1963年8月11日に公開された日本の特撮ホラー映画。変身人間シリーズの番外編的作品。 同時上映作品は「ハワイの若大将」

 

 

 

 

 

 

      -  マタンゴ  -  監督 本多 猪四郎  特技監督 円谷 英二 

 

 出演 久保明、水野久美、小泉博、佐原健二、太刀川寛、土屋嘉男、天本英世 他

 

こちらは1963年制作の 日本映画 日本 です。(89分)

 

 

 

 

  東京の病院に収容されている青年・村井研二が、自らが遭遇した恐怖の体験を語り始めた。 ある日、豪華なヨットで海に繰り出した村井たち7人の若い男女が嵐に遭って難破し、無人島に漂着した。 そこは、カビと不気味なキノコに覆われた孤島であった

 

 

 

 

波打ち際で唯一見つかった難破船には、少数の食料や未知のキノコ「マタンゴ」の標本が残されていたものの生存者はおらず、「船員が日々消えていく」と書かれた日誌や、「キノコを食べるな」という警告が残っていた。 また、船内の鏡はすべて割られていた。 

 

 

 

 

7人は当初こそ協力していたが、まもなく食料と女性を奪い合って対立する飢餓と不和の極限状態が訪れ、皆の心はバラバラになっていく。 また、島の奥からは等身大のキノコに似た不気味な怪物が出没し始め、1人、また1人と禁断のキノコに手を出していく。

 

 

 

 

 

唯一キノコに手を出さず怪物の魔手からも逃れ、ヨットで島を脱出した村井は幸運にも救助され、こうして病院へ収容されることとなったが、そこは精神病院の鉄格子の中だった。

 

 

 

 

難を逃れたはずが狂人として隔離されてしまった村井は、「戻ってきてきちがいにされるなら、自分もキノコを食べて恋人と島で暮らしたほうが幸せだった」と後悔し、窓から平和な東京の町を眺めて悲観に暮れながら鉄格子の方を振り返る。 病院関係者たちの好奇と畏怖の注目を集める村井の顔には、、。

 

 

 

 

日本のカルト映画の1本という事で長い間観たかった作品でしたが、この度やっと近所のT〇UTAYAに登場!早速レンタルして鑑賞する事が出来ましたよ。 で、それまで知らなかったのですが、この映画の原案にあの星新一さんの名前を発見。 調べたんですが映画のラストのアイディアを出しただけらしくちょっと安心致しました。

 

 

 

 

日本以外でも公開され、そのタイトルが 「アタック・オブ・ザ・マッシュルームピープル」という、もしやあのトマト映画にも影響を与えたんじゃないか?と勘繰ってしまうようなお名前。 あのソダーバーグ監督は本作のリメイクも考えていたという程で、海外にもこの映画のファンとトラウマになった方々が多くいらっしゃる模様です

 

 

 

 

綺麗なネオンが見える部屋に一室、「皆、僕のことをキ〇ガイだと思っているんですでも、僕はキ〇ガイではありません。しかし、僕の話を聞いたらキ〇ガイだと思うでしょうね」 という青年・村井の不穏なモノローグから始まる本作。

 

 

 

 

お話自体は至ってシンプルで、 ヨットで沖に出た7人の男女が嵐で遭難し、数日後に無人島へ漂着します。 その島はカビと不気味なキノコに覆われ、食料になりそうな生き物は生息していませんでした。 探索を続けると難破船を発見しますが、生存者はおろか遺体すらも見当たりません。

 

 

 

 

船内を捜索すると様々な実験機材と標本があり、その中にマタンゴという謎のキノコの標本を発見します。 残された日誌には「キノコを食べるな」と記されていました。 そこで僅かな缶詰を手に入れた彼らは、その謎の難破船で暮らす事を決め、島からの脱出といつ訪れるかわからない救助を待つ日々を過ごす事になるのですが、、。

 

 

 

 

ついついカルト映画というとチープでハチャメチャ、実験的で尖った作品を期待してしまいますが、意外にもこちらの作品はお話も演出もちゃんとしている事に驚きますてっきりマタンゴというおかしな生き物に人間が次々と襲われて、ゆる~いバトルを繰り広げる類の映画かと思っていたのですが、その期待は裏切られてしまいました。

 

 

 

 

マタンゴというキノコのモンスター?が登場するのは映画の後半に集中しており、物語の大半は食料も無い無人島でのサバイバルが中心に描かれているのでした。 そのような極限状態で起こる人間の欲望バトル、食料の奪い合いや女の取り合い、身分の逆転や裏切り、様々な誘惑といった人間の憎悪と醜い争いがドラマの大半を占めています。

 

 

 

 

遂に食料も尽きた極限状態の人間はその誘惑に負け、食べてはいけないとされているキノコを口にしてしまい、次々にキノコ人間へと姿を変えていくのでした。 最後までキノコを口にしなかった青年・村井はヨットで脱出し、奇跡的に救助されます。 しかし、彼が居る場所は隔離された精神病院の一室、そして、、というエンディングには星新一らしさが垣間見える後味が不気味な作品でありました。

 

 

 

 

ヨットの帆を模したお洒落なオープニングクレジットから始まり、ミニチュアのヨットや嵐の海、難破船やカビだらけの船内、謎のキノコの造形等のヴィジュアルといった特撮には全く安っぽさを感じませんし、黒澤作品でお馴染みの土屋嘉男やお色気担当の水野久美といった俳優陣の演技も普通のドラマとの相違がない見応えのあるものでした。時折、竹中直人と京マチ子に見えた若きお二人、、。

 

 

 

 

カルトらしさという面で言えばキノコの不気味なヴィジュアルとそれを食べた人間が変化したキノコ人間の造形の面白さでしょうか。 後半キノコ人間が村井を襲ってくるホラーな場面はもう少し怖く出来たのでは?と思う所もありますが、キノコ人間が外から船室を襲撃するシーンはその後のロメロ作品や「スリラー」等のゾンビ映画でよく見られるような演出がされていたりと、ゾンビ物の先駆けを感じるような場面も多々あります。

 

 

 

 

一応ホラー映画とされていますが、時代的なものもあってか恐怖よりも人間の本性を描いたようなドラマ作品で、水爆の恐怖や現代社会への皮肉も盛り込まれた、ある意味当時の世相を反映させた映画でありました。

 

 

 


人間の欲望の象徴のような、禁断のマジックマッシュルーム・マタンゴを絶対口にしたらいけません。 人間やめますか、それともキノコ人間になりますか?と、お馬鹿映画を観に行ったらお説教されちゃったみたいな落差のある不思議なキノコトリップ映画となっていますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませ、です。

 

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

欧米の予告動画です。 アレンジにお国柄が見えますね。 びっくり