全米初の女性連続殺人鬼として有名な死刑囚、アイリーン・ウォーノスに迫った衝撃のドキュメンタリー。 91年の逮捕から、自供のきっかけとなった恋人タイラとの盗聴電話記録から2002年の死刑執行前日に行われたアイリーンへの人生最期のインタビューまでの貴重な映像によって彼女の人物像と真相を明らかにしていく、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2003年制作の アメリカ アメリカ イギリス イギリス の合作映画です。 (90分)

 

2003年に公開された映画 「モンスター」 この作品ではアイリーンとティリアの

 

(劇中ではセルビーに変更) の関係に重点が置かれ、主人公アイリーンを演じたシャ

 

ーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を受賞しました。 この映画を観てアイリー

 

ンという人物に興味を持った私はこのドキュメント作品がレンタルである事を知り、

 

早速お取り寄せしてみた次第です。 本作は連続殺人鬼と呼ばれたアイリーン・ウォ

 

ーノス が死刑判決を受け、死刑実行されるまでの10年間を追った、彼女本人と周り

 

の関係者へのインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー映画です。

 

 

  「テッド・バンディでさえ終身刑を提示されたのに」 なぜ彼女は4回もの死刑を

 

言い渡されたのか? 「事件について誠実な人間は彼女だけで、弁護士や養子縁組した

 

母親、警察さえも彼女をネタに金儲けを企んでいた。 恋人のティリアまで、、。」

 

アイリーン・ウォーノスの略歴をご紹介すると 本

 

 

 

 

 

1956年ミシガン州に生まれます。 十代の両親は彼女が誕生する数カ月前に離婚。

 

母親は生まれたアイリーンと兄の育児を放棄して、2人は祖父母に預けられられます

 

酒癖の悪い祖父はアイリーンに度々肉体的、性的虐待をくり返し受けるようになりま

 

す。11歳の時からタバコ、薬、食べ物と引き換えに複数の異性と性的な関係を持

 

ち、その中には実兄との近親相姦も含まれていました。 14歳の時に祖父の友人に

 

強姦され、妊娠。 この子供はすぐに養子に出されます。 その後、祖母が亡くなったの

 

をきっかけに家出。 祖父の家に近い森で廃材を集めた家を作り、売春で生計を立てる

 

ようになります。 74年、酒に酔って車から銃を乱射して初の逮捕。 76年、ヒッチ

 

ハイクで知り合った69歳の富豪と結婚しますが、1か月で離婚。 81年、フロリダ

 

のコンビニで強盗を働いて実刑判決、13カ月の服役後、釈放されます。 84年、キ

 

ーウエストの銀行で偽造小切手を使い逮捕。 86年、自動車窃盗、公務執行妨害で逮

 

捕。 この年、デイトナのゲイバーで運命の人タイラ・ムーアと出会い恋人関係に。一

 

緒に暮らすようになります。

 

ティリアはホテルのメイドの職を辞め、アイリーンが売春で稼ぐ手助けをするように

 

なり、​​​​アイリーンの稼ぎだけが二人の生活費となっていました。 2人の恋愛感情は

 

1年ほどで冷めていましたが、信頼しあえる友人として一緒に行動していました。誰も

 

信頼できないアイリーンにとって、ティリアは唯一の大きな存在になっていたようで

 

す。

 

 

 

 

89年11月、アイリーンを車に乗せたリチャード・マロリーというTV修理業を営む

 

51歳の男性が最初の犠牲者になりました。 これを皮切りに連続殺人を開始。 以降、

 

1年間​​​​​で計7人を射殺する事件を起こし2人は指名手配になります。 91年1月、

 

一人でバーに居たアイリーンを潜入捜査官が逮捕します。 92年、マロリー殺害の

 

罪で死刑判決。

 

92年5月、3名の殺害で死刑判決。 93年2月、6回目の死刑判決が下されます

 

かなり波乱万丈な人生ですが、これでもかなり大まかな略歴になります。 アイリーン

 

は当初、罪を認める気はさらさらなかったようで、最初に殺害したマロリーの件に対

 

して、レイプされそうになったと正当防衛を主張していました。 しかし、唯一信頼し

 

ていた恋人の​​​​​​ティリアが、検察側の証人で出廷。(警察と司法取引を結び、起訴され

 

る事はなかった) ティリアの裏切りによって全てを悟ったアイリーンは、この頃から

 

殺害を認めるようになります。 しかし、その後も彼女の話は2転3転し、罪を認め

 

たと思えば、正当防衛だったと無罪を主張​​​​​​し、死刑が近づいた頃のインタビューでは

 

あらゆるモノから監視され、警察に事件もろとも捏造されたと訴えるようになります

 

明らかに不安定な精神状態でありますが、反面、早くこの状況から脱する為に、早く

 

死刑を執行して欲しいと望むアイリーン。 生きる為とは言え、多くの人の命を奪った

 

行為は許せるものではありませんが、本人が言うように 「もし普通の一般的な家庭に

 

生まれたら、家族に愛されて暮らしていたら、このような人生を送る事はなかったの

 

かも知れない」 と、彼女の生い立ちを考えると切なくなるなる私でありました。

 

その上、このアイリーンをネタに彼女の最初の弁護士や警察、養子縁組した母親が、

 

映画化やインタビューを取り次ぐという口実で、様々な金儲けが行われていました。

 

選挙にも利用された彼女の事件。

 

親に捨てられ、祖父には虐待され、殺人の動機となった恋人にまで裏切られた彼女の

 

絶望感は計り知れないものがあります。

 

 

      

 

 

とは言え、7人の命を奪うという常人では理解できない残虐行為を行ったアイリー

 

ン、最初の頃の法廷では、レイプ被害の犠牲者という立場で見事な泣きの芝居と、脚

 

色された作り話を披露する演技派の一面を覗かせます。 その後のインタビューではあ

 

っさりと虚偽を認めるしたたかさ。 その後は再び正当防衛を主張し、警察が自分を連

 

続殺人犯に仕立てたと訴えつづけました。 裁判が長引くにつれ彼女は正気を失い、現

 

実との接点を失っているように見えました。 そんなアイリーンの状態を知った代理人

 

は精神疾患を理由に死刑の停止を訴えますが精神科の医師の鑑定はわずか15分で打

 

ち切られ変更は認められませんでした。 そんな状態の人間を死刑にする意味はあるの

 

か、、。

 

本作では死刑の前日のインタビューまで収めれれていますが、主張は一貫性のない支

 

離滅裂なもので、事件への質問は遮られ、警察と司法への不信感が延々と語られます

 

そして死刑を受け、早く神のもとへ行きたいと語ります。 これを語るアイリーンのワ

 

ンショット映像は、さっきまで笑顔だった表情が一変し、殺人鬼のスイッチが入った

 

あちら側の形相に豹変します。そして、あたかもカメラを通して見ているこちらに話

 

しかけているような迫力と恐怖を感じます。 「シャイニング」 のジャック・トランス

 

ばりの狂気的な彼女の見開いた目を見ると、やはり一線を越えた人間である事を確信

 

します。

 

その目に睨まれ、こちらへ強く訴えるかのような鬼気迫る映像を数分見せられるもの

 

ですから、しっかりと見ている程、かなりの精神的疲労感を感じる作品です。

 

 

 

 

最後のインタビューが行われた翌日の2002年10月9日 9時47分。 フロリダの

 

刑務所で薬物注射 (極めて人道的な方法)による死刑が執行されました。 

 

執行前に残したアイリーンの言葉

 

「私はキリストと船に乗って旅立ち、再び地上に現われる。インデペンデンス・デイ

 

のように。 6月6日映画と同じ巨大な宇宙船で。 私は必ず戻ってくる」

 

多数の殺人を犯した彼女ですが、いわゆる快楽殺人シリアルキラーとは違い、若い頃

 

から自身の力で生きる為、愛する恋人と暮らす為、手段として行った殺人。 当然、罪

 

は償わなければなりませんが、「もし」「だったなら」 と考えてしまうと、ある意味

 

殺人以外で言えばアイリーンも人生の被害者だったのかも知れないと思えてしまう所

 

もあって死刑という極刑を含め、モヤモヤの晴れない気持ちになる作品でした、、。

 

映画とは違う妙な生々しさと、人間というものの存在感と悲しみが、映像からダイレ

 

クトに伝わってくるドキュメンタリー映画ですので、機会があれば一度ご覧になって

 

みて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

彼女の遺言で復活の日に流してほしいと言った曲 詞は彼女のモノローグでしょうか?

 

 

 CARNIVAL ♪ 

 私は通りに出る ここは仮想の舞台 華やかなステージ 

 みんなメイクして自分の出番を待ってる

 私は通りに出る 今日はカーニバル みんな浮かれて

 快楽主義者も屋台の主人も 私の周りを取り囲む 私は目隠しされて迷子になったの?

 私の心の中の迷路で 催眠術にかかったよう 私の目は何を見て来たの?

 私は通りで眺めてきた 富める物と貧しき者を

 きらめくダイヤも赤いじゅうたんも 私を歓迎してると信じてた

 私は間違ってたの?正しかったの? 現実を見ず流されて生きて来ただけ?

 全身が麻痺したよう 私の目は何を見つけたの? 一体何を見てきたの?

 このふたつの目で、、。  音譜