ドイツ占領下のリヨンで、レジスタンスのフランス将校が逮捕された。彼はドイツ軍の手によって、脱走不可能と謳われた監獄に入れられる。だが生き延びることを決意した彼は、身の回りの品を使って、脱獄計画を進めていた……。
 
 
 
 
 
 
こちらは1956年制作の フランス映画 になりますフランス
 
フランスの アンリ・ドヴィニ大佐 の手記に基き、 ロベール・ブレッソン が、監督、
 
脚本化した脱獄、サスペンス の作品になります 
 
 
 
 
モノクロで、徹底したリアリズムの手法で撮られ、出演者は全て、演技経験の無い人
 
だけです 脱獄物の映画も沢山あり、「穴」、「大脱走」、「アルカトラズからの脱
 
出」、「ショーシャンクの空に」 等々、傑作と言われている作品が多数存在するジャ
 
ンルでありますが、今作はその後の作品達に、少なからず影響を与えた、元祖的な作
 
品であると同時に、革新的な作品でもあります
 
 
 
 
映画は 「この物語は真実だ」という表記から始まります 本 そして、主人公 フォンデ
 
ーヌ の手が映し出されます 彼がこれから収容される、監獄への車中で、その手が車
 
のドアに手を掛け、タイミングを見計らい、車外へ飛び出すのですが、すぐに捕まり
 
また車中に押し込まれます 射殺されなかっただけ幸運だったかも知れません
 
そのまま車は監獄に着き、すぐさま制裁を受け、独房へと収監されるのですが、ここ
 
から彼の静かで、長い、「抵抗」 が始まります
 
 
 
 
レジスタンスの将校だった彼は、この監獄から脱出する事だけを、生きる希望と同時
 
に、レジスタンスとしての活動として、日々を過ごして行きます ここの監獄では、
 
毎日のように刑の確定により、銃殺が行われています 明日は自分の番では?という
 
場所なのです、、、十字架 独房のドアが木製であった為、食事のスプーンを手に入れ、
 
それを地面で削り、ノミの状態に加工して、そのドアを、毎日少しずつ削っては、簡
 
単に中央部が取り外せるように、長い時間をかけて細工して行きます
 
 
 
 
この過程は、ほぼ手のアップと、彼の顔のショットだけで構成されています そこに
 
は、狭い独房という空間を体感させる効果と、木のドアを削っていく工程が、あたか
 
も自分でもやっているような錯覚を持たせる効果があるのです 1日1回だけ外に出
 
る時間があり、自分の排泄物を捨てに行き、短い洗面の時間だけ、そこに収監されて
 
いる者と、顔を合わせる事が出来るのですが、私語はほとんど利く事が許されていま
 
せんが、短い会話での情報交換をする場所となっています
 
 
 
 
しかし、他の者は彼に賛同する事は無く、脱獄など無理だと諦め、自分の運命を他人
 
に委ねているのでした しかし彼は諦める事無く、しくしくと準備を進めて行くので
 
した、ベッドカバーを分からないように、ロープ状に加工し、あらゆる物で脱走に必
 
要な物を作っていきます その行為は脱走の為というだけでなく、自分が人間である
 
と自覚する為でもあり、その為には「希望」を捨ててはいけない、という事を訴えて
 
いるようでもあります
 
 
 
 
そんなある日、ついに彼に判決が出て、銃殺刑が決まります もう残された時間は無
 
いのです 判決の言い渡された日に、彼の独房に若い囚人が入って来ます まるです
 
ぐにでも、この独房が空くとでもいうような、、、彼は脱獄を決意します、若い同居
 
人を殺して一人で脱獄するか、同居人と共に脱獄するか、彼は同居人と脱獄する方を
 
選びます そして、いざ実行の日がやってくるのですが、、、
 
 
 
 
脱獄の過程は、手記である為、かなり克明に描かれます 「ここで何分待った」等
 
と、ボイスオーバーの手法で説明されます この作品は、克明に描かれる、1つ1つ
 
の工程と同時に、「音」が重要な要素として使われています、銃声や、ドアを削る音
 
看守の足音、等によって、緊張感を醸し出しています
 
 
 
 
大勢に対して、僅かではあるかもしれない、フォンデーヌ の「脱獄」という抵抗なの
 
ですが常に、どのような状態に置かれていようとも、希望と、自分が信じる事をやり
 
遂げるという強い意思を忘れてはいけない、という強いメッセージを感じる作品であ
 
りました
 
 
 
 
この同じ年に、 ポーランドの アンジェイ ワイダ 監督が 「地下水道」 という作品を
 
撮っていたのにも驚きました、国は違えど、同じテーマの作品を作っていたなんて、
 
しっかりとした創作意志を持った映画は、年を追っても色あせない事を証明していま
 
す 皆様も、時にはモノクロームの世界へ飛び込んでみてはいかがでしょうか?
 
では、また次回ですよ~! バイバイ