池宮彰一郎の同名小説を、市川崑が映画化した作品。 赤穂浪士の討ち入りを描いた時代劇であるものの、従来の「忠臣蔵」と異なり、討ち入りを「情報戦」「経済戦」「暗殺」という視点で描いた意欲作。

 

 

 

 

 

 

            -  四十七人の刺客  -  監督 市川崑  原作 池宮彰一郎

 

出演  高倉健、中井貴一、宮沢りえ、井川比佐志、西村晃、中村敦夫、宇崎竜童 他

 

こちらは1994年制作の 日本映画 日本 です。(129分)

 

 

 

 

  播州赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助と上杉藩江戸家老・色部又四郎の戦いは、元禄14年3月14日江戸城柳の間にて赤穂城主浅野内匠頭が勅使饗応役高家・吉良上野介に対し刃傷に及んだ事件から始まった。内匠頭は即刻切腹、赤穂藩は取り潰し、吉良はお咎めなしという、当時の喧嘩両成敗を無視した一方的な裁断は、家名と権勢を守ろうとする色部と時の宰相柳沢吉保の策略だった。

 

 

 

 

赤穂藩は騒然となり、篭城か開城かで揺れるが、大石は既に吉良を討ちその家を潰し、上杉、柳沢の面目を叩き潰す志を抱き、早速反撃を開始した。事件発生後直ぐに塩相場を操作し膨大な討ち入り資金を作った大石は、その資金をばらまき江戸市中に吉良賄賂説を流布させ、庶民の反吉良感情を煽り、また赤穂浪士すわ討ち入りの噂を流して吉良邸付近の諸大名を震え上がらせ、討ち入りに困難な江戸城御府内にある吉良邸を外に移転させるなどの情報戦を駆使した。

 

 

 

 

思わぬ大石の攻勢にたじろいだ色部も、吉良を隠居させる一方、仕官斡旋を武器に赤穂浪人の切り崩しを図り、討ち入りに備えて迷路や落とし穴などを完備した要塞と呼ぶべき吉良屋敷を建てさせるなど、反撃を開始する。京都・鞍馬で入念な準備に忙殺される大石はその傍ら、一文字屋の娘・かるとの恋を知る。

 

 

 

 

かるはいつしか大石の子を身籠もった。追い詰められた上杉家は最後の策として吉良を米沢に隠居させようとする。その惜別の会が開かれた12月14日、運命の日。雪も降り止み誰もが寝静まった子の刻、大石以下47名が集まり、要塞化した吉良邸にいよいよ突入した、、。

 

 

 

 

「日本映画誕生100周年記念作品」として東宝が製作した時代劇のてっぱん物語。少し前までは毎年12月ともなると、必ずどこかのテレビ局では忠臣蔵の長時間ドラマが放送されるのが恒例で、それによって師走を感じていた私。 時代が変化したのか最近はあまり見かけなくなりました。 

 

 

 

 

そのくせちゃんと観た事もなく、大まかに復讐劇、仇討ちの物語という認識しかないものでした。 そんな時、市川崑監督作品の中に丁度本作を見つけたもので、この機会にこの有名なお話を大まかにでもお勉強しようと思い、レンタルしてみました。

 

 

 

 

本作の特徴は、従来の忠臣蔵に比べて浅野内匠頭の刃傷や切腹の描写を大幅にカットして、内蔵助と米沢藩江戸家老、色部又四郎との駆け引きを、現代的な情報戦争、経済戦争の視点で実証的に描いた内容にアレンジされ、そこに内蔵助に想いを寄せる女達が花を添えるという構成になっています。

 

 

 

 

そもそもの事の発端となる城中で浅野が吉良を斬り付けた事件の理由が分かっていないという事実、喧嘩両成敗にも関わらず斬りつけた浅野内匠頭の一方がその日のうちに切腹させられたという闇深な裁きによって、この討ち入りに至ったという事が知れただけでも観た価値は十分にあった作品です。

 

 

 

 

そんな事もあってか、映画は浅野の家老大石内蔵助と浅野に仕えていた侍達が吉良を討つまでの綿密な計画、屋敷の構造の下調べ、資金の調達、相手に不利な情報を流すという現代的な視点で、その実行までの経緯が描かれていきます。 そんな中でも計画から抜けていく者がいたりするのも、そりゃあるよね~というリアリティも感じます

 

 

 

 

男ばかりの張りつめた復讐計画の合間、高倉健演じる内蔵助と若さ爆発の宮沢りえ演じるおかるとの恋があり、実際数人の妾が居た内蔵助ではありますが、さすがに健さんと宮沢りえの見た目は親子以上の年齢差に見えてしまって多少の?違和感はあります何せ、まだ激痩せする前の可愛いピーク時の宮沢りえですものね。 

 

 

 

 

その上市川崑監督は魔法の光で女優さんを美しく撮る事に長けた監督さん、本作の宮沢りえを始め、黒木瞳、清水美砂、古手川祐子、そして御大浅丘ルリ子までも美しく輝いておられます。 男性陣の中でも何故か白塗りしている色部又四郎役の中井貴一がアカデミーの助演賞を本作で受賞してたりします。

 

 

 

 

勿論、映画の主人公である男達も皆凛としてカッコイイのであります。 市川崑作品の常連はもとより、豪華な俳優陣が多数出演されているのも本作の見所の一つです。ナレーションやお馴染みのフォントを使い、忠臣蔵という出来事を戦略的な視点で描いた作品で、物語の概要、入門編として観るには面白く、同時に市川崑の映像美意識を観るのも楽しい作品だと思います。 

 

 

 

とにかく高倉健のフェロモンと男臭さが充満した侍映画。 そして宮沢りえの若き美しさが堪能出来る作品ですので、この機会にでも改めて忠臣蔵という出来事を覗いてみてはいかがでしょうか、です。

 

では、また次回ですよ~! パー