「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスが興奮すると狼男に変身する高校生を演じるコメディ映画。

 

 

 

 

 

            -  TEEN WOLF  - 監督 ロッド・ダニエル

 

 出演 マイケル・J・フォックス、スーザン・アルシッティ、

                                                                          ジェームズ・ハンプトン

 

こちらは1985年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(91分)

 

 

 

 

  スコットは平凡な高校生。 学校では弱小バスケット・ボールの部員だ。 最近、胸に毛がもじゃもじゃはえたり、犬笛を聞くと異常に耳が痛い。 学校のマドンナで演劇部のパメラに気があるのだが、相手にしてくれない。 友人のスタイルズとパーティに向かい、パメラに近づくがまたもや失敗。 

 

 

 

 

ゲームでペアになったスコットとブーフへの罰ゲームはクローゼットへ2人きりでとじこもること。 小さい頃から彼が好きだったブーフはキスをせがむが、スコットの手の爪がのび、彼女の背中を傷つけてしまう。  自分の身体の変化に驚いたスコットは家の洗面所にとじこもり、すっかり狼男に変身した自分の姿を鏡に写していると、父親のハロルドがドアを叩く。 

 

 

 

 

開けてみると、父親も同じ狼男の姿だった父親によると、狼男になるのはハワード家の遺伝だというのだった。 バスケット・ボールの試合で敵の反則に怒ったスコットは狼男に変身し、シュート。 敵も味方もただ驚いて見ているだけ。 この日以来、スコットは学校の人気者となる。 こうなると、パメラの態度が一変し、彼に接近、ついにメイク・ラブまでいってしまう。 狼男に変身したスコットは注目の的になるが、バスケット・ボールの試合では彼のワンマン・プレーに不満が出始め、親友も距離を置き始めるようになる、、。

 

 

 

 

T〇UTAYAの発掘良品で発見!懐かしさから数年ぶりにレンタルしての鑑賞となりました。 本国では「バック・トゥ~」の数カ月後に公開されていた本作。 良くも悪くもマイケル・J・フォックスを観るための、明るくてとことんハッピーな映画に仕上がっています。

 

 

 

 

お話は学園ものに狼男の要素をプラスしたゆるいコメディで、「狼男アメリカン」や「スリラー」的なホラー要素はゼロ。 変身場面もおまけ程度のかなり大ざっぱな作りになっています。 青年から大人への変身を狼男という存在に比喩、なんて意図と苦悩はさらさらなく、カラフルでポップな青春コメディに振り切った内容になっています。

 

 

 

 

普通の高校生スコットの身体に突然不気味な毛が生えてきたり、爪が伸びたり、耳が尖ってきたりして戸惑うバタバタマイケルの演技が愉快な前半。 いよいよ全身に変化が訪れ、スコットがバスルームで変身した自分の姿に驚いている時、ドアの外からお父さんが「私はお前の父親だ、何があっても隠す必要はない」と諭し、意を決したスコットがドアを開けると、お父さんも狼男の姿になっているという場面。 この時のお父さんの姿が狼男というより、可愛い熊さんや「スター・ウォーズ」のイウォークのように見える爆笑シーンはお薦めです。 

 

 

 

 

どうやら興奮したり感情が高ぶると変身してしまうようですが、映画では遺伝という事しか説明されません。 そしてこの変身した姿が狼男というにはちょっと微妙な仕上がりで逆に不気味というのもご愛嬌です。

 

 

 

 

バスケの試合中、遂にスコットが狼男に変身してしまう場面でも、その姿を初めて見た友人達は最初は驚きますが、直ぐに納得して試合を続行。 普通ならマスコミや世紀のニュースになるような出来事のはずが、その友人達の飲み込みと順応の早さに観ているこちらが驚く程です。(笑)  

 

 

 

 

その後も狼男になった事で身体能力が覚醒、バスケの試合では一人でシュートを決めて連勝、高校でも人気者となり調子に乗るスコット。 しかしそれは狼男の姿をした彼がちやほやされているだけなのでは?というアイデンティティーの苦悩もほんのちょっとかじりながら、青春の甘酸っぱさや汗と恋愛を、独特な80sの良い意味でダサくてゆるい世界によってコーティングされたマイケル・J・フォックス映画でございます。 

 

 

 

 

ただ、変身してバスケをしたりダンスをしたりのアクションシーンが紛れもないボディダブルさん(替え玉) の為にちょっと醒める所もありますが、そこも温かい目で見守る寛容さと察する気持ちが必要です。

 

 

 

 

ラストのバスケ場面では、狼男の力を借りずスコットとして試合に挑むという王道な展開となり、ここでチームメイトも彼に刺激を受けて覚醒して本領発揮。 チーム一丸となって相手チームを圧倒してシュートを決めるとなりすが、オイオイ!最初からやる気スイッチを入れて本気を出してれば強いチームだったんじゃないの?という私の率直な疑問を吹き飛ばすような怒涛の展開。 

 

 

 

 

オープニングと対になったシュート場面でスコットが逆転を決めてのエンディング。 年齢もあってか、あそこは外した方がドラマとして良い終わり方になったような気もしましたが、そこを躊躇なく振り切ったこの映画の陽のパワーには圧倒されてしまうばかりです。

 

 

 

 

そこからのエンドクレジットは今までのコメディ感は消えて、まるで感動の青春映画の終りのようなスローモーション映像。 その落差がこれまた80sっぽくてちょっと笑ってしまいました。 狼男というのはあくまでアクセントであり、80s青春恋愛映画として十分楽しめました。 

 

 

 

 

とにかくマイケル・J・フォックスという俳優さんの魅力が凝縮された作品で、マイケル・J・フォックスを観る映画と言っても過言ではない魅力に溢れた映画です。「初体験リッチモンド・ハイ」「ブレックファスト・クラブ」同様、80sのファッションやカルチャー、空気感も堪能出来る青春映画となっていますので、80sがお好きな方は一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー