1971年、ブエノスアイレス。何不自由ない生活を送る17歳の美少年カルリートスだったが、遊びを楽しむように犯罪に手を染め、ほとんど罪の意識を感じることもなかった。 やがて彼は、転校先で野性的な魅力に溢れたラモンと出会い意気投合し、2人でコンビを組んでさらなる罪を重ねていくのだったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の アルゼンチン スペイン の合作映画です(118分)


1971年 アルゼンチンで起きた カルロス・ロブレド・プッチ による連続殺人事件を映

 

画化した本作。逮捕当時20歳という年齢と、美しい容姿によりセンセーションを巻

 

き起こし、「黒い天使」と呼ばれた彼の事件を基にした作品です。

 

 

 

 

  映画は町を歩くカルリートスの姿から始まります。 何気なく足を止めた彼はおも

 

むろに住宅地の塀を乗り越え、鍵の開いた豪邸へと侵入します。室内を見渡しお酒を

 

飲みながら適当に物を物色、部屋にあったプレーヤーでレコードをかけてダンスを始

 

めます。  音譜 彼のゆったりと落ち着いた行動は、物取りの行動とは思えないもので、

 

盗む物も、たまたま目に留まったアクセサリーをポケットに忍ばせる程度。 たまたま

 

目に留まったバイクを盗んで、悪びれる事も無く母親の待つ自宅へ帰宅します。

 

 

 

 

オープニングのこの短いシークエンスで、カルリートスという人物のキャラクターと

 

行動原理が上手く表現されています。両親の奨めで転校した彼はラモンという青年に

 

出会います。 

 

 

 

 

この運命的な出会いによって互いに惹かれあった二人は様々な犯罪に手を染めていく

 

事になり、欲しい物は何でも手に入れ、犯行の邪魔になる者はいとも簡単に殺します

 

しかし、カルリートスはどんなに悪事を重ねても満たされる事のない想いに気付き始

 

めるのでした、、。

 

 

 

 

正直この映画は掴み所がありません。それは主人公のカルリートスが何故このような

 

大胆で無軌道な犯罪を犯したのかが一般の私達には分からないのと重なります。

 

映画を観る限りカルリートスに物欲を感じませんし、お金に対しても執着があるよう

 

にも思えません。 

 

 

 

 

家庭環境も至って普通の中流階級で、親からは愛されているように見えます。殺人を

 

楽しんでいる訳でもないカルリートスが、それなのに何故?という疑問。破滅願望に

 

捉われているような彼の行動を見る毎に大きくなっていきます。

 

 

 

 

相棒のラモンとのBL的な恋愛も直接的な表現は抑えられ、ここに至ってもカルリー

 

トスという人間の内面は明かされません。そえゆえ、彼がただ一度バスに揺られなが

 

ら涙を流す場面に、何故か心掴まれてしまうのでありました。

 


 

 

お話自体にはさほど面白さが無いのですが、この映画を特別なものにしている大きな

 

要因は、主人公カルリートスを演じる ロレンソ・フェロという、本作でデビューを飾

 

った彼のフレッシュな魅力に溢れている所です。中性的な彼から発せられる不思議な

 

魔力がこの作品の大きな魅力でございます。 ドキドキ  

 

 

 

 

作品の内容に反したポップでカラフルな映像。 お洒落なファッションとインテリア、

 

音楽も独特なセンスが光ります。「朝日のあたる家」 のアルゼンチンバージョンは微

 

妙でしたが、、。 とにかくルックスは素敵です。同性愛とカラフルな映像に、もし

 

や?と思っていたら、なんとやはりプロデューサーの一人に ペドロ・アルモドバルの

 

お名前があり、何故かちょっと喜んだ私なのでした。 虹

 

 

 

 

犯罪映画として観るとかなりまったりと感じる作品で、カルリートスという青年の満

 

たされない愛の日々を淡々と綴った作品ですが、個人的にはかなりハマリました。

 

(ロレンソ・フェロにという気もしますが、、) ポスターヴィジュアル同様、不思議

 

な美しさに溢れた映画でもありますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さい

 

ませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

「Kiddo Toto」 という名で音楽活動もしているロレンソ君 日本でロケしております