ハリウッドセレブが邸宅を構える高級住宅街カラバサス セレブたちの華やかな生活にあこがれる少女ニッキーら5人組は、いたずら半分にセレブの豪邸をインターネットで調べ、空き巣を繰り返してブランド物を次々と盗み出していく 出来心ではじめた冒険だったが、やがて5人は後戻りのできないところまで足を踏み入れてしまう、、、

 

 

 

 

 

  -  THE BLING RING  -   監督 脚本 ソフィア・コッポラ

 

 出演 ケイティ・チャン、イズラエル・ブルサール、エマ・ワトソン、

                                                                              クレア・ジュリアン 他

 

こちらは2013年制作の アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本の 

                                                                       合作映画  です。(90分)

 

 

2008年から09年にかけて実際に起きた 若者達によるセレブ宅での窃盗事件を映

画化した本作。 監督は 「ロスト・イン・トランスレーション」 「マリー・アントワネット」 等で、数々の華々しい受賞歴をもつ ソフィア・コッポラ です。

 

 

 

 

   ハリウッドセレブが多く住む 高級住宅街カラバサス にある高校に、いけてない男子のマーク が転校してきます。  しかし、学校ではマークは歓迎されていませんでした。そんなマークに話しかけて来たのが レベッカでした、親しくなった二人は、あるパーティーの帰り道に鍵のかかっていない車から、たまたま現金を手に入れる事に成功します。 これに味をしめた レベッカはマークの裕福な知人が旅行で家を空けている事を知り、その家に二人で侵入しようと計画します。 

 

 

 

 

楽々と邸宅に侵入出来てしまい、ベッドの下から大金を発見! それをくすねてショッピングを楽しむ二人。   夜には知人の集まるクラブへと出かけ、レベッカの女仲間と楽しむマーク そこには セレブの パリス・ヒルトン や キルスティン・ダンスト の姿が ビックリマーク 今までの生活にない刺激にマークのテンションは最高潮に達します。 

 

 

 

 

ある日マークがネットを見ていると、パリスがベガスでパーティに行くことを知り、レベッカに伝えます そこでレベッカはマークにパリスの自宅の所在を調べてもらい、パリスの自宅に侵入する事にします そう簡単には侵入出来ないと思っていたマークでしたが、なんともセキュリティは甘く、自宅の鍵に至っては玄関マットの下にあるというずさんさ。  あっけなく自宅に侵入に成功してしまいます。 そこで見るセレブのプライバシー空間 しかしレベッカにはそんな事よりも、雑誌で見かけた様々な高価なブランド品の数々に夢中。

 

 

 

 

好みの品を盗んでそそくさと退散  いつものクラブで友達に自慢してはSNS用の写真をパチリ、話しを聞いた友人は自分達もパリスの家に行きたいと告げ、5人で再び邸宅へ侵入しに向かい、好き勝手に騒ぐのでありました。 二人は帰る途中たまたま止まっていた車からドラッグを手に入れます。  そこからは タガが外れたように 5人は様々なセレブ達の家を狙っては侵入を繰り返し、クラブで騒ぎ、ドラッグに明け暮れる日々。 さすがにそんな彼女等にも終わりの日が近づいているのでありました、、、

 

 

 

 

映画は犯罪映画というよりは、青春グラフィティーのような映画に仕上げられています これまでの彼女の監督作同様、ポップでお洒落な映像が展開され、女性が憧れるような シャネルやディオール、ドルチェ&ガッバーナ といったハイブランドなファッションを雑誌を見るような感覚で眺める事が出来ます。  

 

 

 

 

「Vanity Fair」誌で 「容疑者たちはルブタンを履いていた」 というタイトルの記事でとりあげられた程で、劇中に登場する パリス・ヒルトンの家は、実際の彼女の家で撮影されているという徹底ぶりで、ウォークインザクローゼットや、高価な靴が並ぶザ・セレブの際限のない飽食部屋のインパクトには呆気にとられてしまいます。 

 

 

 

 

面白いのは、彼女達はセレブ本人には興味がなく、有名人として登場している雑誌に写るセレブという虚構の肩書や、そのファッションの方に興味があるという事です。 セレブのプライバシーを可視化できるSNSや、誰もがスターになれると錯覚してしまうリアリティ番組等で、現実と虚構の境界を見失ってしまった若者の幼稚な欲望が暴走します。それは彼女達の犯行を見るとより分かりやすく、犯罪を犯しているなどという意識は微塵もなく、侵入する時は手袋すらしていません。 罪悪感なく室内をキャピキャピ言いながら物色する姿は、貸し切りでショッピングしているのと大差ありません。

 

 

 

 

この映画を観終わっても何も残りません ただ若者がセレブの生活に憧れて盗みを働

き、罪の意識も、反省の気持ちもなく、捕まるまでのお話です。 しかし、それこそが監督の意図を感じます。 この空虚な物語こそが最も現代を捉えているように思えますだからこそ現在のセレブ至上主義とSNSに支配された若者のカルチャーを象徴しているこの事件を、ファッション雑誌のような感覚でそのまま映画化する事に意味を見い出したのではないでしょうか? 

 

 

 

 

セレブという不確実な存在に憧れた若者、高級品自体にではなく、セレブの真似をする事で 「そんなセレブ気分」 に自分もになった錯覚 を楽しむ彼女達の刹那な瞬間にこそ、生きている実感を見い出していたのかも知れません。

 

 

 

 

本作は 金銭目当ての泥棒の物語 ではなく 周囲から注目されるセレブになりたい若者 

の空虚な浪費物語であります。 映画の中でガラス張りのセレブの家に侵入し、室内をうろつく二人を丘の上から撮影したロングショットがあります。 何も語らない印象的なその場面こそが彼女達の全てを物語っているようでした。 そして、本作に登場するセレブの方々は、皆ガラス張りのお家がお好きのご様子です。

 

 

 

 

この作品には「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニー役でお馴染みの エマ・ワトソン も悪友の一人として出演していますが、他にもカメオ出演で、キルスティン・ダンストやパリス・ヒルトン、リンジー・ローハン等が出ておられます まぁ、あくまで映画のオマケとして花を添えている程度でありますが、、、

 

 

 

 

ソフィア・コッポラ監督の独特な世界観と 映像、音楽センス、その中で繰り広げられる現代の若者の暴走と空虚な日常。 現代的なテーマを扱った作品ですので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませです。

 

では、また次回ですよ~! パー