「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフ主演による、実際にあった  脱獄劇をもとに描くスリラー

 

 

 

 

 

 

                -  ESCAPE FROM PRETORIA  - 監督 フランシス・アナン

 

 出演 ダニエル・ラドクリフ、ダニエル・ウェバー 、イアン・ハート  他

 

こちらは2020年制作の イギリス イギリス オーストラリア  

                                                                    の合作映画です。(106分)

 

 

  1978年。 南アフリカ人のティム・ジェンキンは、白人でありながらアパルトヘイト (人種隔離政策) に反対し、ネルソン・マンデラ率いる“アフリカ民族会議”(ANC)の隠密作戦に参加。 同胞のスティーブン・リーと共にアパルトヘイトの撤廃を訴えるパンフレットを配布したために逮捕され、テロリストとして裁判にかけられてしまいます。 主導的な立場のジェンキンに懲役12年、リーに8年の判決が言い渡され、2人は白人の政治犯が多く集まるプレトリア刑務所に投獄される事になります。 

 

 

 

 

最高警備を誇るプレトリア刑務所に収監後、すぐに看守長から 「国と白人を裏切った“白人のマンデラ”だな」 と揶揄され、厳しい獄中生活がスタートします。 刑務所で知り合ったのは、政治犯の長老で終身刑の判決を受けているデニス・ゴールドでした2人は彼にはっきりと 「刑期を全うする気はない」 と、脱獄の意志を告げます。デニスはそんな2人に刑務所の厳重な警備を説明しながら、「我々は“良心の囚人”だ。この刑務所はすぐ脱獄できると思うな」 と注意し、過去に脱獄を企てた囚人がその後どうなったかを語って聞かせるのでした。

 

 

 

 

「デニスは計画にすぐケチをつけるんだ。俺も計画に参加させてくれ」 と、レオナールという囚人が脱獄の仲間に加わります。 その日から、ティムは様々な脱獄の計画を練り始めます。 さまざまな脱獄方法を模索した結果、ティムたちが最後に選んだ手段は、木片を集めて作り出した鍵を使っての脱獄でした。 鍵を作っては夜な夜な解錠を繰り返し徐々に脱獄までに10ある扉の鍵が完成していきます。 そして、ついに投獄から18カ月が過ぎたある夜、ティム達は木で作った自前の鍵に希望を託し、刑務所からの脱走を試みるのでした、、。 というお話です。

 

 

 

 

たまには気分を変えて普段観ないタイプの作品でも借りてみようとチャレンジしてみたのが本作でして、ハリーポッター以外のラドクリフ君作品を初めて鑑賞してみました。軽く脱獄モノという内容だけ理解して、B級シチュエーションスリラーかな?と思ったのですが、なんと主人公であるティム・ジェンキン本人が執筆した実録モノでしたよ!  

 

 

 

 

脱獄ものといえば「ショーシャンクの空に」 や 「アルカトラズからの脱出」 「パピヨン」 「大脱走」 「ミッドナイト・エクスプレス」 「穴」 等々 好きな映画が沢山あるジャンルですが、ガッツリ実録モノのお話。 その分、こじんまりした内容になるのでは?と思った私でしたが前記の作品に比べても見劣りしない脱獄映画になっていました。 

 

 

 

 

本作では囚人を隔離している無数の扉の鍵を、なんと木を削ってコツコツと作っては試し、修正しては試し、という本来地道な作業が、一面一面ゲームをクリアしていくような展開で描かれ、看守に見つかりそうになったり、部屋を探られたり、音を出さないように行動したりといった脱獄モノあるあるもしっかり押さえたエンターテインメントな作品として、ドキドキハラハラ映画に仕上がっていました。

 

 

 

 

ただその反面、主人公達の内面がほぼ描かれず、どのようにしてティム達がアパルトヘイトに反対してこのような行動に参加するようになったのか?等のバックグラウンドには所内での少ない会話でしか触れられない為、映画の根本的な社会的状況やメッセージからはかなりかけ離れた内容になってしまってはいます。 

 

 

 

 

そして、よくある非道極まりない看守という極悪人も、他の映画に比べてマイルドですし、意外と脇が甘かったりする看守陣。 囚人にしてもおとなしい政治犯のグループ内での行動に終始する為、囚人同士の暴力的なイザコザや仲間を売ったりというハプニングもなく、ただただティム達の行動を見守ってくれる存在として描かれています。 この辺りが実話らしさとも言えるのですが、、。 

 

 

 

 

そして前半までは鍵の作り方などを細かく見れたのですが、中盤からは彼等の脱獄計画がかなり大まかに紹介されるようになった事で、後半の脱獄の手順をこちらが知らされていない為、あそこでこうなって、的な同時体験のドキドキ感が味わえず、ラストの最大の見せ場であるスリルに盛り上がりを欠す所も少々ありました。

 

 

 

 

と、多少残念な所もありますが、本作はあくまで苦境に立たされた主人公達の脱獄ドラマにのみ焦点を合わせたエンターテインメント作品として割り切って観た方が楽しめますし、それだけでも十分に面白い映画でもあります。

 

 

 

              (ご本人3人組の写真)↑

実録モノあるあるのエンドロールでは、実際の彼等のその後と写真が映され、この嘘のような脱獄が真実だった事に改めて驚かされますが、3人のうちの1人、レオナールという人物の現在の写真だけが映されなかった事に妙なリアリティを感じてしまいました。

            (ご本人とのツーショット写真)↓

 

 

 

 

主人公を演じたダニエル・ラドクリフ君、君というにはもう立派な大人の俳優さんですがハリーのイメージが強いのが嫌なのか、「他の作品でもヒゲを生やしがち~!」 という私的な感想あるあるを披露した所で、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ。

 

では、また次回ですよ~! パー