自分が猫人間の末裔であり、キスをするだけで豹に変身し男性を殺すと信じたヒロインは、求婚され結婚しても、夫との関係を深めることができない。夫は職場の女性に相談するが、その内愛人関係になる。一方、夫に勧められて受診した精神科医師はヒロインに言い寄るが、ヒロインの手にかかり死ぬ。 絶望したヒロインは動物園の豹に殺されるべく、豹を檻から逃がしてしまう、、。

 

 

 

 

                          - CAT PEOPLE -  監督 ジャック・ターナー

 

出演 シモーヌ・シモン、ケント・スミス、ジェーン・ランドルフ、トム・コンウェイ

 

こちらは1942年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(73分)

 

 

1982年にポール・シュレイダー監督、ナスターシャ・キンスキー主演でリメイク

 

されていて、そちらの方をご存知の方も多いかと思いますが、本家のこちらの作品は

 

時代的な事もあってか、なんともエレガントな作品に仕上がっております。

 

 

 

 

  動物園に訪れたオリバーは黒豹の檻の前でそれをスケッチしていた女性イレーナ

 

に出会い声をかけます。 二人はそれをきっかけに知り合い、程なくして結婚に至りま

 

す。しかし、イレーナは自分が猫族の末裔だという不安があり、それを隠して暮らし

 

てきたのでした。 自身でも分からない恐怖に捉われている彼女は、本当の夫婦になる

 

のは時間がかかると、キスもせず、寝室も別という状態のまま暮らし始めます。その

 

合間をぬっては訪れる動物園の黒豹の檻。

 

 

 

 

彼女は自身の血筋に関する不安をオリバーに伝えると、彼はその不安を取り除く為に

 

知り合いの精神科医に通うことを勧めます。 訪れた医者のもとでイレーナは催眠療

 

法を受け、彼女の不安の原因を語りますが、医師は何度か通えば解決すると軽い対応

 

をされてしまいます。不安な夫婦生活をつづけているうちに、夫オリバーの心は同僚

 

のアリスに傾き始め、イレーナは彼女の存在に嫉妬するようになります。 ある日、レ

 

ストランで食事する夫とアリス二人の姿を見たイレーナの嫉妬はピークに達し、、。 

 

というお話です。

 

 

 

 

映画前半はエレガントなラブロマンス作品かと思ってしまう程、甘くて優美に物語が

 

進行して行きます。 映像も美しく、衣装に至っては80年代に流行った肩パットがバ

 

リバリに入った、ひし形のシルエットに黒のコートを羽織るというカッコイイ女性フ

 

ァッションが目を惹きます。時代的な問題もありますが、イレーナが豹に変身する場

 

面自体はほとんど見せる事なく大体の場面は、気配や影で表現されるのですが、モノ

 

クロの本作ではそれが非常に効果的に働いています。 何か得体の知れない存在に追

 

われているという場面の暗闇の恐ろしさや、地下のプール場面での水の波紋を利用し

 

た恐怖演出等。 見えない、見せない事で観客の不安を煽る視覚的演出はお見事です。

 

 

 

 

そして多くのホラー作品の加害者側が男性なのに対して、本作では女性が恐怖の対象

 

という所も斬新な作品です。その上、この女性が自身ではコントロールする事が出来

 

ない運命的宿命を背負い、豹に変身してしまうという部分は、女性の身体の変化、結

 

婚への不安、性に対する恐怖、といった隠喩が強く込められているようにも感じら

 

れ、エンディングにはマイノリティの悲しみがあらわれていました、、。

 

現在のホラー映画と比較してみて、どうこうというのはナンセンスなお話ですが、後

 

の 「反撥」 や 「ローズマリーの赤ちゃん」 等の女性をテーマにした映画の先駆的な

 

作品としてご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 


「キャット・ピープル」といえばこの曲。 コーラスのネコちゃんポーズが萌えます