彦根藩井伊家の上屋敷に津雲半四郎と名乗る浪人が現れ「切腹のためお庭拝借」と申し出た 生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、庭や玄関を汚されたくない人々から金品を巻き上げることが流行っており、家老の斎藤勘解由は数ヶ月前にやってきた千々岩求女という浪人の話を始めた 家老が切腹の場を設けてやると言い出すと、求女は狼狽したあげく、竹光で腹を切った上に舌を噛んで絶命した、と 話を聞いた半四郎は、求女は自分の娘婿であることを告げた。

 

 

 

 

 

 

こちらは1962年制作の 松竹映画 日本 です (134分)

 

小林正樹 監督の作品で、主人公 津雲半四郎 を 仲代達矢 が演じ、対する 井伊家の

 

家老を 三國連太郎 が演じています 他に、岩下志麻、丹波哲郎、佐藤慶、井川比佐

 

志、小林昭二 という面々が出演されています  侍 侍 侍

 

 

 

 

本作も、日本映画のベストを選出する際によく選出される作品で、海外の批評家から

 

も高い評価を得ています 海外の評価というと、つい日本的なナショナリズムの部分

 

が注目されての事だろう と、勝手に理解していたのですが、実際の映画を観てそれだ

 

けではない事が分かりました 温故知新とはこの事で、今観ても全く古びる事なく、

 

素晴らしい映画でした ベル

 

 

 

 

Movie 寛永七年  井伊家の屋敷に、旧福島藩の浪人・津雲半四郎 と名乗る男が現れ 

 

「ろくに職にも就けぬので、生き恥晒すよりいっそ武士として潔く切腹したい その為

 

玄関先を拝借したい」 と申し出てきます (日本の封建時代の道徳観念のもとでは、不

 

始末が生じた場合に、その責任をみずから判断し、自分自身で処置する覚悟を示すこ

 

とで名誉を保つ社会的意味があり、切腹させることは「切腹を許す」と表現され、切

 

腹の場所には新しい畳を重ねて敷き、幔幕をめぐらすなど念入りに整えられ、対象者

 

を武士待遇に扱い、名誉を保証する処刑方法でした。 

 

 

 

 

本作の場合は、元侍の名誉の為に藩の屋敷を借り切腹を執り行ってもらおうとして訪

 

ねて来た訳です その時代のしきたりの勉強になります)

 

家老の 斉藤勘解由 は、生活に困窮した浪人によって横行していた「押しかけ切腹」

 

 

 

 

(以前、他の家老の家で同じように切腹を申し出た浪人が、その武士道精神に感銘し

 

た家老が、家臣の職を与えたという話が広まり、真似をした浪人が増加 面倒に思っ

 

た家老は少しの金を渡し、引き取らせていた つまり オレオレ詐欺ならぬ、切腹詐欺

 

みたいな事ですね) コインたち

 

 

 

 

そう見てとった家老は、数か月前、同じように願い出た若い浪人の話を語ってみせる 

 

その若い浪人を 押しかけ切腹と見た斎藤は、屋敷に上げ風呂に入れる 金銭を受け

 

取れると待っていた若い浪人に差し出されたのは、切腹の為の装束 着物 慌てる浪人に

 

「武士に二言はあるまい」 と切腹を迫ります 浪人が差していたいたのは竹光の刀でし

 

た。

 

 

 

 

武士の命すら売った貧しい浪人に、竹光で切腹をさせた斉藤  それを聞いた上で 半四

 

郎は切腹を願います 屋敷の庭で準備が整った所で、半四郎は斎藤に切腹の介錯人

 

の指名を願い出ます。半四郎の願い出した名前の人物は、ことごとく本日は病欠で屋

 

敷に不在となっていました。

 

 

 

 

不信に思う斉藤を前に、半四郎は不敵に笑みを浮かべ、家臣の斉藤に自分がこの切腹

 

に至るまでの境遇を語り始めるのであります、、、  キラキラ 刃三代鬼徹紅桜秋水紅桜紅桜

 

 

 

 

メインのお話は、井伊家の家老の屋敷の中でのみ進み  京都  斎藤、半四郎 双方の語

 

り、回想によって現在に至るという、先の読めない展開が、ある種サスペンス的な時

 

間軸の脚色が見事です ちなみに脚本は 黒澤明の「羅生門」「生きる」「七人の侍」

 

や、「霧の旗」「砂の器」「八つ墓村」 と名作揃いの 橋本忍 が担当されています 

 

 

 

 

撮影も見事で、衣装から何から、時代考証にかなり力を入れている事がうかがえます   

 

劇中、半四郎と斉藤の家来 (丹波哲郎) の対決場面が登場しますが、この場面のみ 

 

互いに 真剣 を使用したそうで、迫真の殺陣を見る事が出来ます 刀  

 

 

 

 

それと同じ位に、斉藤と半四郎のやり取りも息詰まる殺気を感じます 仲代達矢の所

 

作や語りといい、屋敷に居るエキストラの動き一つまでピシっと緊張感が漂っていま

 

す 半四郎の話が進んで行くごとに、様々な事実が浮き上がってきて、斉藤の顔色が

 

どんどんと変わって行くさまの語り口は見事です  滝汗

 

 

 

 

そして全てを語り終えた 半四郎と斉藤の立場の戒律が浮き彫りにされます 一人の人

 

間としての侍と、武家社会の虚飾、仲代達也の台詞 「所詮、武士の面目などと申すも

 

のは、単にその上辺だけを飾るだけのもの」 が全てを表し​​​、武家社会を皮肉る内容と

 

なっています  

 

 

 

 

全てが終わった後、 斎藤は事実を書き換えて、武家社会の面目を守る事となる 現在

 

にも通じる 何とも皮肉なエンディングを迎えます 背筋が寒くなるような幕引きです 

 

 

 

 

俳優陣の演技、演出、撮影、美術と、個人的には大変感銘を受けた映画となりました

 

映像同様、人間の深い部分を揺さぶられるような作品であります 古い時代劇と苦手

 

意識を持たず、是非ご覧になって頂きたい映画でございます この機会に是非です ビックリマーク

 

では、次回ですよ~!。 パー

 

 

 

 

 

 

 

小林監督が「切腹」の後に撮った大作 「怪談」です オムニバス形式でこちらもお薦めです