1957年、デトロイト。自動車工場で完成したばかりの真っ赤なプリマス。そのエンジンチェックをしようとした工員はボンネットで腕をはさまれ、車のシートにタバコの灰を落とした別の工員は死体で発見された。時は経って1972年、カリフォルニア。内気な高校生アーニーは帰宅の途中で、放置されているボロボロの'58年型プリマスを見つけるとすっかり気に入ってしまい、衝動的にその車を買い取るのだった。アーニーは車をクリスティーンと名付け、見違えるほど綺麗に修理すると、特別な愛情を持ってその車に接するのだったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1983年制作のアメリカ映画 アメリカ です。 (110分)

 

ホラー小説の御大 スティーブン・キングが1983年に出版した同名長編小説を映画

 

化した本作。 出版前から既に映画化の企画がされていた作品です。   かなり昔、

 

〇曜洋画劇場で観て以来だったので、今回レンタルしてみました。

 

 

 


  高校生のアーニーは、いわゆるイケてない部類のチェリーボーイ。 さくらんぼ 友達が

 

いるものの、気弱で度々イジメのターゲットになっていました。 ある日、アーニー

 

は、友人デニスと学校の帰り道に、偶然、ボロボロになって打ち捨てられている 19

 

58年型プリムス・フューリーを発見します。 

 

 

 

 

その車に魅入られたアーニーは、デニスが止めるのも聞かず所有者の老人から車を購

 

入してしまいます。 以前の所有者はその車をクリスティーンと名付けていた​​​と聞き、

 

アーニーもそう呼ぶようになります。 

 

 

 

 

しかし、彼の支配的な両親はその事を許さず、アーニーは顔見知りの自動車工場へ持

 

ち込み、働きながらボロボロのクリスティーンの整備をして、新品に見違えるまでに

 

修理してしまいます。キラキラそれからのアーニーの生活は一変し、学校のマドンナ リー と

 

も付き合うようになり、両親にも意見するようになっていました。 

 

 

 

 

しかし、あまりにもクリスティーンを偏愛する彼に違和感を感じていたリーは、アー

 

ニーとのデート中にクリスティーンに殺されそうになります。ゲロー 同じ夜、アーニー

 

を快く思っていなかった不良グループが、工場に駐車したクリスティーンを襲撃し、

 

廃車にされてしまいます。 ナイフ  翌日、それを見たアーニーはショックを受けます

 

 

 

 

が、クリスティーンの一部が自分で修復するのを見ます。 クリスティーンの力を悟っ

 

たアーニーが、「よし、見せろ!」 と命令した瞬間、クリスティーンは自ら再生を始

 

めます。 そしてクリスティーンを破戒し、アーニーを苦しめた人間達への復讐を始

 

めるのでした、、。 

 

 

 

 

といった荒唐無稽なお話。 「ナイトライダー」を彷彿とさせますが、こちらは AI 

 

ではなくオカルトパワーと愛の力によって動くのであります。長編小説を映画化し

 

ている為か、アーニーの心理的描写にかなり大ざっぱな部分はありますが、学校と家

 

庭の両方で抑圧されていたアーニーが、クリスティーンに出会った事によって、徐々

 

に常軌を逸してくる主人公はキングの 「シャイニング」 を思い出させます。

 

 

 

 

低予算ながら、クリスティーン用に23台のプリムス・フューリーを用意したという

 

だけあって、車の描写はなかなか見物です。 特に自ら再生する場面は何台犠牲になっ

 

たのやら?という程に破壊され、逆再生によって見事に美しく復活するのでした。 

 

 

 

 

CGの無いこの場面の気持ちの良い事といったらたまりません。 復讐の為、ガソリン

 

スタンドに突っこみ火だるまになって疾走 メラメラ スタンド大爆発というサービスも

 

ありました。

 

 

 

 

アーニーの恋人リーに嫉妬して、殺そうとするクリスティーンがいじらしく、後半に

 

至っては車ながらも、一人のキャラクターにちゃんと見えてしまう恐ろしさがありま

 

す。ラストの盛り上がり場面に多少の間延び感がありますが、キャタピラーで踏んづ

 

けられるクリスティーンの姿を切なく感じてしまった私も、いつの間にか「カーズ」

 

並みに擬人化している事に気付くのでした。 しかし転んでもただでは起きないクリス

 

ティーンの姿に胸をなで降ろす私もアーニー予備軍なのでした。 ドクロ

 

 

 

 

世間からのはみ出しと、親からの支配と抑圧。 そこへ現れた魅惑の対象に惹かれ、心

 

さら持っていかれてしまう主人公を、他人事とは思えない不思議な感情になりました

 

事件を追う警察官役で、ハリー・ディーン・スタントンが出演していたのに驚きまし

 

た。昔の事で、完全に忘れていました。 再見の面白い所ですね。

 

 

 

 

B級ホラーで、怖さはさほどありませんが、とにかく女子なクリスティーンが美しく

 

妖艶であります。 そして個人的にこの辺りの時代感、絵面感がたまらない作品でござ

 

います。クリスティーンの心情を、カーラジオから流れるオールディーズの音楽とし

 

て聞かたりという憎い演出もするカーペンター作品。 手作り感満載で、意外と見所

 

のある映画だと思いますので、機会があればご覧になってみて下さいませです。 目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

エンドクレジットに流れる曲です。クリスティーンの叫びでしょうか? 音譜