様々な民族が混じり合って暮らすパリの下町、20区 とある中学校の教室 始業のベルが鳴っても生徒たちは一向に席に着こうとしない そんな中、国語教師フランソワの新学期は始まった。様々な出身国からなる24人の生徒たち フランソワは彼らに正しく美しいフランス語を教えようとしていたが、スラングに馴れた生徒たちは反発する 次々と問題が吹き上がる教室で、それでも言葉の力を信じ、それを生徒たちに伝えようと奮闘するフランソワは、彼らと真正面から向き合い、真剣勝負で対話と議論を重ねていくのだが…。
こちらは2008年制作の フランス映画 です(128分)
この年の カンヌ映画祭で パルムドール を受賞した作品です ちなみに、この時
の審査委員長は ショーン・ペン でございました アカデミー外国語映画にもノミネー
トしましたが、この年に受賞したのは 日本映画の 「おくりびと」 でした
主役の フランス語教師 を演じる フランソワ・べゴドー 自身が、実体験に基づいた小
説を原作とし、脚本も共同で担当しております
パリ郊外の中学校を舞台に、原題でもある 「壁の内側」 である学校の中のみ で
ドラマは展開します よって、生徒の私生活や家庭での暮らし 教師達のプライベー
トや、ハリウッド ならば入れ込むであろう 「恋愛」 等の要素は皆無で、教室での教
師と生徒のやり取り、教師同士の討論や会話で物語は展開します
新学年から一年間の、教室での出来事が描かれるわけですが、分かり安く時間経過や
生徒達の成長といったものは、さほど感じません
悪い生徒が成長して良い子になったり、勉強が出来なかった子が、テストで良い点数
を取るようになる という分かりやすい展開はありません 唯一大きな出来事とす
れば、普段から授業態度の悪かった スレイマンという生徒が授業中の口論によって、
女生徒にケガを負わせてしまい、授業を放棄して教師に無断で教室を出て行ってしま
った事が問題にされ、教師達の協議の結果 スレイマンは、転校させられてしまう そ
の発端となる要因は教師の フランソワにもあったのですが、、、
日本の学校しか知らない私などは、まず授業や生徒の態度などに驚かされてしまいま
すひとクラスの生徒数は24人、人種は様々で、フランス人でもまともな言葉使いが
出来ない者や、服装も様々でピアスなんか当たり前で授業態度は最悪 日本のように
淡々と教科書に沿って進んで行くのではなく あるテーマを討論形式で 教師と生徒
が対等の立場で話し合って行く形をとっています
授業内容がフランス語という事もあるのかも知れませんが、海外の多くがこういった
授業形態であるようです その弊害としてこの学校では、教師に対する敬意が感じら
れません 劇中でも、そんな生徒に対して職員室で こんな酷い生徒は初めてだ と
言ってキレる場面もあります 親との面談も様々でフランス語が通じない親も居ます
生徒達の家庭は低所得層で、教師も同じく恵まれた環境ではない事がおのずと分かり
ます しかしこの環境であっても、教師達は生徒達に真摯に向き合います。
そんな多人種が集まり、「学ぶ」 という場所である 学校 という空間で起こる、日常
的な出来事を通じて 教育、他者、交流とは何か?を考えさせられる作品になっていま
す。映画の中でサッカーチームの応援について言い合いになります、自分の出身国の
チームを応援するやら、他のチームにはどこそこの出身者が居るという、サッカーに
興味のない私にはどうでもいい会話ですが、この会話の中に国籍の根本的な問題定義
がされているように感じました
映画は スレイマンが去った狭い校庭で、教師と生徒が入り混じってサッカーをやって
いる場面で終わります 何かを言わんとした象徴的なエンディングです
この作品に出演している生徒は、全て素人で役と同じ中学生の年齢だそうです カメ
ラの写し方もまるでドキュメント映画のように撮影されている為、余計リアルに感じ
ます。
実は、これをレンタルしたのは2回目になります 昔観た覚えもあったのですが、曖昧
だったのでレンタルしてしまいました、、、それ程印象が薄かったのか、、滅多に無
い事ですが、皆さんもありませんか?と、他人に同意を求めたりして、、、
といった訳で、多国籍が入り混じった、教室という空間をリアルに描いた作品になっ
ております。 興味がありましたらご覧になってみてはいかがでしょうか です。
では、また次回ですよ~!