アガサ・クリスティが1937年に発表した推理小説の映画化作品。 名探偵エルキュールポアロが船上での怪事件に挑むクローズド・サークルものの傑作の一作。

 

 

 

 

 

 

   -  DEATH OF THE NILE -  監督 ジョン・ギラーミン

 

  出演 ピーター・ユスティノフ、ジェーン・バーキン、ミア・ファロー、

                                                                               ベティ・デイヴィス 他

 

こちらは1978年制作の イギリス映画 イギリス です。(140分)

 

 

アガサ・クリスティが1937年に発表した小説 「ナイルに死す」 の映像化作品で、「オリエント急行殺人事件」 につづいて映画化された豪華俳優陣のアンサンブル作品で、本作でも名探偵エルキュール・ポアロが事件に挑みます。

 

 

 

 

  大富豪の父の遺産相続人となった娘のリネットは、親友のジャクリーンから婚約者であるサイモンが失業したため、リネットの屋敷で雇って欲しいと相談を受けます後日リネットはサイモンに会う事となりますが、二人は恋に落ちてしまい、ジャクリーンからサイモンを奪うようにして二人は結婚してしまいます。​​​いまや若き富豪となった夫妻は、新婚旅行でエジプトに赴きますが、旅行先にジャクリーンが付きまとうように姿を現し困惑するリネット夫婦。   

 

 

 

 

ナイル川の船旅を待つ乗客の中には、旅行中の私立探偵ポアロがいました。 事情を察したポアロはジャクリーンを優しく諭しますが、彼女は持っていた拳銃をポアロに見せ、「これをあの女の頭に突き付けてやりたくなる 絶体に逃がさない」と婚約者だったサイモンを奪ったリネットへの怨みを告白し、ポアロはそんなジャクリーンに警告をします。翌日遂にナイル川の船旅の乗船が始まります。 ポアロの旧友であるレイス大佐も休暇で共に乗り込みます。  しかし、その他の乗客の多くはリネットとその父親に怨みを持つ者ばかりでした、、。

 

 

 

 

リネットの叔父で財産の管理者でもあるアンドリュー、リネットを彷彿とさせる登場人物をネタに小説を執筆し名誉棄損を訴えられている作家サロメ、サロメの娘でリネットに嫉妬心を抱くロザリー、リネットの真珠のネックレスに執着を見せるバン・スカイラー、その付添い看護師は彼女の父親に家を破産させられたバウァーズ、リネットに藪医者呼ばわりされた医師のベスナー、ブルジョア階級を憎悪する学生ファーガスン、退職を許されず自身の結婚を破談させられそうになったメイドのルイーズと、くせ者ばかりの乗客。

 

 

 

 

観光で停泊したエジプトの遺跡では、リネット夫婦の頭上に落石が起こり、身の危険を感じるリネット。 そこに再び姿を現すジャクリーン、彼女もまた船へと乗り込みます。その夜、酒に酔ったジャクリーンがサイモンの足を拳銃で撃つ騒ぎが起こります。その騒動が明けた朝、メイドのルイーズの声が船に響きます。 何と、リネットが船室で銃殺されているのを発見したのでした。 壁には「J」の血文字が残されていました。ポアロは旧友のレイス大佐とともに船上で捜査を開始するのですが、、。今作も「オリエント急行殺人事件」同様、船上でのクローズド・サークル物ではありますが、停泊したりする分、密室感は少なく、観光旅行のリゾート気分も味わえる風通しのよさがあります。 しかし、犯行は一夜の船上の中という事件の為、乗客それぞれの一夜の行動が重要なカギとなります。 

 

 

 

 

本作の面白い所は前作に負けない位に豪華なくせ者客の顔ぶれです。 ミア・ファロー

ベティ・デイヴィス、マギー・スミス、ジェーン・バーキン、オリヴィア・ハッセー、ジョージ・ケネディ 、ジャック・ウォーデン、といった面々。 意外とポアロやリネット夫婦という主役の方がかすむ配役であります。 個人的にはポアロと捜査をするレイス大佐役のデヴィッド・ニーヴンの漂々とした感じが映画を和ませる役目をしていて好きでした。 他にも作家のサロメを演じたアンジェラ・ランズベリーのシンディー・ローパーを思わせるキテレツ感も良いアクセントになっていました。そんな乗客全員がリネットを殺害する動機もチャンスもあった事から、ポアロは一人一人が犯人だった場合の仮説を披露してそれぞれを追い込んでいくのですが、この全ての仮説を映像でなぞってくれるのがこの作品の楽しい所でもあり、ちゃんとそれを上回っていく事実の見せ方がスマートで、この手の作品の魅力でもあります。

 

 

 

 

本件の殺害方法には多少の力技(あれだけの時間を確保し得たか、その時間内に一連の行動を成し得たか?)という小説上では可能と思わせられるものが、映像になると時間という可視化によって微妙に感じてしまう所が出てしまう部分もありますが、それをも凌駕してしまう見せ方と演技の楽しさが堪能出来る作品なのは間違いありません。当時は珍しかったエジプトという国のロケーション。 現在では多分撮影出来ないであろう実際の遺跡での撮影、ミア・ファローなんてアブシンベル神殿の石像から登場していたり、ピラミッドに登ったりという、時代を経て逆に貴重になった本物の映像が観れます。そんな映像を含め、とにかくこのクラシカルな雰囲気の画は最大の魅力的です。 本作はアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞していて、特に女性陣のエレガントな衣装は見物です。 装飾の多いドレスも素敵ですが、私が一番目を惹いたのは看護師役のマギースミスが着ている男装的な衣装は斬新かつエレガント。 特にアールデコ風のナイトガウンのデザインとタキシード姿は素敵でした。 そして音楽はニーノ・ロータでございます。

 

 

 

 

まぁこのように映画自体よりもロケーションや衣装を楽しむというのも映画の楽しみ方のひとつでもありますね。 お話はアガサ・クリスティですから面白いのは保証付きです。そして本作のリメイク(その順番もそのままという所が笑ってしまいますが)もありますね。「オリエント急行殺人事件」 のリメイクは微妙でしたが、本作はきっとCGをふんだんに使って映像は綺麗になっている事でしょうね。 ポアロに本作のような味を出せるのかが一番の課題だと理解しているであろうケネス・ブラナー版も、微妙な配役も含めて楽しみです。 ついでにテレビの「名探偵ポアロ」バージョンの「ナイルに死す」も鑑賞してみましたが、そちらも素敵でリネットをあのエミリー・ブラントが演じていましたよ!。そちらも興味があればチェックしてみて下さい。という事で、機会がありましたら一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

日本公開の為に制作されたイメージ曲 大好きなサンディーが歌ってたなんて! 音譜