小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーンが1904年に執筆した怪奇文学作品集「怪談」に収められている2編、他作品からの2編の4つのお話からなるオムニバスです

 

 

 

 

 

 

こちらは1965年制作の 日本映画 日本 です。 (183分)

 

構想10年、撮影に9か月をかけ、当時としては破格の3億5千万円の製作費を投じ

 

た超大作映画で、第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しています。 ベル

 

 

ドクロ   黒髪  出演 三国連太郎、新珠三千代、渡辺美佐子 他

 

京都 貧しかった武士の男は、妻を捨てて遠い任地に向かい、良い家柄の娘と結婚してしまいます。 しか~し、その娘はわがままな冷酷女でした。 男は前の妻のことを思い出し、自分の身勝手さを反省します。 任期を終えて京にもどった男は妻のいる家に向かいます。

 

 

 

 

機織り仕事をする​​​​​妻に男はそれまでの自分を詫び、妻をいたわり、一夜を共にしますが、夜が明け男が目を覚ますと、横に長い黒髪があった。それは白骨化した妻の頭蓋骨から生えていた、、。 身勝手な男が招く深い後悔と悲しみのお話ですね。

 

 

 

ドクロ  雪女  出演 仲代達矢、岸惠子、菅井きん、千石規子、浜村純 他

 

巳之吉は、茂作と森へ薪を取りに行くが吹雪にあい、森の中の山小屋に一泊することになります。その夜、巳之吉は白い着物姿の女が茂作に白い息を吐いて凍死させるのを見ます。その女は巳之吉に「今夜見たことを誰にも話してはいけない。もし話したらお前を殺す」と言って小屋から消えます。 1年後、森へ薪を取りに行った巳之吉は、その帰り道で若くて美しいお雪という女性に出会い、彼女と結婚し3人の子宝に恵まれ、幸せに

 

 

 

 

暮らしていました。 ある吹雪の夜、巳之吉はお雪の顔を見て、ふと10年前に山小屋で会った雪女のことを面白可笑しく話し出してしまう。 戸惑いながらも話を聞き終えたお雪は 「その女は私。さても子らを不幸せにすれば命は無いものを、、」と、言い残して吹雪の中へ消えて行くのでした。 軽口は災いのもと、約束は守らねばなりません。

 

 

 

ドクロ  耳無芳一の話  出演 中村賀津雄、丹波哲郎、志村喬、林与一、田中邦衛

 

盲目の琵琶法師の芳一は、ある夜、彼の前に現れた甲冑姿の男に 「高貴な人に琵琶を聴かせるために迎えに来た」 と言われ、ある場所に連れていかれます。 芳一はそこで「平家物語」の壇ノ浦の合戦を琵琶で奏でて唄いました。それから武士は毎晩芳一を迎えに現れるようになります。寺の住職は毎晩どこかに出かける芳一を心配して、寺男の矢作と松造に芳一の後をつけさせる。その夜、芳一の後をつけた寺男が見たのは

 

 

 

 

人魂が飛び交う平家の墓場の前で琵琶を奏でる彼の姿でした。住職は平家の怨霊に取り憑かれた芳一の体全部に般若心経を書きつけます。その夜、いつものように芳一を迎えに来た武士は何度も芳一の名を呼ぶが、返事がありません。しかし、空中に耳が2つ浮かんでいたのでその耳を引きちぎって持って帰っていきます。 両耳を押さえ悶絶する芳一。住職は芳一の耳にだけお経を書くのを忘れていたのでした。​​​ あぁ無情、、。

 

 

 

ドクロ  茶碗の中  中村翫右衛門、杉村春子、仲谷昇、宮口精二、佐藤慶 他

 

家臣の関内は、茶店で水を飲もうと茶碗に水をくむと、茶碗の水に見知らぬ男の顔が映っているのに気付く。水を入れ替えたり茶碗を変えたりしても、同じ男の顔が映っていた彼は男の顔が映った水を飲み干してしまいます。その夜、関内のもとに名一人の若侍が現れますが、その男は昼間、茶碗の中に現われた男でした。関内は彼を斬りつけますが消えてしまいます。屋敷に戻った関内に今度は3人の侍の来訪を受けます。

 

 

 

 

訪れた3人は「主人があなたに斬られて療養中である。来月必ず恨みを果たしに来る」と言う3人に、関内は斬りつけるのでした。 この物語を書いた作家のもとに版元が訪ねて来ます。版元は作家の書きかけの原稿を読むと、「人の魂を飲んだ者の末路は、、」 その時作家の妻が水瓶を指さして悲鳴を上げます。 版元が水瓶に近づくと、水瓶の中に作者が映り、手招きをしていたのでした、、 構成が一番現代的なお話でした。

 

 

 

 

 よく知られたお話も含め、古くから語り継がれた物語で構成された4つのお話。

正直、現代的なホラーの怖さはありませんが、日本の怪談って道徳的な教訓が込められたお話が多い事に気付かされました。作品のほぼ全てがスタジオ内のセットで撮影されている事もあって、物語を含め寓話的で、ある種ファンタジックな世界を感じます。怖さよりも映像の美しさやセットの美術、女性達の所作等のヴィジュアルに圧倒されるアート作品でもありますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ

 

では、また次回ですよ~!  パー