天才的な頭脳を持つ女子高生のリンは、貧しい家庭ながら特待奨学生として進学校へ転入することに。やがて仲良くなった裕福なクラスメイトを試験中に助けてあげたことから、噂を聞きつけたお金持ちの学生たちに頼まれ、高度なカンニングをビジネスとして始めるハメに。 次第にビジネスの規模が大きくなる中、それを快く思わない真面目な苦学生バンクの反感を買ってしまうリンだったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2017年制作の タイ映画  です。(130分)

 

あまりお目にかからないタイの映画、個人的にエキセントリックな作品のイメージが

 

強く若干の不安がありましたが、そんなイメージを払拭する面白映画でありました。

 

 

 

 

  小さな頃からオールAの女子高生リンは、彼女を外国留学させてやりたいという

 

父の希望で、進学校に転校します。 決して裕福ではない家計の事を考え、奨学金を学

 

校からサラッと獲得するこのオープニング場面で、リンというキャラとその優秀さが

 

短いシーンで紹介され、心を掴まれます。 入学後のある日、リンは成績の悪い友人の

 

グレースにテストで良い点をとらなければ部活を禁じられてしまうと告げられ、彼女

 

の勉強をみる事になります。 

 

 

 

 

しかしテスト当日、グレースの頭は真っ白。 リンはとっさに答えを書いた消しゴムを

 

テスト中に渡してしまいます。 これでなんとかグレースはテストに合格して大喜び

 

しかし、それを聞いたグレースの彼氏でお金持ちのお坊ちゃんパットが、自分にも協

 

力して欲しいと頼んで来ます。 彼と友人5人で一人3000バーツ支払うと持ちかけ

 

ますが、リンは渋ります。 

 

 

 

 

しかし、パットから学校も親から賄賂を受け取っている事を聞き、話に乗る事になり

 

ます。 リンの考案したカンニングは成功し、彼女に頼る生徒は増えていきますが、

 

ある日、同じ奨学生であるバンクに阻まれる事になり、、。というお話です。 

 

 

 

 

昔 「ザ・カンニング​​」 というタイトルまんまのおバカ映画がありましたが、こちらは

 

意外とシリアスだったりします。 しかし、それはテストや試験に反旗を翻すという

 

ものではなく、良い点数を取る事で格差社会から脱却するという一つの術として扱わ

 

れています。 ただこの作品が面白いのはそういったシビアなテーマを扱っていなが

 

らも、カンニングという行為をハラハラドキドキのエンターテインメントとしてに見

 

せてくれています。 

 

 

 

 

それはまるで 「オーシャンズ」 のような作戦と実行力で、テスト会場という限定され

 

た空間を使った極上のサスペンスのように見せてくれます。 紙のすれる音、シャー

 

プペンのノック音、マークシートを塗りつぶす音等、音フェチにはたまりません。

 

カンニング自体の手法に斬新さはありませんが、中盤のピアノとそのフレーズを使っ

 

た映画的な演出は素敵でありました。 音譜

 

 

 

 

どうカンニングするか?と作戦を練って成功する過程、事が大きくなり、ほつれから

 

計画失敗のアクシデント、そこからの起死回生の大作戦!とツボを抑えております。

 

それに平衡して、リンと優等生バンクの合わせ鏡の関係、親との関係、等が絡み合い

 

進んでいきます。 ただ、室内の展開が多い為、タイという国の独特の環境や空気感

 

はあまり感じられないのが少し残念ではあります。

 

 

 

 

カンニングするという単純なお話ながら、スタイリッシュな演出、撮影、編集、イン

 

ポーズで飽きる事なくスマートなスピード感で見せてくれます。 そして最も大きい

 

のが本作の出演者の方々、特に主人公リンを演じる チュティモン・ジョンジャルーン

 

スックジン (絶対覚えられないお名前) 映画初出演のモデルさんだそうですが、初め

 

て画面に登場した印象は決して良いものではありませんでしたが、映画が進むごとに

 

どんどん魅力が増して来て、最後には独特な存在感に魅了されてしまいました。 

 

 

 

 

そのリンとの微妙なライバル関係となるバンクの実直さからのダークサイド落ちの演

 

技も素敵でした。そしてこの作品のカラーでもあり、重要なコメディリリーフとなる

 

お坊ちゃんパットとグレースのカップルは、本作がシリアスで重い作品になりそうな

 

所を、ちゃんとしたお馬鹿?で明るく照らしてくれているのであります。 晴れ

 

 

 

 

結局は お金持ちに利用される庶民のリン達 という経済格差のお話ではありますが、

 

お金だけではない生き方のプライドと信念の重要性を描いている作品でもあります。

 

同時に、どこの国でも格差というものが非常に大きな問題だという事を思い知らされ

 

るのでした。 

 

 

 

 

ちゃんとしたテーマを描きながらも、エンターテインメント映画としてドキドキワク

 

ワクが楽しめる作品ですので、この機会にでもご覧になってみてはいかがでしょうか

 

です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

本作のエンディングソングです、ちゃんとモデルさんしてるリンちゃんでした。 音譜