「ウェルカム・ドールハウス」のトッド・ソロンズ監督による異色ドラマ。一見幸福そうに見える三姉妹を中心に、アメリカ郊外に暮らす普通の人々の心の闇を描く カンヌ国際映画祭で国際批評家賞を受賞。

 

 

 

 

 

 

                - HAPPINESS  - 監督 脚本 トッド・ソロンズ

 

   出演 フィリップ・シーモア・ホフマン、ララ・フリン・ボイル、

                                                                          ジェーン・アダムズ 他

 

こちらは1998年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(134分)

 

 

普通の中流家庭の幸せそう見える人々にも、それぞれ悩みと心の闇を抱えているその姿を、皮肉とブラックなユーモアで描いた人間模様映画です。

 

 

 

 

  舞台はニュージャージー州の郊外 そこに暮らすジョーダン家の両親と三姉妹のお話です。 三姉妹の両親は、60代後半にもなって、離婚する話が進行していました。三女のジョーイはふった彼が自殺したショックで仕事を辞め、新たに外人向けの英語塾の講師になります。 そこで知り合ったロシア人と恋に落ちるのですが、これが物を盗むは、お金を彼女に借りるはと、ろくでもない奴ですが良いようにコマされてしまいます

 

 


 

 

次女のヘレンは人気作家ですが、スランプに陥っています。 幼い頃にレイプでもされてればと、自分の作品にリアリティがない原因を、現在になって嘆いていて、レイプ願望が芽生えています。 そんな彼女のマンションの隣には、彼女に思いを寄せる、太っちょのしがないサラリーマンのアレンが住んでいました。アレンは現実では女性に声もかけられない事のはけ口として、電話帳を片手に、夜な夜ないやらしいいたずら電話をかけて自慰行為にふける日々です。

 

 


 

 

彼のすじ向かえには、彼に想いを寄せる、大柄で太った中年女性クリスティーナが孤独に暮らしていますが、彼女はマンションのドアマンにレイプされてしまいます。 怒りに震えた彼女は男を殺して切り刻み、パック詰めにして少しずつトイレに流していました。ある日アレンは思いを寄せるヘレンから思いもよらない誘いを受けます。 ヘレンの目的は小説を創作する上での刺激でした。 しかしいざとなった瞬間、現実に戻った彼女はアレンを拒否してしまいます。 ヘレンに拒否され失意にいたアレンは、怪しい隣人クリスティーナと勢いで束の間の交情をもつのでした、、。

 

 

 

 

長女は男の子二人の母になり、旦那は精神科医で、普通より裕福で恵まれた生活を送っていましたが、実は旦那のビルは小児愛者でした。 11歳の長男の同級生を好きになり、ついには家に泊まりに来た際に、少年をレイプしてしまうのです(それも彼で二人目)最後、彼は息子に理由を質問され、正直に真相を話します。 自分を止められなかった事、そしてその瞬間は、とても幸福感に包まれた事など、、。 

 

 


 

 

このシーンはとても素晴らしかったです。 親子という関係を越えて、まるで立場が逆転したかのように、ビルが患者で、息子が精神科医にでもなったように彼の言葉に耳を傾けます。 この場面では二人共とても繊細なシーンをみごとに演じていて、この異様な設定を忘れる程です。まぁ最後は警察に逮捕されるのですが、、。

 

 

 

 

様々な出来事を経た一年後、両親の家で食事会が開かれ、三姉妹が集まった所で映画はエンディングとなります。 三姉妹それぞれが自分の描く幸せを模索して夢が破れそれでもまた幸せを追い求める姿。 個人の幸せって、他人から見ても分からないパーソナルなものという事を、皮肉交じりにしみじみと感じさせてくれる作品でした。出ている俳優さんは皆、役にはまっていて、ビルの親子も素晴らしいのですが、三女を演じる ジェーンアダムス、そして次女の隣の男を演じている フィリップシーモアホフマンがこれまた素晴らしい演技を見せてくれています。

 

 


 

 

一応ブラックコメディと括られておりますが、決してそれだけでは括れない人間の恥ずかしい業やエゴの一端を垣間見せてくれる作品です。過激な暴力描写や性描写はほとんどありませんが、普通の人々の生活に潜む狂気じみた闇を、強烈なブラックユーモアを通して描かれたホームドラマ映画です。ちょっと斜め目線で見た普通の人達の日常生活。 機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー