ベストセラー作家アイラ・レビンが書き下ろし、ブロードウェイで大ヒットを記録した舞台劇を映画化した作品 意表を突く展開とユーモアが魅力のサスペンス・ミステリー
- DEATHTRAP - 監督 シドニー・ルメット 原作 アイラ・レビン
出演 マイケル・ケイン、クリストファー・リーヴ、ダイアン・キャノン 他
こちらは1982年制作の アメリカ映画 です。(116分)
劇作家シドニー・ブリュールは、新作の不出来に頭を痛めていました。プロデューサーは文句を言うし、初日を迎えた新作の舞台はTVで酷評されてしまいました。これで4作続けての失敗です。 かと言って、妻のマイラの金で食べさせてもらうのはプライドが許しませんでした そんな時、大学で彼が演劇について講議した時の生徒クリフォードから批評を自作の批評を求める原稿が届きます。 「死の罠」 と題された脚本は、文句のつけようがないほど完璧な内容でした。 マイラはその青年と協力して作品を手直しして2人の名で発表したらと提案しますが、シドニーにはある考えが思い浮かびます。
彼は自分が人気劇作家として返り咲くために、クリフォードを殺害して作品を奪い、自分の作品にしてしまおうと画策するのでした。早速クリフォードに電話し、数カ所手直しした方がよいと持ち掛けます。 その際、誰にも原稿を見せていないこと、コピーも取っていないことを聞き出し、イースト・ハンプトンの自宅に呼び出す事に成功します。 シドニーの頭はもう計画を実行せせる事だけでした 家にやって来たクリフォードはいかにも好青年で、飾ってある劇の小道具に興味津々な様子です。シドニーは芝居を挟みながら巧みにクリフォードを油断させ、計画通りに彼を絞殺してしまいました。
最後まで殺害に反対していた妻マイラは酷いショックを受けますが、シドニーはそんなマイラに無理やり手伝わせ、クリフォードの遺体を野菜畑に埋めてしまいます。 ほっとしていたところへ来客が訪れます。 それは近所に注む霊媒のヘルガ・テン・ドープでた。 彼女は「痛みを感じるわ」と呟きながら室内をウロウロ歩き回り、シドニー達の不安を煽ります。そしてマイラに体に気を付けるよう忠告し帰っていきました。 二人きりになった夫妻は心を落ち着けるように寝室へ入ります。 すると窓から突然、泥まみれで死んだはずのクリフォードが侵入してきました。 彼は生きていたのです。
クリフォードは握っていた木の棒でシドニーを殴打すると、猛然とマイラに襲い掛かります。 逃げ惑うマイラは元々心臓が弱かったこともあり、心臓麻痺を起こして死亡してしまいました。 マイラを見下ろすクリフォード、その背後には気絶したはずのシドニーが現われます。 クリフォードは「うまくいったね」とシドニーに呟き、キスを交わしました。 実はシドニーとクリフォードは初めから共犯者であり、愛人関係だったのです。 全てはマイラの保険金を目当てに仕組んだ芝居だったのでした。 悲劇の夫を演じ病院へ電話するシドニー。
葬儀を済ませた後、クリフォードを秘書として家に住まわせることにしますが、彼の行動に不審なものを感じるようになるシドニー。 何食わぬ顔をしてクリフォードが執筆していた原稿「死の罠」は、マイラの死にまつわる出来事をそっくりそのまま描いたものだったのです。 こんなものを発表されれば間違いなく終身刑になると考えたシドニーは、、。
かなり昔、〇曜洋画劇場等で鑑賞していた作品でご覧になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? 今回久々にレンタルしてみました。 そこでエンディングに記憶違いがあった事が発覚! てっきりシドニーが、だったと記憶していたものが、あちらだったという、、別の意味で驚きました。 観返してみるものですね~。
元々は舞台劇という作品のためか、お話の大部分はシドニーの自宅の中、といってもそこそこの邸宅ですが、登場人物も5人程度という限られた空間と人物で進みます。そんなんでは途中で飽きてしまうのでは?と思いがちですが、そこはご心配無用。 とにかくお話が面白く、1つのエピソードが終わったかと思えば、また別の展開にというように次から次へと思わぬ方向にストーリーが進んで行き、最後はどうなるのかの予測がつかないサスペンスフルな作品です。
上でご紹介した意外な企みが終わったと思っていると、次はシドニーとクリフォードのマウントの取り合い合戦がスリリングに行われ、心理的、肉体的な攻防戦にワクワクさせられます。 これを演じるのがマイケル・ケインとクリストファー・リーヴの二人。 まだギラギラしている頃のマイケル・ケインが泣いたりキレたりする演技はなかなかの見物です。
対するクリストファー・リーヴもスーパーマンの真逆をいくサイコ感で、両者の駆け引きが本作の一番の魅力でもあります。 中でも二人のキスシーンは妙にエロティックで脳裏に焼き付く事間違いなしです。 この二人同様に印象深いのがシドニーの妻を演じるダイアン・キャノン。 かなりコケティッシュな役柄ながら、驚いた時に発する悲鳴の破壊力はかなりのもので、そこらのホラー映画以上に、ビックリ、イライラさせてくれて、彼女が亡くなった時には正直、安堵した私がいました。 スミマセン。 そして、不意に現れる霊媒おばさんも良い味出してます。
ある種のクローズドサークル映画ですが、手を変え品を変え観客を飽きさせません。最近のどんだけ捻るの?というスリラー作品を見慣れている方にはちょっと物足りなさを感じるかも知れませんが、それでも良質の作品だと思います。 とにかくマイケル・ケインとクリストファー・リーヴ二人の共演が観れる感銘深い映画でもありますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!