パリ近郊の公立ジャック・プレヴェール幼稚園で4歳から始めて、月に数回、2年間の哲学の授業を設ける試みが行われた。 初めは発言のなかった子供たちが、次第にそれぞれの考えを語りはじめ、意見が違っても相手に耳を傾けることを覚えていく。

 

 


 

 

 

こちらは2010年制作の フランス映画 フランス です。 (102分)

 

パリ近郊の特別教育地区にある公立ジャック・プレヴェール幼稚園で、4歳の入園児

 

から始めて月に数回、2年間にわたる授業を追ったドキュメント映画です。

 

 

 

 

  授業はパスカリーヌ先生と園児達が円を描くように座り、真ん中にロウソクを立

 

てます。「火は疑問への答えを探し始める合図」 そのロウソクに火を灯すと哲学の授

 

業が始まります。   不思議そうに見つめる子供達に先生は課題を投げかけます

 

最初は 「先生が課題を出すと皆の頭の中で何が始まる?」という課題を出し、自分で

 

考える、考えた事を言葉にして伝えるという事の重要性を話し合います。

 

 

 

 

「みんなは大人?子供?」 身体が小さいから子供。「大人が出来て子供が出来ない事

 

は?」 という課題。 最初の授業は発言も少なく戸惑う子供達でしたが、回を追うごと

 

に授業にも慣れ、徐々に発言も多くなって会話の内容も発展していきます。

 

 

 

 

「リーダーって何?」 「友達とは?友達と恋人の好きは同じ?」 恋人は口にキスする

 

のそして結婚する。「頭がいいってどういう事?」「考えるのはやめられる?」「死

 

とは何?」人が死ぬとうれしくない、独りぼっちはイヤ。新聞は死の話しばかりする

 

「愛って?」 恋人達はごめんなさいを言えないとダメ。 謝れないと愛はおしまい。

 

 

 

 

「違いとは?」 お年寄りとか体の不自由な人達の事。 動物も。 僕は白人になりたい

 

だって白人の方が優しいから。 パパは障害があって私と同じように歩けないけど、私

 

みたいに動けて話せる、お話を読んでくれたりもする。 パパと私はそのままのお互い

 

が好き。 「何故貧しい人は貧しいの?」 駅の階段に女の人がいた、その人はみんなに

 

お金を恵んで下さいとお金をねだってた、パパもママもあげなかった、私は言ったの

 

何故お金をあげないの?パパ達は どうでもいい急がないと遅れるって もし私が貧乏

 

だったら何も買えなくなる。 貧しい人にお金をあげて優しくすると天国に行ける。

 

 

 

 

「自由とは?」大人は自由。大きくなると色々出来るけど何でも出来るわけじゃない

 

パパは長い仕事があるから自由じゃない。 働くとお金が稼げて自由になるって。

 

自由とはちょっと一人になれる事、息抜きが出来て優しくなれる事。外に一人で行く

 

事。「考えるのは好き?」 好き、だってあとで何かする時に役に立つ。 夢を見るのと

 

考えるのは同じだから、そして夢を見るのはステキだから、、。

 

 

 

 

哲学の課題について考え、討議していく子供達の素直な反応や言葉に時々ドキっとさ

 

せられるドキュメントです。 子供だった大人が逆に教えられ、考えさせられる課題

 

が多く作中で先生が語る 「大人は課題を理解してもできないの、説明が出来ない。で

 

も哲学が初体験の子供は課題に対して先入観なく問題を塾考する。 大人は何故こんな

 

質を?と考える、そこが違う」 という言葉にこの授業の真意があるように思えました

 

 

 

 

内容は元より、様々な人種が暮らすフランスという国の縮図のような幼稚園。 自由

 

な髪型や服装、女の子の多くは既にピアスをしている子が多かったりと、日本との違

 

いが興味深かったりします。自分の考えや意見を伝える事の重要性は、多人種という

 

国の差を感じ、授業を受けるだけの日本の教育と、ディスカッションしながらの授業

 

の違いに、コミュニケーションや表現力、思考力の根本的な潜在能力に大きなギャッ

 

プとコンプレックスを感じたコテコテの日本人の私、、。

 

 

 

 

この授業を始めて自宅で親との会話が変化した子供達も多いようで、タブーの多い日

 

本で取り入れたらどうなるのだろう?と、一人考えるコミュニケーション下手の私で

 

した。原題は 「これは、ほんの始まり」 というタイトルだそうですが、考え、話す、

 

子供達の真摯な表情に刺激され、自分で 「考える」 という事の重要性を改めて見つめ

 

直す良い機会になる作品です。

 

 

 

 

哲学 と言われると難しいですが、誰しも子供だった頃を思い出しながら一緒に参加す

 

る気持ちになってご覧になると、また新たな自分の発見があるかも知れませんので、

 

一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー