第一次大戦下フランス、占拠した小さな村ごと英軍の部隊を吹き飛ばそうと大量の爆薬を仕掛ける独軍。 時間までに爆弾の撤去を命じられた英兵士が村に着いた時、そこは避難した住民の代わりに精神病院から逃げ出した患者で溢れていた、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1967年制作の フランス フランス イギリス イギリス の合作映画です。(102分)

 

日本語タイトルにちょっと構えてしまう作品ですが、原題は 「ハートの王様」 でトラ

 

ンプの絵柄を意味しています。 トランプハート  現在では カルト映画 になっている本作。

 

 

 

 

これを観ようと、いつものお取り寄せをしようと思ったのですがヒットせず、、。 諦

 

めていたところ (まだまだ他にも多数ありますが) 翌週にまさかの発掘良品で、映像

 

がリストアされたものがリリース! 即レンタルした私でした。  

 

 

 

 

  お話は 第一次世界大戦末期の1918年10月。 ドイツ軍に占領されたフラン

 

スの小さな町の出来事です。 イギリス軍に追撃されたドイツ軍は、その田舎町から撤

 

退する際に、イギリス軍を全滅させるため、大型の時限爆弾を仕掛けていきます。

 

 

 

 

その村のレジスタンスからイギリス軍に爆弾の情報が入り、​​​​​フランス語が喋れるとい

うだけの伝書鳩係の プランピックに任務を託されます。  

 

 

 

 

一人 村へとたどり着いたプランピックですが、村人は避難し誰も居ません。 しかし残

 

っていたドイツ軍と鉢合わせてしまい村の中を逃げ回ります。 そこで偶然入ったのが

 

精神病院。 患者達に紛れ難を逃れますが、自分は ハートのキング だと名乗った事で

 

患者達から王様扱いされてしまいます。 

 

 

 

 

任務を続行する為再び村を探索するプランピックでしたが、倒れて来た電柱に頭をぶ

 

つけ気絶してしまいます。 キラキラ 彼が気絶している最中、精神病院の患者達は病院を

 

抜け出して、村へと繰り出し思い思いの役を演じはじめます。  

 

 

 

 

プランピックが気絶から目覚めると、村は患者達で溢れ、楽し気なカーニバル状態に

 

変化し、架空の村へと変貌していました。プランピックに気付いた村人達は、彼を王

 

様として歓迎します。 そんなお祭り騒ぎの中でもプランピックは爆弾の在りかを探

 

すのでしたが、、。 といった内容です。

 

 

 

 

作品は反戦を含め、テーマ的に皮肉に満ちて深い所にあるのですが、映画はあくまで

 

もコミカルで楽しい作風で撮られていて、当時のフランス映画の優雅さを感じます。

 

 

 

 

精神病院の患者達の扱いも、いわゆるそれ風の描写にはなっておらず、患者と知らな

 

ければ普通に居るような?人達ばかりで、魅力的です。 

 

 

 

 

思い思いの衣装に着替え、それぞれ 司教や貴族、娼館のマダム、美容師、軍人になっ

 

て、今現在を楽しく生きる事を謳歌する姿はとても人間的で、彼等に爆弾の危機を告

 

げても、残された時間の中を必至に生きようとします。 

 

 

 

 

そんな楽しく、幸せに生きようとする彼等を見ていると爆弾やら戦争というものが馬

 

鹿らしいものに思えて、ついそこで暮らしたくなってしまう程です。

 

 

 

 

プランピックも同様に、好意を持った彼等を爆弾の危機から避難させようと、村から

 

連れ出そうとしますが、彼等は村の敷地から外へ出ようとしません。 そればかりか、

 

王様のプランピックに 「お戻りください、外には野蛮な獣がいます。外の世界は邪悪

 

です。」と、反対にプランピックを心配して村に残るよう懇願されてしまうのでした

 

 

 

 

なんとか爆弾騒ぎが終息し、それぞれ勘違いしたドイツ軍とイギリス軍が村へとやっ

 

て来ます。 鉢合わせした両部隊が向かい合って撃ち合いになり、全滅するのを患者

 

達が教会のテラスから見ている場面は、戦争という行為の愚かさをとても皮肉でユー

 

モラスに伝えてくれます。 ドンッ 銃   

 

 

 

 

その姿を見て幻滅した患者達は 「芝居は終わった、病院へ戻ろう」 と言ってプランピ

 

ックに別れを告げ、衣装を脱ぎながら精神病院へと帰って行きます。 そして自ら病院

 

の門に鍵を掛けるのでした。  

 

 

 

 

残されたプランピックは軍から勲章を与えられますが、すぐに次の戦地へ就く事を命

 

じられます。元の姿を取り戻した村を軍用車の荷台で見るプランピック。 そして、あ

 

の精神病院の前をものうげに見つめる彼は、ある行動をとるのでした、、。

 

 

 

 

鑑賞後なんともいえない感情になり、つい拍手してしまった私でありました。 映画

 

に登場する様々な事柄に疑問を呈した作品ですが、それを声高にうたう事無く、全て

 

をユーモアに包んでいる所にとても好感を持ちました。 狂っているのは一体どっち

 

なの?と考えさせられます。 

 

 

 

 

同時に生きるという事に前向きな患者達の迷いや計算のなさ。反戦の映画でありなが

 

ら、生きる事の喜びや、勇気を与えてくれるような作品です。内容もさることなが

 

ら、作品をここまで明るくポジティブにしているのは、俳優陣は勿論ですが、ディテ

 

ィールまで凝った衣装や小物、そして素敵な音楽が、この架空の村という小宇宙を魅

 

力的に形成しているのでした。 地球

 

 

 

 

そんな訳で、私的にはとても楽しめた映画です。 バックグラウンドに戦争があります

 

が、とてもフランス的なファンタジックな映像と音楽が楽しめる作品になっています

 

ので、美しく蘇ったこの機会にご覧になってみてはいかがでしょうか、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー