世界の名探偵エルキュール・ポワロやミス・マープル、サム・スペード等を一同にパロディ化して、その作者もろとも笑いのネタにしたコメディタッチのミステリー映画

 

 

 

 

 

 

 -  MURDER BY DEATH  - 監督 ロバート・ムーア 脚本 ニール・サイモン

 

 出演 ピーター・フォーク、ピーター・セラーズ、デイヴィッド・ニーヴン 他

 

こちらは1976年制作の アメリカ映画 アメリカです(94分)

 

 

 

 

  ミステリーマニアの謎の大富豪トウェインは、オカルトめいた仕掛けに満ちた自邸に世界中から有名な5人の探偵とその助手を招き、自らが仕掛けた殺人トリックの推理を競わる事に。 探偵たちは様々な仕掛けに驚かされながらも、晩餐の席で始まる事件を解決しようとしますが、その夜、大富豪は謎の死を遂げてしまいます。 しかし、このクローズド・サークルに参加しているのは全員が名探偵とその同伴者、それぞれの「迷推理」で次々と意外な真相を明らかにしていくのですが、、。

 

 

 

 

これまでDVD等で鑑賞出来るアガサ・クリスティ映画を連続でご紹介してきた最後は、もうこちらの作品を於いて他にありません。推理小説に登場する探偵と設定をパロディにした、ミステリータッチのコメディ映画です2、3年に一度はついつい観返したくなる映画で、今回もまた観てしまいましたよ。

 

 

 

 

大富豪 トウェイン から招待状 メール を送られた世界的探偵 5名 ミロ (エルキュールポアロ風を ジェームズ ココ ブリュッセル)、ミス ジェシカ (ミス マーブル風を エルザ・ランチェスター)、サム (マルタの鷹のサム スペード風を ピーターフォーク)、ディック夫妻 (ダシルハーメットの小説の主人公風を  デイヴィッド・ニーヴン と  マギー・スミス)、シドニー ワン (シナの鸚鵡 チャーリー・チャン警部風を  ピーター・セラーズ)と、その助手やパートナーの総勢10名 (ちょっと日本人では、よほどの推理小説マニア 本 でなければ知らないキャラクターが多いのですが、そういう設定と分かれば、特に問題の無い作品で、個人的に金田一耕助が居ないのが残念ですが ) が トウェイン の邸宅に集められます お城 まさに アガサクリスティ の「そして誰もいなくなった」 の設定です。

 

 

 

 

この邸宅に辿り着いた時から笑いの小ネタがさく裂しています。 チャイムを押そうとすると上から花瓶が落ちてきたり (それに引っ掛る探偵もおります) 玄関のチャイムが女性の叫声 だったりと、クスっとする小ネタが続きます (そう、あくまでもクスっですけど)それぞれのキャラクターの軽い紹介は済んでおり、互いに顔見知りであり、ライバル関係である事も触れられます 屋敷に入ると盲目の執事がお出迎え。 これをあの名優 アレック・ギネス が品良くひょうひょうと演じていて、盲目ネタを連打してきます。 

 

 

 

 

そしてこの晩餐の為に雇われた料理人のメイド。 こちらは耳が聞こえないので声も出せないという設定。 この盲目の執事と耳の聞こえないメイドのやりとりも愉快で可笑しいのですが、これを笑いの種としている設定は、現在では難しいでしょうね、、。いよいよ晩餐が始まるという時、部屋が暗くなり、次の瞬間ライがト点滅! 屋敷の主人でホストの トウェインが派手に登場します。(これを 「ティファニーで朝食を」や「冷血」 の著者で、フィリップ・シーモア・ホフマンが彼を演じた 「カポーティ」 という映画にもなっている  トルーマン・カポーティ本人が楽しみながら演じています。結構貴重な映像です)トウェインは彼等を前に発表します 「深夜12時、この家の誰かが殺される」 謎解きに成功した者に、現金100万ドル 札束  とこの謎解きに関わる本や映画化の権利 (これも愉快です) しかし、もし失敗すれば、名探偵たちのこれまでの輝かしい名声は失ってしまう。 そう言い残し、屋敷から出られない状態にして姿を消します。 

 

 

 

 

そして間もなくお待ちかねの殺人が起こるのでありました! なんと、被害者はあの執事でした、という所からいよいよ探偵達の捜査と推理が始まるのであります。 コメディ映画でありますが、一応 推理小説の面白さもちゃんと兼ね備えている本作。殺された執事を確認し、再びその部屋へ戻ると、そこには執事の服だけが座っていて、再び戻ると今度は服を着ていない執事が居たりと、コントのような謎の展開が続きます個人的に好きなのは  ピーター・セラーズ演じる チャン が東洋人の為、主であるトウェインがその都度発音を細かく注意する場面のしつこさに、つい笑ってしまいます。

 

 

 

 

様々な仕掛けで混乱する探偵ですが、実はそれぞれ トウェイン を殺す動機があった事を、探偵同士が暴露し合うという展開に発展します。 つまり5人の誰もがトウェインに殺意を持っていたという探偵小説には欠かせないあるあるを見せてくれます。とりあえずその夜は屋敷に一泊する事になりますが、それぞれの部屋にこれまた仕掛けがあり、殺されそうになります。 しかし、なんとか無事に危機を脱した5人は、遂に真犯人を突き止めます。 その人物に向かって、各々自分の推理を明かし、犯人を追い詰めるのですが、それがとんだ大外れで、逆にお説教をくらう羽目に、、。 

 

 

 

 

「君たちは長年 読者をだまし、腑に落ちない結末で悩ます。 最後の5ページで初めて犯人登場 とは汚いぞ!手がかりも情報も隠し、真犯人を推理させない。何百万の怒れるミステリーファンが復讐するのだ!」 いつも真犯人を当てられない私には刺さる言葉「さあチェックアウトの時間だ!」 と言い放ち探偵達を屋敷から追い出します。 その言葉にすごすごと帰路に立つ 名探偵達、、、あせるこれで終わり、と思った屋敷の中では真犯人が姿を現し、高笑いをするのでありました。ちゃんとラストもセオリーに習って、驚きのエンディングもちゃんと用意している所に、ニールサイモンの洒落たセンスが光ります。 

 

 

 

 

軽いコメディ映画ではありますが、今作でも出演者はなかなか豪華な顔ぶれが揃っています。 今作では触れられないものの、あの名推理をするコロンボの ピーターフォーク。本家「ナイル殺人事件」に出る事になる デヴィッド・二ーヴン、クルーゾー警部の ピーター・セラーズ、同じく本作の後で「ナイル殺人事件」と「地中海殺人事件」の2作に出演する事になる マギースミスって凄いです!、といった顔ぶれです。 地味にマールズの看護人のお婆ちゃんが良い味を出していました。豆知識としてですが、最初のエンディングではラストにシャーロックホームズが登場して事件を解決するという終わり方で撮影もしたそうですが、役者のキャリアのバランスを考え、ラストを変更し、撮影し直したそうでございます。

 

 

 

 

今回ほど難しい事件はないのでは?というエンディングで、もれなく本作でも真犯人を推理出来なかった私。 これに関してはそりゃそうだ!と納得するのでありました。「名探偵再登場」 という作品もありますが、監督、脚本、は本作と同様で、ピーターフォーク主演ですが設定が違うハードボイルド映画のパロディ作品となっていて、本作とは別設定です。 そうそう本作にはペリエの助手役で若き日の ジェームズ クロムウェル も出演してたりしますのでお見逃しなく、って顔はほとんど変化なしですが。そんな訳で、推理小説好きな方や、洒落たコメディ映画が好きな大人の方には楽しんでいただける映画だと思いますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さい。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

オープニングだけで雰囲気が伝わって来る素敵な映像と音楽です。 音譜