孤島に集められた客と使用人の10人が童謡テン・リトル・インディアンズの歌詞通りに次々と殺されてゆく、という アガサ・クリスティ原作のミステリーサスペンス映画。

 

 

 

 

 

- AND THEN THERE WERE NONE - 監督ルネ・クレール 原作アガサ・クリスティ

 

  出演 バリー・フィッツジェラルド、ウォルター・ヒューストン、

                                                                            ルイス・ヘイワード 他

 

こちらは1945年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(97分)

 

 

ミステリーの女王 アガサ・クリスティ の代表作の一つ 「そして誰もいなくなった」。 小説を読んだ事がなくても、タイトルは聞いた事があるという方がほとんどではないでしょうか?その有名小説をフランス人監督 ルネ・クレールが映画化したものが本作になります。

 

 

 

 

  孤島のインディアン島の別荘にオーウェン(U.N.Owen)という差出人からの手紙によって招待された8人の男女が小船で海を渡ってやって来ます。 彼等は互いに面識もなく、繋がりのない人達でした。 8人は別荘に到着しますが、主人のオーウェンの姿はなく、彼に雇われた使用人のロジャース夫婦が彼らを出迎えました。 ロジャース夫婦も手紙で雇われて島に来たばかりでした。 本土との連絡手段は週に2回来るボートのみで、3日後にボートが来るまで島は孤立状態になるのでした。 

 

 

 

 

8人はそれぞれの部屋に案内され、主人のオーウェンが不在のまま晩餐の時間となります。 料理やお酒が振る舞われるテーブルの上には何故か、島の名前同様のインディアンの人形が10体置いてありました。 それを見た一人は童謡の「10人のインディアン」を思い出し歌ってみせます。 その時、オーウェンの声がフロアに響きます。 それは使用人を含め、この島に招かれた10人それぞれの過去に犯した罪を告発するものでした。 その内容は法で裁けない事故とも事件ともつかないものでした。 声は使用人が主人に流すように言われた蓄音機のレコードの音声でした。 その後、ここに居る誰一人オーウェンという人物と直接面識のある者はいないことが判明し困惑します。 その夜、招待客のスターロフが突然その場で倒れ殺されててしまいます。 死因は振る舞われた酒に入れられた毒を飲んだ為でした。 そしてテーブルの上にあった10体のインディアンの人形の一つが壊されていました。 翌日には使用人の女性がベッドで殺されているのが見つかり、人形も8体になった事で、童謡「10人のインディアン」になぞらえている事に気付きます。

 

 

 

 

さらに老将軍が撲殺された死体も見つかり、人形も7体になっていた。 残された7人はついにこれは自分達を殺す為の招待だという事を悟り、犯人のオーウェンを探し出そうと屋敷の中、島内を探しまわりますが、自分達意外の人が居る気配が無い事から、犯人は残された7人の中にいる誰かだと確信します。互いが互いの行動を見張る疑心暗鬼の中、また一人、一人と犠牲者が増えて行きますその度インディアンの人形も1体ずつ減っていくのでした、、。

まぁ75年も前の作品ながら (当然原作の見事さは当然ですが) 全く無駄のない流れるような語り口は観ているこちらを飽きさせません。 「10人のインディアン」の曲を作中の効果として上手く使ったりしてお見事という他ない映画です。逃げ場のない孤島、童謡を使った殺人と、クローズド・サークル、見立て殺人という後世に多大な影響を与える設定を上手く映像化した作品なのは間違いありません。

 

 

 

 

ただ、時代的な事もあるのか、かなりコメディ的な演出によって語られる為に本来の殺人による恐怖、次は誰が殺されるのか?といったサスペンス的なドキドキはほぼ皆無になってしまっているのは少々残念です。 原作の根底にある法では裁かれない悪と、それに対面する人が人を裁くという行為に対する疑念といったシリアスな面は、かなり影が薄くなり、推理劇というエンターテインメントの色が強く押し出されたものになっています。

原作と違ったエンディングも映画オリジナルという訳ではなく、アガサ・クリスティ自身が戯曲化した際に変更したもので、童謡「10人のインディアン」には2通りの歌詞がある事から、もう片方を戯曲に使用し、その戯曲を基にしたものを映画化したという経緯によるものです。 その為タイトルとはちょっと違ったエンディングになっている事は致し方ありませんが、原作のクオリティを考えると少し残念ではあります。 まぁ、それでも十分に面白いのですがね。

 

 

 

 

そして、これは映画オリジナルだと思うのですが、屋敷の中で可愛いネコが度々登場して画面を和ませてくれるのですが、屋敷に住み着いたネコなのでしょうか?エサは?とか、ちょっと考えてしまいました。 そしてエンディング、誰もいなくなった屋敷に取り残されてしまったのか、あの方連れてってあげなかったのかな~? と、本筋とは関係ない所で気をもんでしまった私でありました、、。 猫

 

 

 

 

しかし、これだけの原作を見事な手腕で映画化したルネ・クレール監督は、やはり素晴らしいの一言で、アガサ・クリスティ原作の映画化のお手本のような作品ではないでしょうか? それと同時に何故か 「名探偵登場」 を久々に観たくなる作品でもありました。

 

「10人のインディアン」 字幕の訳

 1人のインディアンがのどを詰まらせ9人になった

 9人が夜更かし 1人が寝過ごし8人になった

 8人のインディアンがデボブォンを旅した 1人がそこに残り7人になった

 7人のインディアンが薪を割っていた 1人が自分を2つに割って6人になった

 6人のインディアンがハチの巣をいたずら 1人が刺されて5人になった

 5人のインディアンが法律を勉強した 1人が裁判所に入って4人になった

 4人のインディアンが海に行った 1人が燻製ニシンにのまれて3人になった

 3人のインディアンが動物園を歩いていた大きなクマが1人を抱きしめ2人になった

 2人のインディアンが日向ぼっこ 1人が日干しになって1人になった

 1人のインディアンが最後に残された彼が首をくくりそしてあとには誰もいなくな

                                   った。

 

歌詞の成り立ち、時代背景も分からないままだとなんとも不思議に思える歌詞ですね今観ても十分面白い映画だと思いますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー