米国の作家ジョン・ゴーデが発表した犯罪スリラー小説の映画化作品。 ニューヨーク

 

の重要な交通機関である地下鉄がハイジャックされたことから起こるパニックを描く

 

 

 

 

 

 

 - THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE - 監督ジョセフ・サージェント

 

 出演 ウォルター・マッソー、ロバート・ショウ、マーティン・バルサム 他

 

こちらは1974年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(104分)

 

 

 

 

  ニューヨーク地下鉄構内で、ありえない大事件が発生した。 ローカル線ペラム駅を発車した123号が4人組の男にハイジャックされ、17人の乗客と車掌一人が人質にされたのだ。 ハイジャッカーは首領株のブルーが管制センターとの交渉に当り、グリーン、グレイ、ブラウンの3人が見張りに立っていた。 

 

 

 

 

午後2時13分、ブルーは管制センターに要求を伝えた。「少額紙幣で100万ドル。期限は1時間で、それを過ぎた時は1分に1人ずつ人質を射殺する」。 地下鉄公安局警部補ガーバーは、人質保護のため警官隊に発砲はおろか姿を見せてはならぬ、犯人を刺激してはならぬと厳命した。 地下鉄は全線麻痺し、駅々の出入口は閉鎖された。 

 

 

 

 

一方、ニューヨーク市々長は犯人の要求に従い、100万ドルの支払いを承知した。 残された時間はあと26分。まだ100万ドルは銀行から運び出されていない。ガーバーは必死になって15分の期限延長を頼んだが、答えはノーだった。その頃地下鉄内では、柱の陰で手も足も出ない武装警官の一人が、犯人に発砲したのが原因で激しい銃撃戦が展開されていた、、。

 

 

 

 

「ポセイドン・アドベンチャー」 のヒットで一大ブームになった70年代パニック映画ですが、その中でもかなり小規模で地味な印象は拭えない本作。 しかし、こちらで以前ご紹介した 「パニック・イン・スタジアム」 同様に、私個人としてはかなりの傑作面白映画という位置付けで、度々観返してしまうこの作品を数年ぶりに鑑賞いたしました。

 

 

 

 

お話は至ってシンプルで、地下鉄を4人の男がハイジャックして現金を要求するというものです。 飛行機ではなく地下鉄という所だけが斬新なB級作品とあなどるなかれ!と、まぁそれ以上でもそれ以下でもないストーリーなのは確かなのではありますが、、。

 

 

 

 

地下鉄という逃げ場のない空間を犯人達はどう使って、どう逃げるのかにお話は集約されているのですが、4人のハイジャック犯それぞれのキャラクターの面白さ、人質にされた乗客達との列車内でのやり取り、交渉役になった公安局警部補ガーバーとの無線を通しての駆け引きと管制センター内の人間模様。 要求された身代金を用意すべきかを巡る市長との算段や、限られた時間に追われながら現金を用意していく過程等がスリリングで綿密に描かれて行きます。

 

 

 

 

この交渉役のガーバーを演じているのがウォルター・マッソーという緩めのキャラが多い俳優さんで、犯人のリーダーを演じるのがあの渋いロバート・ショウ。 この二人が無線を通じてやりとりする交渉を軸にお話が進むのですが、人間臭いガーバーとクールな犯人という真逆なキャラの会話が映画に独特なリズムと緊迫感を生んでいます。

 

 

 

 

その反面、合間々にユーモアが入っているのもこの映画の面白い所で、映画の前半に

ニューヨークの地下鉄を見学に来た日本の鉄道会社を適当にあしらったっていたら英語が分かっていた!なんていうものから、今では諸々問題になりそうな差別用語でのジョークがあったりと、つくづく70年代という時代を感じさせてくれる部分があります。

 

 

 

 

本作は2009年にデンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタ主演でリメイクされています。アクションの派手さと編集の速さはリメイク版が圧倒していますが、本来のお話の面白さやドラマの人間描写、群像劇の楽しさをご覧になるならこちらの方をお薦めいたします。そう言えば犯人が身元をばらさないように互いをグレイ、ブラウンと呼ぶというアイデアをタランティーノが「レザボア・ドッグス」で引用していました。 渋いチョイスですよね。

 

 

 

 

ほぼオジサンしか出ていない作品でアクションに派手さもありませんが、ストーリーの巧みさや、構成と会話の面白さ、群像劇、人間ドラマとしての面白さ、サスペンスとユーモアのバランス、そしてラストのくしゃみと、これを見せる為のウォルター・マッソーの配役だったのか?とすら思える、あのドア越しのお顔! どんでん返しとはまた違った見事なラストでございます。

 

 

 

 

しかし昔の映画はエンドロールが短いですね、本作を観て改めて実感しました。 最近の映画は5分近くある作品もざらにありますが、その多くはCGや特殊効果の方々のお名前なんでしょうね。 こんな所にも時代を感じる私でありました。 

 

 

 

 

つい大作に埋もれがちな地味な作品ではありますが、ご覧になればきっと楽しめる佳作だと思いますので機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー