「アメリ」 「天才スピヴェット」 の ジャン=ピエール・ジュネの監督作品。 頭に銃弾を受け仕事も家も失った男が、個性的な仲間たちと共に、自分の人生をブチ壊した者たちに仕返しを謀るコメディー映画です。

 

 

 

 

 

 

    ‐ MICMACS A TIRE-LARIGOT  -  監督 ジャン=ピエール・ジュネ

 

出演 ダニー・ブーン、ドミニク・ピノン、ヨランド・モロー、オマール・シー 他

 

こちらは2009年制作の フランス映画 フランス です。(105分)

 

 

 

 

  レンタルビデオ店で働くバジルは、偶然居合わせた発砲事件で流れ弾を額に受けてしまいます。 額の弾を取り除くことは非常にリスクが高かった為、​​​​​摘出されないまま頭の中に残ってしまう事になりました。 そのせいで仕事はクビになり、彼は全てを失ってしまいました。 路上生活をする羽目になったバジルに声をかけてきたのはプラカール。彼は友人達とスクラップ工場の中で暮らしていました。 彼等はそこにある廃品を修理しながら生活していました。 住人たちはとても個性的で冷蔵庫に入れるほど体の柔らかい軟体女性や、計算の得意な女の子、人間大砲ギネス記録保持者や民族歴史学者など、それぞれ特技を持った個性的な人達でした。

 

 

 

 

その住人たちと仲良くなったバジルは仲間達と新たな人生を歩み始めることになりますある日、30年前に父を殺した地雷を製造した会社と、自分の額に残る銃弾を作った会社が向かい合って建っているのを発見するのでした。 憎しみを募らせたバジルは復讐を誓います。 一人では何も出来ないと思った彼は、工場の仲間に復讐を手伝ってほしいと相談します。 彼らは快く承諾し、共に軍需企業へのイタズラ(復讐)を企てる事になるのでした、。

 

 

 

 

この映画でもぶれる事のないジャン=ピエール・ジュネの独特な世界観が楽しい作品です。 今作は、ジュネ版「スパイ大作戦」いや、「ハングマン」のような悪者を懲らしめる、リベンジものになっています。主人公バジルは、偶然知り合った、自分とどこか似た 個性的な、それゆえ社会から疎外された人達と、廃品の山の中に造られた、我が家で、片寄せ合い暮らして行きます。そこに暮らす人達は、皆、何故かとても幸せそうでなのが印象的です。

 

 


 

 

そんなある日、バジールは自分が子供の頃、父の命を奪った地雷の製造元と、自分の額に打ち込まれたままの、弾丸の弾の製造元が、近くの街に向かい合って建っているのを発見した事で、バジルは復讐の炎を燃やしてイタズラを企てていきます。 この暴力ではない 「イタズラ」 という復讐方法がいかにもジュネらしくて素敵です。語り口や映像もジュネらしい世界観で、ファンタジー的なフィルターを通した世界で展開されていくのですが、見方を変えて見てみると、非常にシビアで、現代的な問題を描いているのが分かります。

 

 


 

 

社会から疎外された人達、弱者やホームレスといったマイノリティの人々。 大量の「物」の消費やテロリズム、武器商人、その被害者と、それによって富を得る金持ち等。まぁ、ジュネがそこまで考えて撮っているかは微妙ではありますが、、、ある意味重いテーマを 「アメリ」 や 「スピヴェット」 と地続きの世界でファンタジックに描かれています。

 

 


 

 

最後の方のシーンで、ガラクタで作った、何の役にも立たなそうな、ハンガーに吊るされた服がダンスしてるように見えるガラクタの機械がとても印象に残りました。全く物語上必要ないとも思えるシーンですが、そんな 「ガラクタにもちゃんと存在意義がある」 と言われている気になる彼らしいこだわりが見えて、にやけてしまうのでした。本作を観て、ジャン=ピエール・ジュネという監督は 「愛」 について語る作家なのだと、つくづく感じました。 そして、「愛」 を信じている人 それを伝えたい人なんだと、、。機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー