ニューヨークを舞台にハード・ゲイによる殺人事件の潜入捜査に就いた刑事の物語。 ハード・ゲイを題材にし、賛否両論を巻き起こした衝撃のサスペンス・スリラー。

 

 

 

 

 

 

             -  CRUISING  - 監督 脚本  ウィリアム・フリードキン

 

 出演 アル・パチーノ、カレン・アレン、ポール・ソルヴィノ 他

 

こちらは1980年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(102分)

 

 

 

 

  マンハッタンのハドソン河口、タイムズ・スクエアの安ホテル、セントラル・パ

 

ークとそれぞれの場所から同じような手口で殺された男の死体が続いて発見された。 

 

それらの犯行は、どうやらホモ・セクシュアルがたむろする場所で行なわれたらし

 

く、警察の調査も、そのすじを追って進められていた。 

 

 

 

 

警察の捜査本部長イーデルソンは、警官学校を卒業してきた若い警官スチーブ・バー

 

ンズを抜擢し、事件解決の際には2階級特進を約束し、彼を現場付近に送り込んだ。 

 

ゲイになりすましゲイたちがたむろするクリストファー・ストリートに潜入したスチ

 

ーブは、イーデルソン部長と連絡をとりながら調査を進めていくが、そのことは、恋

 

人のナンシーには内緒だった。 

 

 

 

 

スチーブはジョン・フォーブスと名を変え、グリニッチ・ビレッジのアパートに引越

 

した。 調査を進めるうちに捜査線上に、スチュアートという男が浮んだ。 彼は、刺殺

 

死体で発見されたコロムビア大学の教授の講義を受けたことがあり、犯人が犯行に使

 

ったナイフの出所であるステーキ・ハウスに雇われたことがあったのだ。 スチュアー

 

トの部屋に忍び込み彼が犯人であることを確信したスチーブはある夜、彼をおびき出

 

すことに成功するが、、。

 

 

 

 

大人の映画を観るようになった中学生時代。 テレビでアル・パチーノを見てから大フ

 

ァンになって、初めて劇場の大画面で彼を観た記念の作品が本作です。 その上、監督

 

があの「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」のウィリアム・フリードキンと

 

いう夢のタッグですからドキドキワクワクで観に行った憶えがあります。 (同時上映

 

は忘れましたが)それからもビデオ等で数回観返していましたが、今回T〇UTAYAの

 

発掘良品に登場していたので数十年ぶりにレンタルしてみた次第です。

 

 

 

 

本作の「クルージング」という言葉には警察の巡回や、男を漁るという意味の隠語が

 

そのままタイトルになった作品で、ストーリーは上にあるようにゲイのコミュニティ

 

の中で起きた連続殺人事件を追う為に、アル・パチーノ扮する新人警官が指名されて

 

潜入捜査に乗り込むというお話。 それもただのゲイではないハードゲイの世界という

 

かなりアンダーグラウンドな世界。

 

 

 

 

黒のレザージャケットとサングラス姿の男どもがたむろし、バーの中ではゴリゴリの

 

マッチョマン同士が、キスからタッチから、何やら?をグリグリとやっているムンム

 

ンの光景が映し出されているのです。 

 

 

 

 

そう、先程も言いましたが私はまだ映画館が特別だったうぶな中学生、そこで男性同

 

士の激熱キスやレザーバリバリのSMプレイを見せられたものですから、頭の中はぽか

 

~ん状態。 アメリカって怖い国、って印象が強烈に残りましたが、逆にこういう所で

 

しか見れない世界という映画の特別感も同時に感じた私でした。 当時はR指定なんて

 

なかったからこその醍醐味でもありますよね。

 

 

 

 

そんな中に放り込まれたアル・パチーノ、捜査の為にハードゲイの世界を巡っていく

 

訳ですが、ゲイがよく着けているバンダナの意味を店員に聞くと、青はオー〇ルセッ

 

〇スで、左はされる方で右はする方、緑は腰の左に差しているのが売り手で右が買い

 

手、黄色は小〇シャワーで、左はかける方で右は浴びる方という、その世界のハウツ

 

ー知識が聞けたりして不気味な生々しさを醸し出しています。 

 

 

 

 

本来であれば不気味な殺人事件の犯人を追うサスペンス感や、真犯人の解明がメイン

 

になるのですが、この作品の特色は事件解決そのものよりも、アル・パチーノ演じる

 

スチーブが潜入捜査でゲイの世界に触れた事により、自分でも制御出来ないダークサ

 

イドに引き込まれていく恐ろしさこそがメインで描かれている点です。 

 

 

 

 

中盤で報告の為に本部長と会う場面では「自分がのめり込みそうで怖い」と語り、捜

 

査から降ろして欲しいとまで言います。 本作でのアル・パチーノの演技は受け身とい

 

う事もあってか、かなり静かで抑えた演技が特徴的でもあります。 

 

 

 

 

そして波紋が広がるエンディングを迎える事になりますが、この時のアル・パチーノ

 

の眼から発せられる不気味な視線の恐怖が映画のテーマを物語っているようで、彼の

 

眼の演技はこの作品でも素敵なのでした。

 

 

 

 

当時もかなりの抗議活動が行われた本作ですが、多分現在では映画化する事は不可能

 

ではないかと思える偏見と差別的な描写が満載の作品で、その無知さからくる得体の

 

知れない恐怖が本作の根幹でもある映画です。

 

 

 

 

それゆえ見所もある作品で、アル・パチーノが素っ裸で後ろ手に縛られた姿や、取り

 

調べで登場するパンツ一枚のマッチョなビンタオジサン等、笑っていいのか悩んでし

 

まうようなシュールなシーンも多々あります。 

 

 

 

 

とはいえ、リアルなアンダーグラウンドなハードゲイの世界は事実であり、当時の不

 

気味な空気感とその瞬間を捉えた特異な作品なのは間違いなく、パチーノファンとし

 

てはショックな場面も少なからずありましたが、流石異彩のフリードキン監督、同じ

 

ゲイを扱った「真夜中のパーティー」とは真逆のアプローチ映画となっているのも面

 

白い所です。 

 

 

 

 

まぁ普通なら見る事のないハードゲイの世界と夜の闇の魔力を垣間見れる作品だと思

 

いますので、中学生にはお薦め出来ませんが、興味がありましたらこの機会にでもご

 

覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー