ニューヨークを舞台に、若い男女の24時間の恋愛を描いた作品。

 

 

 

 

 

 

        -  JOHN AND MARY  -  監督 ピーター・イェーツ 

 

 出演 ダスティン・ホフマン、ミア・ファロー、マイケル・トーラン、

                            サニー・グリフィン他

 

こちらは1969年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(92分)

 

 

 

 

 

 

  大都会ニューヨークの朝。ジョンとメリーは同じベッドで目をさました。 昨夜、あるスナックで2人は初めて知りあったのだが、その後の記憶がお互いになかった。 熱いシャワーをあびるメリー。 朝食の支度をするジョン。 2人はそれぞれに相手のことに気をくばりながら、朝の時間をすごすのだった。 

 

 

 

 

 

 

メリーが化粧している間に、ジョンは彼女のバックの中にあった中年の男の写真をみつけ、ちょっとやきもちをやいた。 その写真の男は、メリーの以前の恋人のジェームズであった。 彼女の心には、その恋の記憶がよみがえってきた。大学教授で妻子のある彼との、人目をしのんだ恋。 でも、楽しかった日々。

 

 

 

 

 

 

ぼんやりとそんな想い出にふけっているメリーを見て、ジョンは以前同棲していたファッション・モデルのルースのことを考えた。 しばらくして、2人は昼食をとった。そして、メリーはまた寝てしまった。 いつしか雨が窓ガラスを打っていた。 

 

 

 

 

 

 

やがて別れの時間がきた。ジョンがメリーをひきとめる言葉を頭の中で考えているうちに、メリーは雨の中を去って行ってしまった。 彼女が帰った後、ジョンはひどく後悔をし、あてもないまま、ニューヨークのここかしこを探しまわる、、。

 

 

 

 

 

 

遥か昔、まだ私が10代だった頃にTVで観た本作。 あまり恋愛映画が得意でないのですが、この映画は面白かっという漠然とした印象だけはあったこの作品。 よくよく考えたらあのダスティン・ホフマンとミア・ファローが共演しているという貴重な映画という事もあって、何十年か振りにレンタルしてみました。

 

 

 

 

 

 

一夜を共にした男女がお互いの名前を告げあうまでの一日が描かれた本作、ただそれだけのお話なのですが、二人のストーリーが進む中でそれぞれの心の声や回想が挟み込まれ、互いの気持ちの探り合いや、恋愛のマウントの取り合いといった男女の駆け引きと同時に、徐々に二人の気持ちと心が繋がっていく様が赤裸々に描かれていきます。

 

 

 

 

 

 

まだ薄暗い部屋のベッドで目覚めるメリー。 隣にはまだよく知らない男性が寝むる中窓の外や部屋の中の散策を開始。 寝たふりしながらその様子を伺うジョン。 シャワーを浴びながら彼女と出会った昨夜のバーを思い出していきます。

 

 

 

 

 

 

男の部屋に貼ってある女性の写真、女のバッグに入っている男性の写真、互いに想像を巡らせます。 「眠れた?」「ええ何とかね」、平常心を保とうと装う二人。 朝の身支度をしながら(猫と同じだ 住みつく前に家じゅうかぎまわる 今が一番肝心だ)と自分に言い聞かせるジョン。 

 

 

 

 

 

 

潔癖症らしく朝食の準備をしようとしますが、二人分必要か悩んだあげく 「朝飯食べる暇ないよね?」「作ってほしい?」「いや僕がやる」と、結局二人で朝食をとる事になってしまいためらうジョン。 このなんてことない言葉の駆け引きや、偶然言ってしまった言葉の綾から始まる男女の不思議な関係がこの映画の最大の魅力です。

 

 

 

 

 

 

朝食を食べながら「部屋がたくさんね 奥さんは旅行中?」(部屋を見たな)「私達の台所なんて悲惨よ」(誰と住んでる?亭主?恋人か)と表面的な会話をしながら心の中で互いに探りを入れる二人のやり取りが愉快でリアル。 そんな中でもついウンチクを語ってしまうジョンと、細かい事は気にしない対照的なメリーとの相乗効果が楽しいです。

 

 

 

 

 

 

そして徐々にお互いの男性遍歴や女性遍歴話になりますが、ちょっと怪しい雲行きに後ろめたかったのか帰ろうとするメリーを引き留めるように独身である事を告げるジョン、 昨夜の口実だったレコードを聴かせようとあたふた。 再びコートを脱いでソファーに座るメリーを見て(やり方が上手いな 帰り支度をして僕に引き留めさせた)と後悔、、。

 

 

 

 

 

 

やっと落ち着いた所で互いの身の上話を聞きながら、過去の恋愛を回想する二人。座り心地の悪いソファー、出て行った彼女からの電話、再び帰ろうとするメリーに出て行った彼女の話を聞かせるジョン。 突然犬を連れて押しかけてきた彼女、見たこともないやたら長いパスタとそのまま鍋放り込まれたニンニク、料理にテニス、聖人の母、、。

 

 

 

 

 

 

再びコートを脱いだメリーにお昼のメニューを選ばせる2択クイズが出題されます。極上のステーキか鱒のムニエルのチョイスでステーキを指さす彼女。 しかしここでつい「魚は夕食で」という言葉を足してしまうメリー。 ここで映像はストップし、互いの心の声が聞こえます。(しまった)(越してくるぞ!)(夫婦のセリフよ)(夫婦のセリフだ)取り繕うように「夜にはいないわね」「そうだね」とやり過ごす二人の噛み合い方がまた愉快。

 

 

 

 

 

 

昼食は白ワインとふかふかに焼きあがったチーズスフレが美味しそう。 そしてしばしのお昼寝。 いつの間にか外は雨、 「それでどうするの」「ここにいよう」 「いいことね 時計を気にしてあわてて帰らなくていい 普通だけど、、めったにないわ」 やっといい感じになるジョンとメリーでしたが友人との約束を果たそうとするメリーの態度に困惑するジョン。 すれ違う心はなかなか嚙み合わず、遂にメリーは部屋を後にするのでした、、。

 

 

 

 

 

 

身体から始まった関係が、時間を共有する事で徐々に心が繋がっていく二人の関係とその過程につい引き込まれてしまう程、魅力的で普遍的なものを感じる作品です。

 

 

 

 

 

 

互いに自分をどう思っているのか、どちらが主導権を握るのか、帰ってしまうのか、帰らないでいようか、恋人候補になりそうな相手との些細な駆け引きと発見のやりとりは、誰しもが共感してしまう魅力とときめきを感じさせられる物語です。

 

 

 

 

 

 

潔癖症で皮肉屋で、時に野暮ったく時に男前のジョンと、まるで猫のように気まぐれで掴み所のない純粋なメリーとの不思議な関係。 それを取り巻くジョンの部屋と近代的なインテリア、そして大活躍の綺麗なキッチン。 

 

 

 

 

 

 

レースの襟が付いたレトロなワンピースとカリメロチックなセシルカット、大きめの赤いニット帽とマフラー、2階に暮らす謎の日本人、ルージュの伝言を思わせる鏡に書いた電話番号とGOOD BYEの文字、そしてニューヨークの街並み。

 

 

 

 

 

 

エンディングは物語の始まりと同じベッドに入り、初めてそこでお互いの名前を告げあうという洒落た演出が素敵です。 二人の過去の失敗や経験がフラッシュバックする中でも、切れそうでなかなか切れない運命の糸がどう紡がれていくかに目が離せなくなる愛しい作品です。

 

 

 

 

 

 

「真夜中のカーボーイ」のラッツォと「ローズマリーの赤ちゃん」のローズマリーという異色カップルが織りなすちょっと大人な恋愛模様。 恋愛映画が苦手な人にこそ観て欲しいラブストーリーになっていますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませ、です

 

 

では、また次回ですよ~! パー