デイモンと娘シーは貧困から抜け出すため、希少な宝石が眠るという汚染された惑星へ向かう。 有害な林の奥深くへと入り込んでいく父娘だったが、そこには彼ら以外にも何者かが潜んでいた。 大金を生み出す危険な惑星で、欲と生き残りを賭けて奔走する父娘だったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (97分)

 

インディペンデント系 低予算のSF映画の本作。 設定はSF作品ではありますが、

 

過去のゴールドラッシュ時代を描いた 「黄金」 や 「黄金狂時代」 にも通じる所が多

 

く、西部劇的なエッセンスも散りばめられた作品です。

 

 

 

 

  宇宙船に繋がれた一台の小型ポッドがある惑星へ向けて離脱します。 ポッドに

 

乗っているのは父 デイモンと娘の シー。 彼らは貧困生活から逃れる為、一攫千金を

 

狙って希少な宝石が眠っている、汚染された惑星へと向かっていました。 その惑星は

 

有害な物質が漂う森に覆われていました。 

 

 

 

 

到着した二人は林の奥深くへと入り込んでいき希少な宝石を見つけますが  ゆめみる宝石  より

 

多くの石が眠っているという 「女王の巣」 と言われる場所へ向かうと告げる父。 仕

 

方なく従う娘のシーでしたが、その道中で二人の怪しげな男に出くわします。 無理な

 

要求をする男達に反撥した父は一人を殺しますが、自らも命を落としてしまいます。 

 

 

 

 

シーはポッドに逃げ帰りますが、着地時に故障したポッドは動かず途方に暮れます。 

 

父を殺した男 エズラが訪れ、「女王の巣」の宝石と、帰還するポッド という交換条件

 

で行動を共にする事になるのでした

 

 

 

 

本作はSF映画ですが、クリチャー的なエイリアンは登場しませんし、いつの時代な

 

のかという設定や、そもそも地球というワードも登場しない不思議な世界観です。 

 

反面、作品の魅力の多くが70年代を思わせるヴィジュアルデザインとそのディティ

 

ールで、ポッドの中の機械類やディスプレイ、モニターに映されるグラフィックもか

 

なりアナログ的。 

 

 

 

 

彼等の着る宇宙服もかなり使用感があり、呼吸器のフィルターを掃除したり、共同で

 

使用する為、互いの宇宙服をチューブで繋いであったりします。 銃一つとってもオ

 

リジナルなデザインですが、レーザー銃ではなく、手入れをして弾を込めるという凝

 

りようで、銃 そういった細かなディティールの積み重ねと、ほとんど多くの場面が

 

実際の森の中で撮影されている事で、不思議なリアリティーを生みだしています。 

 

 

 

 

B級的な面白さこそありますが、意外と安っぽさは感じない画に仕上がっています。

 

物語の多くは父を殺したエズラとシーが 「女王の巣」 へと向かう道程がメインとな

 

り、その過程での二人の心の交流や、極限状態に置かれた事によって明らかになって

 

いく人間性と変化が緩やかに描かれています。  

 

 

 

 

傍に居ながらシーの本質を理解せず自己中心的な行動をとっていた父と、保身の為と

 

はいえその父を殺したエズラの方がシーを理解しようとし、彼女の夢や言葉に耳を貸

 

すという皮肉な展開が、この単純な物語に奥行きを持たしています。

 

 

 

 

そして最も重要なのが主人公となる二人の魅力です。 シーを演じるソフィー・タッチ

 

ャーという少女。 本作しか情報はありませんが、幼くして辺鄙な惑星に一人残された

 

少女の絶望と、生きて故郷へ帰ろうとする力強さを見事に演じきっています。

 

 

 

 

その彼女の父を殺してしまうエズラを演じるのが 「キングスマン: ゴールデン・サー

 

クル」等の ペドロ・パスカル。 最初はただの悪役の荒くれ者のようなキャラクターで

 

したが、徐々に人間性が明らかになり、中盤からは父性を感じさせるような存在に変

 

化していく様は彼のルックスも相まって、とても人間的な魅力を感じさせてくれます

 

 

 

 

基本はSF映画ですが、ロードムービーであり、バディムービーでもあり、少女の成

 

長の物語でもあります。 派手なSFアクションを期待すると裏切られるかも知れま

 

せんが、静かなテンポで、胞子が浮遊する緑深い森の中を歩く映像は、どこか 宮崎駿 

 

の映画を思わせるものがあります。 

 

 

 

 

ストーリー自体にSF感はさほど感じませんが、SF映画のもう一つの魅力である機

 

械や装備、文字に至るまでのディティールのこだわりは、それだけでも見て楽しむ事

 

が出来ますし、主人公二人も魅力的です。 キラキラ

 

 

 

 

そんな訳で、いつもと違ったSF映画をご覧になりたいという方には興味深い作品ですの

 

で、機会があまりしたらご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー