イギリスの作家リチャード・アダムスによる野うさぎを主人公に描いた児童文学のアニメ化映画。 原作は1973年にカーネギー賞とガーディアン賞をダブル受賞した。

 

 

 

 

 

 

      -  WATERSHIP DOWN  - 監督 脚本 製作  マーティン・ローゼン

 

声 ジョン・ハート、リチャード・ブライアーズ、マイケル・グレアム・コックス 

 

こちらは1978年制作の イギリス映画 イギリス です。(93分)

 

 

 

 

  イギリスのハンプシャー州にサンドルフォードというウサギの巣穴がありました

その地で、ヘイズルと仲間のウサギは幸せに集落を作って暮らしていましたが、そんなある日の事、彼の弟であるファイバーが、自分たちに恐ろしいことが起きると騒ぎ出します。 ファイバーには予知能力があり、それを信じていたヘイズルは長老たちに必死に避難を促すしますが、真面目に相手にしてもらえませんでした

 

 

 

 

仕方なくヘイズルは夜になるのを待って、弟と賛同してくれた仲間のウサギたちを伴い、住み慣れた地を離れることを決意します。 行き先も決まっていない旅が始まりました、彼等を捕食する生き物の中をくぐり抜け、川を渡り、道路を越え、途中で仲間がフクロウにさらわれる悲しい出来事を乗り越えます。 旅の途中、遅れて自分たちを追ってきたウサギに、サンドルフォードの巣穴が人間達につぶされて滅亡したことを聞いたヘイズル。ファイバーの予知は現実となったのでした、、。

 

 

 

 

ある雨の日、疲れ果てた彼らの前に一匹のウサギが現われました。 カウスリップという名のウサギが住む村には空いた穴が沢山あると教えられ、ヘイズル達はその村へと訪れす。 村は一見して理想郷のようで、食べ物は人間が置いて行くと聞きます。 一同は定住を考えましたが、翌朝仲間が人間の仕掛けた罠に捕まってしまいました。 実はこの地は人間がウサギを放し飼いにしている養兎場だったのです。仲間の罠を協力して外したヘイズルたちは、そこから見えた小高い丘こそ自分たちが目指す地だと確信して丘を目指して旅を続けることに決めます。

 

 

 

 

数多の危険を乗り越えながら、なんとか目標の丘に辿り着いた一行はそこを安住の地に決め暮らし始めます。  ある日、傷ついた鳥のキハールに出会い仲良くなるウサギたち。 穏やかな暮らしがつづくものと思っていた彼等でしたが、それでは足りないものがありました。 メスの存在です。 メスが子供を産まなければ村は滅びると気付いたヘイズルは、新しい地で発展していくためにメスを探すことにします。

 

 

 

 

キハールにも空からメスを探してもらう事にします。 そこで知ったのがエフラファというウサギの繁殖地の存在でした。 ヘイズルは、そこに赴きメスたちに自分たちの見つけた地、ウォーターシップダウンに移住を促しました。 しかし、エフラファは、過激な将軍ウーンドウォートによる軍国主義により支配されていて、外敵から巣を守ることを過剰に優先し、そのためウサギたちには自由がありませんでした。 メスたちはそんな自分たちの環境に不満を懐いていました。 ヘイズルたちは、メスたちを将軍ウーンドウォートの支配から解放する作戦を立てる事にします。 仲間を潜入させ、将軍に反感を持っているメスとキハールの協力を得ながら、川を使ってメスたちを逃亡させることに成功します。

 

 

 

 

しかし、しばらくして、ウーンドウォート将軍が報復にウォーターシップダウンに攻めて来ました。 ヘイズルは怯える仲間たちのリーダーシップを取って難を逃れますが、将軍はあきらめておらず穴を掘り進めてウォーターシップダウンに迫ってきました。 ヘイズルは自らの危険も省みず、近くの農場で飼われている犬を利用して将軍たちエフラファのウサギを追い払うのでした。 しかしヘイズルは農場の猫に捕まってしまいますが、飼い主の人間の少女によって救い出され解放されます。

 

 

 

 

ウォーターシップダウンを繁栄に導き、長い間皆を守り続けたヘイズル。 ある日、彼の前に神エル・アライラーと思われる光るウサギが現れます。 ヘイズルは穏やかに笑って、うさぎに導かれるまま天に昇って行くのでした、、。昔から観よう観ようとしていた本作。 野うさぎを主人公にした児童文学作品ですが、ディズニーに代表される可愛らしい擬人化はされていません。 口を動かして喋ったり、知能や知性はありますが、ウサギの骨格の動きと習性、仕草はほぼ現実のウサギに沿っています。 そんな事もあり、ただ子供向けの可愛らしい画とストーリーを期待するとちょっと面食らう所も多々あります。

 

 

 

 

そして、画同様にかなり内容的にも写実的な部分が多く、動物同士の捕食や縄張り争いという描写では、かなりバイオレンスで残酷な表現がされています。 それに伴い、画面に動物の血がそこそこ登場するという、リアル志向の作品です。 ただ個人的にはオトボケキャラのキハールがお気に入りでしたが、、。本編のお話に入る前、聖書のような件があります。 ここは劇中の画とは違うテイストの絵で描かれ、地球に生き物が誕生した時の事がおとぎ話のように語られます。

 

 

 

 

様々な生き物は皆同じで草を食べていましたが、ウサギは増え皆の分まで食べてしまいました。 ウサギの王に神様は、「一族をおさえられないなら私が何とかしよう」 と言いましたが、ウサギの王は、「ウサギは世界一強いのです」 と言って相手にしませんでした。 怒った神様は生き物たちに「それぞれ恵みを与え皆違うように変えてやろう」 と言ってキツネや犬やネコ、タカやイタチと姿を変えて、ウサギを狩るようにしてしまいました。

 

 

 

 

ウサギには輝くしっぽと早く走れる足を授けました。 というお話。 このオープニングは映画のエンディングと繋がった世界観でくくられる事になるのですが、本作では生きる事食べる事、繁殖、と死という普遍的な自然の摂理が作品を貫いて描かれています。それはウサギであろうと人間であろうと、他の生き物であろうと何ら変わりはない世界。その為、児童文学ながら弱肉強食のきわどく悲しい場面も多くあります。 そういった所に70年代という時代も感じますが、反面で子供の感受性を信じていた大人の時代でもあったような気もしてならないのです。

 

 

 

 

そんな時代も感じる独特の映像によるアニメーションですが、軽い気持ちで観始めたら意外にズシンと心に響く作品でした。 動物を主人公にした作品を観ると、毎回自分が破壊者で捕食者側の人間である事に矛盾を感じてしまう描写も多々あって、正直しんどい部分もありますが、もしかしたら、昔、子供だった今現在の大人の方が、より理解して感動出来る作品かも知れませんので、ウサギ好きな方は勿論、動物好きな方には是非、機会があればご覧になってみて下さい。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主題歌をアート・ガーファンクルが歌っています。「Bright Eyes」 宜しければ。 音譜