美しくてかわいく、それでいてどこか謎めいたところのあるリズボン家の5人姉妹。 ヘビトンボが、美しい郊外の街を覆いつくす6月、そんな5人姉妹の末妹セシリアが聖母マリアの写真を胸に抱きながら、剃刀で腕を切った。 一命はとりとめたものの、彼女は数日後、自宅で開かれたパーティーの最中、窓から身を投げて命を落とす、、

 

 

 

 

 

 

こちらは1999年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (97分)

 

以前にも数本ご紹介した ソフィア・コッポラ 監督のデビュー作となる本作。  キラキラ

 

鑑賞後、既にこのデビュー作で自身の映像世界を確立していた事に驚いた私。

 

二世のハンデをものともせず、着実に作品の評価で フィルムメーカー として自分の地

 

位を築いたのは素晴らしい事ではないでしょうか?。

 

 

 

 

 

 

本作は 「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」 という小説を読んだ彼女が気に入

 

り、自身で脚本を書いて映画化したという作品で、 鉛筆 思い入れが強い内容です。

 

ナゾの人 舞台は1970年代のミシガン州。閑静な住宅街で暮らしていた リズボン家の

 

5人姉妹。 その末妹、13歳のセシリアが自殺未遂を起こします。 命をとりとめ

 

ますが、数日後、彼女の為に開いたパーティー中に、2階から飛び降りて自殺してし

 

まいます。

 

 

 

 

 

 

 

その現場を見た両親と、残された姉妹4人のその後の短い人生が、美しい映像で綴ら

 

れていきます。  彼女達が亡くなる事は、既に映画のオープニングで物語られている

 

為、観ているこちらは、その理由を探るように観ていますが、漠然としたもので、ち

 

ゃんとした 理由 を見つけられないまま彼女達は自ら命を絶ってしまいます、、。

 

 

 

 

 

 

映画はその明確な理由を提示しませんし、その必要を否定したような作りが、この作

 

品の核でもあります。  ありきたりな表現かも知れませんが、女性監督でしか出来

 

ない繊細な演出と、映像表現が本作の大きな魅力になっています。 回顧場面に多く

 

みられるオレンジがかった淡い映像に代表されるキラキラと美しい彼女達の姿。  

 

それは若さや命と同じように、儚さと刹那。そしてメランコリーな雰囲気を嫌でも感

 

じさせます。 姉妹を自殺に追いやったものは、そこに映し出されているものの中に

 

隠されているのでしょうけれども、、。  流れ星

 

 

 

 

 

 

映画の前半で自殺未遂に終わったセシリアが、医師に問診を受ける場面があります。 

 

医師が 「なぜこんなマネを? 人生のつらさも知らん若さで、、。」  との問いに セシ

 

リアは、「先生は13歳の女の子じゃないもの」 と答えます。 これが全てではない

 

でしょうか はてなマーク   他人が理解しようとする理由なんて、何もないのです。 輝いている

 

瞬間に気づいてしまった時、何故か淋しさや孤独感に敏感になってしまう事ってあり

 

ませんか、、?     そんな瞬間を切り取ったような作品ではないでしょうかね。

 

 

 

 

 

 

個人的に印象深い場面は、軟禁状態になった姉妹と男の子達が、電話を介してレコー

 

ドを聞かせ合う場面です。 ネットがなかった時の、良きアナログ感が伝わる 憎い

 

演出でした。 

 

出演は ソフィア・コッポラ作品の常連となった、キルスティン・ダンスト、ジェーム

 

ズ・ウッズ ( 本作では、いつもの役柄とは違った優しいお父さんで、逆にインパクト

 

がありました。)

 

 

 

 

 

 

キャスリーン・ターナー (体型が母親体型)、ジョシュ・ハートネット (カツラで時

 

代感)、何故かの スコット・グレン と ダニー・デヴィート に マイケル・パレ。 

 

そして地味ながら、ダークサイドに落ちる前の ヘイデン・クリステンセン も出ており

 

ましたよ。 

 

 

 

 

 

 

音楽とファッションにも定評のある監督のセンスが、本作で既に現れていて、そこも

 

楽しめるかと思います。

 

そんな訳で、少女と大人の中間の時期にある、「儚さ」 を映像に収めたような映像

 

作品でございますので、興味が湧きましたらご覧になってみて下さいませ、です。

 

 

では、また次回ですよ~!  バイバイ

 

 

 

 

 

 

 

つい好きな 大貫妙子さんの歌に映像を乗せてしまいました。 宜しければです。  音譜