演 チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディ 他

 

こちらは1974年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(123分)

 

 

 

 

 

  舞台はロサンゼルス。 建築会社副社長で建築技師のスチュアート・グラフの妻は、社長サム・ロイスの娘レミーだったが、二人の関係は冷え切っていた。 スチュアートは、事故死した同僚の未亡人で一人息子のいるデニス・マーシャルを何かと気にかけており、レミーは嫉妬にかられていた。 

 

 

 

 

そんな折、ロサンゼルス一帯を大地震が襲い、高層ビルやハイウェイが倒壊した。 市民は救急診療所の設置された地下駐車場に避難したが、社長のサムは死亡。 そこへ余震が襲い、レミーもデニスも生き埋めとなる。 スチュアートは、警官のルー・スレードと共に救出活動を行うが、ハリウッド・ダムが決壊して濁流が迫る、、。

 

 

 

 

70年代初頭にアメリカで実際に起こった大地震をテーマにしたパニック映画の大作で当時のパニック映画ブームを代表する1本という位置付けの本作。 当時はセンサラウンドという地震を疑似体験できる音響効果で上映され話題を呼んだそうです。 今でいう重低音上映の先駆けのような感じなんでしょうかね?

 

 

 

 

遥か昔に〇曜洋画劇場で観て以来の再会になりました。 これって音楽があのジョン・ウィリアムズで脚本がマリオ・プーゾだったんですね。なかなかスタッフも豪華な作品でした。 そのド直球なタイトルからも分かるように、もしロサンゼルスで大規模な大地震が起きたらどのような事になるのかを群像劇の形で描かれ、映画はほぼ大地震が起きる朝から夜までの一日の出来事を追っていく形で進んでいきます。 

 

 

 

 

まず小さな予兆のような地震が起こり、地震の研究者は警告を告げます。 しかし当然のように上司は楽観的に受け流します。 町にあるダムにも異常が表れ始め、管理者も調査を始めます。 そこから少しずつ大地震が発生するまでの時間が過ぎていくのでした、、。

 

 

 

 

パニック映画や大作と言えばこの人というチャールトン・ヘストンが主人公を演じています。今回の役どころは建築会社副社長。彼は長年連れ添った妻とは破綻状態で、元同僚の若い未亡人とその息子の事を気にかけていました。 

 

 

 

 

そしてこれまた大作映画の脇役には欠かせないジョージ・ケネディは正義感の強い警察官。今日も犯人を逮捕しようと車で追跡していましたが、越権行為で定職をくらいます。 スタントマンのマイルズは、仲間と共に一世一代のバイクスタントの準備を急いでいました。 お人よしのジョディはスーパーに勤めていましたが常に不良仲間にからかわれていました。

 

 

 

 

そんな中、ついに巨大な地震が発生します。 高層ビルは揺れ、外壁やコンクリートが空から落ちてきます。 地上に居た人には破片やガラスが降り注ぎます。地面には亀裂が入り、家屋は次々に倒壊します。 ビルからは人が落下し、エレベーターに乗った人達もエレベーターごと落ちていきます。 建物に留まった人は押しつぶされ、ガス爆発や火災も発生して、近代的な都市は一瞬にして壊滅状態になってしまいます。

 

 

 

 

本作の一番の見所はこの巨大地震の再現にありますが、「ゴジラ」や「ウルトラマン」、前年公開の「日本沈没」等で特撮を見慣れている日本人には正直そこまでの驚きを感じる程ではありませんが、そこはハリウッド映画、お金のかかった巨大なセットを建ててそのセットを壊したり、爆破したりの見せ方にはスケールを感じます。 そして現在のようにCGのないからこその本物や物量の贅沢さ。 プラス遠景との合成のマットペインティングと様々な手作りの工夫が随所に見られる所も楽しい作品です。

 

 

 

 

そんな中でも、パニックに陥った人達が我先に出口に押し寄せる場面や、人を蹴落してでも助かろうとする人間の心理、イジメられていたジョディが従軍して事で、今までイジメていた仲間をどさくさに紛れて銃殺する場面があったりと、非常時になった時に見せる人間のダークな部分も描いていてのには驚きました。

 

 

 

 

大規模なパニック映画として当然見所は沢山あるのですが、その他の「タワーリング・インフェルノ」や「ポセイドン・アドベンチャー」のように、一つの巨大なビルを消火する為のドラマだったり、残された人々が救助の為に船尾へ向かう、という集約された目的が本作ではその範囲が広い事もあってか難しく、その為、作品の性質上エンディングも一応の救助というドラマはありますが、観客がカタルシスを感じずらい映画ではあります。

 

 

 

 

ただ唯一それに近い感情になる場面がエンディングにあります。 あの映画では常に最強キャラであるチャールトン・ヘストンが下す選択の意味。 小さい頃に観ていた私では理解出来なかったチョイスが、この年齢になると理解出来てしまう大人だからこその選択と、あの不確な終わり方はエンターテインメントと人間ドラマの混在する70年代という時代を感じる瞬間でありました。

 

 

 

 

若干、地震前の人間ドラマ部分にまったりしたものを感じますが、地震の恐怖と、その瞬間に人としてどう行動すべきかを考えさせられる所もある映画でした。 ただ、現在となっては日本人は東日本大震災を経験し、嫌という程の凄惨な映像を見ている身としては正直複雑に思う所もあります。 

 

 

 

 

他にも劇中で地震の破壊力を表現する際に「マグニチュード7は広島と長崎の原爆をあわせたよりも大きなエネルギーです」 というセリフがあります。 破壊力を表すのに原爆かと、、一瞬、オイオイ!となりましたが、それも込みの70年代なのですよね

 

 

 

 

とまぁ色々とありますが、あくまで時代を含めエンターテインメント映画としてご覧になるには面白い映画だと思います。 そして本作では主演のチャールトン・ヘストン以上に、ジョージ・ケネディがかっこよく活躍しているというのも魅力です。 

 

 

 

 

他にも地震が起こる前から治まるまで、皆が出入りするバーのカウンターの隅で、一言のセリフも語らずにお酒飲みつづけているだけの客の役でウォルター・マッソーが出演していて、いつもの愛嬌を振りまいてくれています。 この大作映画でのオジサン二人は必見です。といった所で、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませです

 

 

では、また次回ですよ~! パー