シャイで臆病な青年とクールで知的な女性の恋愛模様を、青年が見る夢と現実を交錯させながら描くロマンチックなラブストーリー。

 

 

 

 

 

  

           -  LA SCIENCE DES REVES  - 監督 脚本 ミシェル・ゴンドリー

 

 出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール 他

 

こちらは2006年制作の フランス フランス イタリア イタリア の合作映画です。(105分)

 

 

 

 

  仕事も恋愛も何一つうまくいかずパッとしない人生を送ってきたステファンは、父の死をきっかけに長年暮らしてきたメキシコから母のいるパリに帰郷する事に。 母親が大家をしているアパートに移り住み、ついでに就職先も見つけてもらうステファンこれでパッとしない生活も良くなるとステファンは思っていました。 しかし、会社に行ってみると、イラストレーターとして雇われたと思っていたのに現実はつまらないカレンダーの製版係でした。 理想とかけ離れた退屈な仕事に早くも落胆するステファン。 

 

 

 

 

そんなある日、ステファンの部屋の隣に新しい住人が引っ越して来ます。 たまたま通りかかったステファンは引越し屋の不注意で怪我をしてしまい、隣人のステファニーと彼女の友人・ゾーイに手当てしてもらいます。 しかしステファンは、引っ込み思案でシャイな性格のため、隣に住んでいることさえ言えない始末。 やがてステファンはクールで知的なステファニーを好きになるのですが、あっさりふられてしまうステファン。 

 

 

 

 

そんな現実から逃避するように、ステファンは夢の中で彼女と恋愛するようになります。やがて思い込みの激しいステファンは、現実でもステファニーと「恋人同士」だと思うようになり、夢と現実がごちゃ混ぜになっていきます。 そんな妄想が止まらないステファンにステファニーが出した答えとは? というお話です。

 

 

 

 

主演がガエル・ガルシア・ベルナルとシャルロット・ゲンズブールという、かなりトリッキーなキャスティングだけで、かなりワクワクしてしまった私。大まかなお話としては、夢遊病気味の青年ステファンが、アパートの隣人ステファニーに片想いするラブロマンスもので、ヴィジュアルもかなり楽しいファンタジックな作品なのですが、実はかなり紙一重なお話でもあります。

 

 

 

 

この主人公のステファンがなかなかの病み気味な性格、というかほぼ統合失調症といった感じで、映画のオープニングも彼の見ている不思議な夢から始まるというもの、夢の中で現実との帳尻合わせをしてきたステファンですが、新生活と仕事、そして恋に落ちてしまったものですから、ステファンの頭はキャパオーバーを起こし、夢と現実がどんどんゴチャゴチャになってしまいます。

 

 

 

 

それを上回るようにステファニーに対する気持ちが強くなり、もうお手上げ状態になってしまうステファン。 かなりコメディ風に描かれていて、多少の救いはありますが、見ようによっては現実世界になかなか馴染めない病んだ青年の心情を描いた作品でもあります。

 

 

 

 

この主人公を演じる二人のギクシャクした感じがなかなか見物で、ガエルの病んだコミカルな演技とシャルロットのナチュラル感から起こる、世界観が違いそうな二人の役者の化学反応を観ているのが面白い映画です。

 

 

 

 

その演者二人以上に楽しいのが、ステファンの夢の世界のヴィジュアルです。 彼の幼稚さを表すように、その夢の映像の中はボール紙やセロファン、針と糸と布で作られたようなハンドメイドな世界。 一秒タイムマシンやヘルメット、大きな手やフェルトの馬など不思議な小道具も楽しめます。 ストップモーションアニメのコマ送りで創造された映像は、とっても可愛らしくて正に夢の世界のようで、この手の映像好きにはたまりません。

 

 

 

 

しょっぱいラブストーリーとファンタジックな夢の幻想のバランスが、いまだに大人になれない私なんかには響くものがありました。 そしてラストシーンの素敵なことったら。素直にはお薦め出来ないタイプの映画ですがちょっと変わった恋愛物をご覧になりたいという方は、この機会にでもいかがでしょうか?です。

 

では、また次回ですよ~! パー