フェルディナンは、不幸な結婚をしていた。 退屈な生活から逃げ出したい衝動に駆られていたフェルディナンは、ふと出会った昔の愛人である マリアンヌ と一夜を過ごすが、翌朝見知らぬ男性の死体を見つけ、彼女と共に逃避行を始める、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1965年制作の フランス フランス イタリアイタリア の合作映画です。(110分)

 

ヌーベルバーグの旗手 ジャン=リュック・ゴダール の代表作の一本で、初期作品の常

 

連の ジャン=ポール・ベルモンド と アンナ・カリーナ のコンビによる作品です。

 

実は ゴダール作品はあまり観た事がなく、(勝手にしやがれ程度) 断片的に観ていた

 

本作をちゃんと鑑賞したのは今回が初めてでした。

 

 

 

 

ナゾの人  映画を観て、それまでの印象とは格別違わなかった事が、逆に驚いた私。 それ

 

は、映像のイメージ通りだったからでしょう。

 

この辺りの作品は まだ、商業映画として作られていて、(それでもかなり実験的) 一

 

応のストーリーに沿って物語は進んで行きます。 

 

 

 

 

不幸な結婚生活を送っていたフェルディナンは、妻に誘われ嫌々パーティーに出席し

 

ます。 退屈なパーティーを早々に抜け出した彼は自宅へ戻ります。 自宅に戻るとそ

 

こにいたのは、ベビーシッターとして来ていたマリアンヌ。 

 

 

 

 

彼女はフェルディナンのかつての愛人でした。 フェルディナンは終電車を逃したマ

 

リアンヌを車で自宅まで送る事になりますが、互いにまだ愛している事を確認し、一

 

夜を過ごします。 

 

 

 

 

朝起きると部屋に死体が転がっていました。 そこはフランクという男の家。マリアン

 

ヌは彼の愛人でした。帰宅したフランクを酒瓶で殴り、二人の逃避行が始まる、、。 

 

 

 

 

といったお話ですが、私的に感じたのは、これはあくまでも映画として成立させる為

 

のプロットであって、本質はそこに挟み込まれる多くの言葉や、詩、本からの引用。 

 

ここで既に顔を覗かせている ベトナム戦争 への政治的批判の比喩。それに反して美し

 

い、白、青、赤 のトリコロールカラーを基本とした映像と、避暑地の海と自然とギラ

 

ギラした太陽をバックに繰り広げられる二人の犯罪逃避行。  

 

 

 

 

ちゃんとした脚本が無く、即興で撮影されていたという本作は、映画のストーリーを

 

物語るというゴールが目的ではなく、その瞬間の監督、演者のエモーションと感性で

 

作られた作品に見えます。

 

 

 

 

劇中、フェルディナンがパーティーで出会った映画監督に質問する場面で、彼が監督

 

に聞きます 「いつも映画とは何かを知りたかった」 監督は答えます 「映画は戦場の

 

ようだ、愛、憎しみ、行動(アクション)、暴力、死、つまり感動だ」 正にそれを実

 

施しているのが本作です。 二人は逃避行の道中で、車を盗み走ります。  DASH! 

 

 

 

 

海岸で過ごしたり、お金を盗んだり、火を付けたり、ボーリングしたり、ボートに乗

 

ったりキスしたりと。ある種のアクション映画のように、ラストでは銃撃があったり

 

して、ルックスは映画の王道を辿っています。 ただ、あくまでも見た目である所が

 

この映画を特別な作品にしている事は間違いありません。

 

 

 

 

ついつい編集や、時に哲学的なセリフや撮影方法等の、技術的な部分に目が行きがち

 

ですが、この作品を特別なものにしている大きな要因に、主人公を演じる二人の演者

 

の魅力が大きく貢献している事も確かで、男性なら確実に憧れる ジャン=ポール・ベ

 

ルモンドの漂々としたカッコよさと、アンナ・カリーナの可愛らしい華やかさのコン

 

ビネーションは素敵の一言です。 

 

 

 

 

あまりにも大きい ジャン=リュック・ゴダールという名前に、つい身構えて観てしま

 

いがちですが、普通にご覧になっても楽しめる 「映画」 という 娯楽芸術作品だと思

 

います。

 

 

 

 

「男と、女と、車があれば映画は出来る。」という名言をのこしているゴダール監督

 

正に、その言葉を実践したような作品ですので、この機会に気軽にご覧になってみて

 

はいかがでしょうか、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

以前作った動画に、本作からタイトルを頂いたYMOの楽曲がありましたので。  音譜