カナダ、モントリオールの小学校。ある朝、教室で担任の女性教師が首を吊って死んでいるのが発見される。運悪く2人の生徒、シモンとアリスがその現場を目撃してしまい、心に深い傷を負う 学校側は生徒の心のケアに追われ、1週間たっても後任捜しがはかどらなかった。そこへ、募集広告を見たアルジェリア系移民の男性、バシール・ラザールが現われ、すぐに教員として採用されることに 最初は、その時代遅れの授業内容と指導方法に戸惑いを見せる生徒たちだったが、誰に対しても真摯に接するラザール先生にいつしか生徒たちも心を開いていく その一方、シモンは平静を装いながらも、担任教師の死に深く苦しめ続けられていた。そしてラザール先生もまた、誰にも言えない秘密を抱え、悲しみを乗り越えられずにいたのだが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2011年制作の カナダ映画 カナダ です(95分)

 

この年の アカデミー外国語映画賞 にノミネートされた作品です(受賞は「別離」でし

 

た)カナダのケベック州 モントリオール (フランス語フランスが公用語) の小学校が舞台

 

のお話です。

 

 

 

 

オープニング、朝 雪の積もる校庭で子供達が遊んでいます 6年生の シモン が登校し

 

て来ます。 同級生の アリス に「今日は牛乳当番でしょ?」 と言われ (日本のシス

 

テムと違うので、ちょっと不思議ですが)、慌てて校舎へ向かいクラス分の牛乳パッ

 

クを取り 教室へ置きに向かうと 担任の マルティーヌ先生が教室の中で 首を吊って

 

いるのを目撃します。 後から来た アリス も目撃します 走る人ビックリマーク このオープニング

 

で、この映画がシリアスなものだと印象付けられます 生徒、保護者、教師 それぞれ

 

ショックを受け 後任の教師の目途も立たない。 そんな時、アルジェリア系移民の バ

 

シール ラザール という男が、教師に とやって来ます。

 

 

 

 

母国で19年教師をやっていた という彼を、校長は担任として雇い入れる事にします

 

ラザールは、現在のカナダの授業に戸惑いながらも (叩いてはダメ、ハグもダメ、触

 

れるのもダメ、先生の自殺についてはカウンセラーに任せる 等) 大きな包容力で、少

 

しずつ生徒と心を通わせて行くのでありましたが、やはり先生の自殺が、度々生徒達

 

の心の中に 暗い陰を落としている事は気づいているのですが、、、生徒達もそれを隠

 

そうとしているのでした。

 

 

 

 

ラザール自身にも秘密がありました 彼は現在、まだ亡命の申請中だったのです。  そ

 

れもアルジェリアで、教師をしていた妻が書いた政治的な批判本が原因で、命の危機

 

を感じ ラザールが先にカナダへ渡り、亡命申請している矢先に 妻と子どもは放火によ

 

って殺されてしまい ラザール一人がカナダで生き残ったという 悲しい運命を背負って

 

いたのでした 天使の羽(左)天使の羽(右)

 

 

 

 

生徒の一人 シモン は、先生の自殺は自分に原因があるのでは?と心を痛めていまし

 

た。 それは先生との、ある些細な事が原因で周りに 嘘 をついていた為でした 同級

 

生の アリスはそれを知っていました。 ある日の授業中 「死」 についてのキーワー

 

ドが出ます、生徒達に意見を聞いていると やはり 先生の自殺についての話になり ア

 

リスがシモンに促します それを受け シモンの感情が爆発し、先生の事を語りだしま

 

す 最後に涙を流しながら ラザールに マルティーヌ先生が自殺したのは 「僕のせい

 

じゃないよね?」「違うよね?」と問いかけます。 ラザールは禁止されているにも

 

関わらず、シモンの肩を抱き 「君じゃない、先生は病気だった」 と答えます。

 

 

 

 

数日後、ラザールは裁判所に出廷します 審査の結果が告げられ 難民申請が認めら

 

れ、晴れてカナダで 定住者という在留資格が与えられま​​​​した 10年パスポート しかし、ラザール

 

は学校を辞めなければならない事になります 最後の授業を頼み込み、授業を始めま

 

す 生徒達には何も告げず、いつも通り授業を進めるラザール 今まで祖国の事を話

 

さなかった彼ですが、授業の教材として 自分が作った寓話を読み聞かせます。

 

 

 

 

「 木とさなぎ バシール ラザール作 」 本

「不公平な死に何も言う事はない そのわけを話そう オリーブの木にエメラルド色

 

の小さなさなぎがいた。 アゲハちゃん 明日、繭から出てさなぎになるだろう  木はさなぎの成

 

長を喜んだが、もっと一緒にいたいと願っていた 木は不安だった さなぎを風から守

 

り、アリから守ってきた だが蝶になれば敵や荒天にさらされる。その夜、森で火事が

 

起き、さなぎは蝶にならなかった 明け方、冷めた灰の中に木は立っていた 心は黒

 

焦げだった 火と悲しみで傷ついていた それからは鳥が休みに来ると、木は目覚め

 

ぬさなぎの話をする 心に描くのは、羽を広げ空を飛びまわり、蜜と自由に酔い、私

 

たちの愛を知る大切な者の姿だ。」 お花 ピグカジノ

 

 

 

 

文面の途中から、画面が授業後の風景に変わります 生徒達にはこの朗読が別れの

 

手紙の代わりだったのでしょう アリスだけは、何処からか聞いたのか 一人教室に残

 

るラザールの所へ戻ってきます 寓話の朗読が聞こえる中、アリスのそんな姿を見て 

 

ラザールは抱きしめます ここでプツリと切れ、エンドロールです、、、余韻の残る

 

良い終り方です 8mm

 

 

 

 

この映画は、様々な問題を含んでおります 学校というコミュニティや、生徒、教師、

 

保護者、人の死や、アルジェリアの紛争、カナダの移民 等です しかし この映画の中

 

心は生徒と先生に他なりません 教育とは何か?子供達にとって学校や先生とは?こ

 

の作品では先生の自殺の原因は解き明かされませんし、エンディングも決してハッピ

 

ーとは言えません。

 

 

 

 

ただ子供達にとって いかにする事が望ましいのか?をこの作品は問いかけてきます 

 

観ているこちらは ラザールにもなり、生徒にもなり、保護者にもなって鑑賞する事が

 

出来ます。その誰かになって、このどこにでもあるような教室で考えてみて下さい

 

と、監督に言われているような気分になります  ? 

 

 

 

 

出演している子供達は、皆 個性的で可愛らしいのでありまして、特に アリス 役の娘

 

は、当時10歳だそうですが とても大人びた顔立ちで不思議な魅力と雰囲気を持って

 

います ラザール を演じる モハメッド フェラッグ さんは笑顔がとても素敵で スマイル 優

 

しさがにじみ出ておりました その分、故郷での家族の悲劇が増幅されるのですが、

 

時にユーモラスで、時にシビアな 学校 学校 という世界を描いた作品で、どなたでも 

 

誰かに 感情移入出来る映画だと思いますので、興味が湧きましたらご覧になって頂き

 

たいと思いますです。

 

では、また次回ですよ~!