優しいけどお節介なシングルファーザーの父と2人暮らしのケイラは憂鬱な中学校生活を送っていた。 卒業目前だというのに友だちは一人もおらず、学年で最も無口な子 に選ばれてしまう始末。 なんとか自分を変えようとがんばってはみるものの、なぜかいつも空回り。 そんなある日、クラスのイケてる女子からプール・パーティーに誘われ、勇気を振り絞って参加するケイラだったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(94分)

 

8年生という意味を持つ本作 「エイス・グレード」。 アメリカでは日本の義務教育

 

と違い1年早く高校生になるようで (今さらながら本作で知りました) 高校に上がる

 

前のミドルスクール卒業前の13歳の少女ケイラの一週間が描かれます。A24配給

 

 

 

 

  イケてない主人公が奮闘する学園モノは多くありますが、本作はその中でもかな

 

りリアルな今どきの少女が主人公で、年齢も最も繊細な13歳というお年頃でござい

 

ます。

 

 

 

 

主人公のケイラは YouTube に日々映像をアップしてる今時の女の子に見えますが、

 

学校ではシャイで無口で​​​​​​友達もゼロ。 全く目立たない為に不名誉な「無口な賞」を授

 

与される始末。 ベル 

 

 

 

 

YouTube で語る理想の自分と、タイムカプセルに入っていた過去の自分と何ら変わら

 

ない今の自分。 自信がなく友だちもいない現在の自分とのギャップに悩み、優しい父

 

にイライラをぶつけてしまうケイラ。​​​​ 

 

 

 

 

動画の中にいる自分に近づく為に、今の自分から、少しずつ日々一歩を踏み出す努力を

 

するのですが、、。

 

 

 

 

スマホの中にある理想の自分、イケてるクラスメイトのインスタを虚ろな視線で見る

 

ケイラの表情が印象的です。 見知らぬ人とも繋がれるSNSが、ケイラにはより孤

 

立感や疎外感を助長するものになってしまうという所が皮肉です。 

 

 

 

 

いいねや視聴回数が露骨に数字になって表れてしまうSNSの残酷さが、まるで自身

 

の存在価値のように感じてしまう13歳という多感な年齢の彼女を見ていると、心が

 

ヒリヒリ痛みます

 

 

 

 

親のお節介で嫌々参加したプールパーティー場面なんて、観ている方がドキドキして

 

しまう程サスペンスフルで、人見知りな私には痛い程ケイラの葛藤を感じましたよ。

 

えぇ、集合写真やプレゼントの件なんてグサグサと刺さりました。 ナイフ

 

 

 

 

ケイラがYouTubeに上げている自分の動画の音声に、自身がチャレンジする姿がオー

 

バーラップする姿等、独特な編集にセンスを感じました。 音楽の差し込み方もスマ

 

ホ操作しながら的な感覚。 エンヤの「オリノコ・フロウ」の使い方はピカイチでした

 

 

 

 

進学、劣等感、理想、夢、挫折、恋人、友達、痛み、SNS、一番多感で繊細なこの

 

時期に、色々とあり過ぎて自分を見失いそうになるケイラ。予定調和にならない現在

 

進行形の彼女の姿がここにあります。 無条件に優しいお父さんも、、。

 

 

 

 

このケイラを演じるのが映画初主演の エルシー・フィッシャーちゃん。 本作で多数の

 

映画賞を受賞した彼女ですが、当時実年齢だった事もあって、役にはまっております

 

ついつい映画ではメイクバッチリの綺麗な女優さんを使いそうなものですが、本作で

 

の彼女はニキビ上等のノーメイク。 

 

 

 

 

プールで見せる水着姿は、これまたその年齢特有の独特なポッチャリ感と猫背。 この

 

絶妙なニキビ顔や体型が、まだ成長過程の変化前にある年齢をこれでもか!と象徴し

 

ているのでありました。

 

 

 

 

これを観た人が自分の13歳の頃を思い出し、当時イケてた人、イケてなかった人、

 

で微妙に感想は違うかも知れません。でも心の何処かにしまい込んでいた、あの頃の

 

不安感は誰しもあるのではないでしょうか? 本作はそんな誰もが通過する13歳の

 

頃の痛みと不安へケイラを通じて引き戻されるような作品です。 

 

 

 

 

そして、どう自分を受け入れ、どう折り合いをつけるか、を改めて再考する機会にな

 

るかも知れない、人によっては(私を含め)かなりの痛みを伴う内容でもありますが

 

機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー  グッチ~ビックリマーク

 

 

 

 

 

 

 

エンヤの 「オリノコ・フロウ」 です。久々に聞くとこんなにポップだったのかと、、。 音譜