映画 「ミッドサマー」 公開によって再注目された本作は、スコットランドに古くから伝わる原始的宗教が生き残る島を舞台にしたミステリアスなスリラードラマ。

 

 

 

 

 

 

       -  THE WICKER MAN  - 監督 ロビン・ハーディ

 

出演 エドワード・ウッドワード、クリストファー・リー、ブリット・エクランド 

 

こちらは1973年制作の イギリス 映画 イギリス です。(100分)

 

 

 

 

  スコットランド・ハイランド地方西部の警察に勤める中年の巡査部長ニール・ハウイーは、ヘブリディーズ諸島のサマーアイルという孤島で行方不明になった少女ローワン・モリソンを探してほしいという匿名の手紙を受け取ります。 ニールが飛行艇で向かった先で見たものは、島の領主サマーアイル卿のもとでキリスト教の普及以前のケルト的な自然崇拝が復活していた風景でした。 島民は農業に励む普通の生活を送っていましたが、宗教生活や性生活だけは他のイギリス人と異なっていました。 彼らは生まれ変わりを信じ、太陽を信仰し、子供たちに生殖と豊作を願うための性的なまじないを教え、大人たちは裸で性的な儀式に参加していたのでありました。

 

 

 

 

ニールは非常に厳格なキリスト教を信仰しているため、これらの風習に衝撃と嫌悪を懐きます。 島の宿では、あるじの娘が艶かしい踊りと歌でニールを誘惑し、彼を困らせます。 「五月祭」の近づく中、島民は準備や儀式に忙しく、彼の捜査はなかなか進みません。 教師や役人も含め、島民たちは「ローワンという少女はここにはいない、最近死んだばかりだ」と口をそろえるばかり。 ニールは島の権力者であるサマーアイル卿のもとへ行きますが、そこで彼はサマーアイル島の物語を聞かされます。 サマーアイル卿の祖父の世代、凶作が続いたためにみんなでキリスト教を捨てて古代の宗教儀式に戻ったところ、島は豊作になり、リンゴの名産地になれたといいます。

 

 


 

 

ニールは次第に、行方不明になった少女は、この島で人身御供として殺されたか、あるいはこれから殺されるのでは、との疑念を抱くようになるのですが、、 というお話です。一部熱狂的ファンがいるカルト映画に位置付けられている作品で、日本では1998年になって劇場公開された作品です。カルト映画 と言うと、つい 難解であったり、あまりにもぶっ飛んだ内容、というイメージがありますが、こちらの作品は何と言うか、私にはサービス精神旺盛な映画という印象でした。サスペンス ホラー 推理 ミュージカル コメディ エロティック そして神様 までもがこの一本で堪能出来てしまうお得な映画でございます。

 

 

 

 

別の土地から来た男が村を捜索するという展開に、つい 金田一耕助 の 「獄門島」 を彷彿とさせ、土着的な因習という所も余計に横溝正史の世界を連想させるのでした。そのくせ、フォークソングを歌ったり、裸のダンスがあったりと、摩訶不思議な ヒッピーなポップ感もあります村人が普通に暮らしている中、一人 必死で捜査している ニール巡査の行動は、目線を変えるとコメディのようでもありますし、ニール巡査 目線からはそんな島の人間が不気味なホラーにも見えます。 笑いと恐怖は、紙一重だとつくづく思い知らされるのでした

 

 

 

 

映画前半から既に ニール巡査 はキリスト教を軸として物事を見ているので、それに背く行為や発言に嫌悪感を抱き、キリスト教こそ正しい教えとして、その価値観を強要し、その上 本土の警察という権力をも持っている為、常に村人を上から目線で見ているという構図に現代人への若干の皮肉を感じます。しかし村人達には何も響かないという逆目線もまた面白い所でありました。

 

 

 

 

ラストには正に、キリスト教vsペイガニズムの闘いとなるクライマックスが用意され最後に登場する ウィッカーマン (柳の枝で編まれた巨大な人型の檻) の巨大なオブジェ的な物体の存在感が圧倒的な迫力を見せつけます。 それはまるで巨神兵のようでもあり、ジャコメッティのブロンズのようでもあるその巨大な物体が、最後映画の全てを持って行ってしまう圧巻の迫力たるや、正に映画の醍醐味を感じさせてくれますその一大クライマックスで映画はエンディングを迎えるのでありました。

 

 

 

 

本作はまるで残酷な 「不思議の国のニール巡査」 の様相を呈したような作品でした。作中ではウサギもポイントになっていましたし、仮装した村人達の姿もまさにそれをイメージさせるものでした。 紳士的、でもどこかおかしい島の領主を、若きクリストファー・ リーが怪演していて、そこもポイントの一つです。

 

 

 

 

「ミッドサマー」と見比べるのも(あちらの作品がまた違って見えてくるかもしれませんが)楽しい作品ですので、普通の映画に飽きた方は、このちょっと風変わりな作品でもご覧になって、気分転換してみてはいかがでしょうか。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

男子生徒の音楽の時間です。中央の木が男性シンボルの象徴 腰に紐が何とも、、