15年前の誘拐事件で幼い娘を失ったハギョンは、当時の担当刑事チョンホの訪問を受け、もうすぐ時効が成立することを告げられる。未だに犯人を見つけ出そうと事件のことを調べ続けているハギョンにとって、それは決して受け入れられるものではなかった。そんな中、時効を5日後に控え事件現場に足を向けたチョンホは、そこに供えられた花を見て犯人のものと直感する。やがて懸命の捜査であと一歩のところまで迫るが、、。

 

 

 

 

 

 

 

 

          -  몽타주  -  監督 チョン・グンソブ

 

出演 オム・ジョンファ、キム・サンギョン、ソン・ヨンチャン、チョ・ヒボン 他

 

こちらは2013年制作の 韓国映画 韓国 です。(120分)

 

  「殺人の追憶」 で ソン・ガンホと共に犯人を追ったオム・ジョンファが真相を追及するチョンホ刑事を演じるサスペンスミステリー作品でございます。

 

 

15年前に起きた幼女誘拐事件。 身代金は奪われ、幼女は死体となって発見され、犯人不明のまま15年の月日がたってしまった時効5日前。 捜査を担当したチョンホ刑事は事件の時効を告げるため被害者の母ハギョンを訪ねます。  失意の中でも事件に関するあらゆる情報をかき集め、ずっと犯人逮捕の報を待っていたハギョンからは、警察への不信と怒り、愛する者を奪われたやりきれない思いをぶつけられてしまいます。 

 

 

 

 

自責の念に駆られたチョンホは遺体発見現場へ足を運ぶと、そこには真新しい一輪の花がたむけられていました。 それを見たチョンホは犯人が現場を再訪したことを直感し、独自に再捜査を開始します。 新たな手掛かりを発見し、あと一歩まで犯人に近づいたチョンホでしたが、時間の壁は厚く、事件は遂に時効を迎えてしまいます。責任を感じたチョンホは警察を辞職してしまいます。しばらくの時が経ったそんなチョンホの元に旧知の刑事が突然訪ねて来ます。 公園で祖父と遊んでいた幼女が、白昼堂々何者かにさらわれ身代金を要求されたという事件ですが、時効を迎えた15年前の事件と類似点が非情に多く、同一犯の可能性もある事からチョンホに捜査の協力を依頼されます。

 

 

 

 

今回の誘拐事件は15年前の事件とあまりに酷似し、関係者でなければ知り得ない手口まで再現していることから、犯人の狙いは「15年前の完全犯罪の再現」なのではないか?と推測するチョンホは、 かつての幼女誘拐事件の捜査経験を生かし、犯人へと一歩一歩近づいているように感じる一方、慎重なはずの犯人の遺留品などに、何か違和感も覚えます。 被害者の年齢・性別、犯行手口、身代金の受け渡し方法など、あの事件を彷彿とさせる事件。 これは模倣犯の仕業なのか、それともハギョンの娘を手にかけた悪魔の仕業なのか。 事件は思わぬ方向へと転がり始めていくのでした、、。この手の作品には定評のある韓国映画でございますが、もうそろそろネタ切れなのでは?という不安もどこ吹く風と思わせてしまう程、また違った怪作でありました。

 

 

 

 

派手な刑事アクションも得意とする韓国映画ですが、本作ではそのアクションは控えめで、子供を理不尽に奪われた母親の悲しみと犯人に対する憎しみを軸に、その母親同様犯人を憎み、執拗に事件を追う刑事のチョンホ、そして誘拐を起こした犯人のそれぞれの苦悩が重厚に描かれています。何故幼女は誘拐されてしまったのか、何故殺されなければならなかったのか、犠牲者加害者、事件を追う者、残された者、過去の事件と現在の事件が絶妙に絡み合って、驚愕の事実が明かされる事になるのでした。本作では、子供が被害者という事もあってか?グロ描写もほとんどなく、拳銃も登場しない事で、サスペンス作品としてスマートに話が展開していく所は観ていて気持ちの良い映画です。 ただ事件の内容に反したデリカシーのないコミカルな警察のキャラと演出には若干イラつく所があります。 まぁ子供が犠牲になっているお話は、やはり観ていて暗くなってしまうのは仕方ないのですが、、。

 

 

 

 

時効という壁を逆手にとり、目には目をの強烈な展開にはさすがに「オイオイ」というツッコミも入りそうになりましたが、やはり罪は償わせなければスッキリとしないのも人間の残酷な心理なのでした。法では裁く事の出来ない悪に、どう折り合い、落とし前をつけるかという人間の倫理を揺さぶられるようなエンディングになっていて、正義と悪は表裏一体の関係なのでは?と、思わされる部分もあります。 そんな重いテーマを扱っていながらも、作品はテンポよく進み、ちゃんとエンターテインメントととして飽きさせず観せてくれる手腕の凄さ。本作の原題は「モンタージュ」という意味のようですが、タイトル通り、過去、現在、母親刑事、犯人の時間、心理、行動がモザイク状に紡がれて明かされる真実は見事です。しかし、今作でも主人公の刑事以外の警察の無能さと、汚さの描き方にブレのない韓国映画に、清々しささえ感じてしまった私でありました、、。日本オリジナルタイトルの 「悪魔は誰だ​​​​」 の真意が、作品を観終わってからゾクゾクとやって来て、真の意味の正義って何かを考えさせられるような映画となっていますので機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー