第二次世界大戦も終局に近づいた1945年の春。 デトロイト郊外の小さな街に、子供の頃からの夢を追い求める1人の男がいた。彼の名はプレストン・タッカー。 9歳の時にホレ込んだ自動車産業に身を置き、最愛の妻と4人の子供達と共に幸せな日々を過ごしていた彼は、折りからの戦時体制で自らの工場が戦車や砲台作りに追われていても、自分の理想とする車を自らの手で作り出すという夢を捨てずに生きていた。 自らが設計し完成予想図を付けたモデル・カーを持って奔走し、そしてその熱意と車そのものの持つ革新的なスタイルと性能は次第に人々を魅了していった。 しかし、、

 

 

 

 

 

 

こちらは1988年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (111分)

 

ナゾの人 1945年 自分が夢見た自動車製造を始めた実在の人物  プレストン・タッカー 

 

を描いた伝記映画です。監督は私の大好きな フランシス・フォード・コッポラ。  

 

 

 

 

そして製作にジョージ・ルーカス という豪華さです。   実は ルーカスのデビュ

 

ー作 「THX 1138」 と、次作 「アメリカン・グラフィティ」 の2作は、コッポラ

 

が製作を引き受けてあげた間柄で、当時 諸々の事情で 札束 小規模な作品しか撮れ

 

ていなかったコッポラに、恩返しの意味も含めて、ルーカスが製作総指揮を買って出

 

て映画化出来たという、コッポラ念願の企画です。

 

 

 

 

公開された当時、劇場に観に行き、ビデオまで持っていたという、個人的にもかなり 

 

思い入れのある作品です。 コッポラ最後の はてなマーク パワフルな作品と、勝手に思っている

 

私でして、主人公のタッカーと、コッポラをダブらせてしまいます。

 

 

 

 

 

今回DVD化された事で、ボーナス映像が いくつか入っていて、中々面白い発見があ

 

りました。  映画のオープニングが古めかしい感じになっているのも、当時のタッカ

 

ーがテレビ用のCM (ご本人も出演されておりました) に制作していたものの再現だ

 

ったり、実物の車 タッカー・トーピード  (車の名前) 発表会のバックステージでの

 

ゴタゴタ等、かなりのエピソードが事実に基づいたものだった事に驚きました。  クラッカー

 

 

 

 

この作品が製作されるかなり前から構想されていたようで、当時はミュージカルにし

 

ようとしていたという名残が随所に表れており、様々なアレンジのジャズが全編通し

 

て流れています。 その音楽に乗せ、映画はタッカーを、ポジティブでパワフルな人

 

物に描いています。そして家族と仕事仲間を愛し、信頼している という、かなり好感

 

の高い人物を嫌味なく感じさせてくれるのが ジェフ・ブリッジス 。彼の笑顔に全て持

 

っていかれてしまうのでした。

 

 

 

 

映画は家族、仲間と、一つの物を作っていくモノ作りの過程の楽しさ。それを実現し

 

ていく面白さを共有させてくれます。 そして、それを阻もうとする様々な圧力。そ

 

れを乗り越えようとする行動力と発想。 後半はそれを試される裁判劇と、映画の面

 

白味が満載です。 ビックリマーク

 

 

 

 

とにかく彼が作った車 タッカー・トーピード の美しさは、特にクルマ好きでない私で

 

も欲しくなるような出来栄えで、アールデコ 好きにはたまらないフォルムであります

 

 

 

 

これを撮影しているのが、これまた私の大好きな ヴィットリオ・ストラーロで、光を

 

撮影させたら ピカイチなお方。 それだけでなく、この作品ではかなり実験的な撮影も

 

されていて、壁を挟んで、別の場所で電話している二人の人物を一つのセットで撮影

 

していたり、コラージュのような面を、実は同時の画面で撮影していたりという (普

 

通に観ていれば気付かないような所をわざわざ) 細かな部分を楽しんで作っているの

 

でした。 

 

 

 

 

映画のクライマックスとなる裁判の場面で、詐欺事件の被告人となったタッカーが最

 

終弁論で、陪審員席に向かって、自らの信じるアメリカの 自由・正義・未来 を訴える

 

シーンで語る 「 自由な 企業組織を作り、そこでは誰だろうと、どこから来ようと、

 

どの階級だろうと、好きな分野で名案を思いついたら、その発想を自由に伸ばせた。 

 

 

 

 

でも私は生まれるのが遅すぎました。  ~ (ためらいながら) その投下で、、日本や

 

ナチスを打ち負かした。 もし大企業が一個人の発想を押しつぶせば、進歩を閉ざすば

 

かりか今までの汗と涙はムダになります。 

 

 

 

 

いつか我々の知らぬ間にこの国はどん底に落ちてラジオや車を敗戦国から買う事にな

 

る!~ これはないでしょうが、、。」  これはあくまで脚色ですが、コッポラの

 

個人的な考えが入った言葉が (時代的背景も含めて)盛り込まれている気が、ひしひ

 

しと伝わって来ます。

 

 

 

 

実際この タッカー・トーピード は、他の大手自動車会社が目をつぶっていた安全面

 

に、かなり配慮されていた車で、シートベルトをいち早く取り入れたり、衝突した際

 

にフロントガラスが前方に脱落するような仕様と、ガラスによるケガをしないよう

 

に 飛散防止ガラスの採用や、車内も衝突した場合ケガをしないような内装仕様だった

 

りと、かなり先進的だったのに、、。

 

 

 

 

長々と個人的な思い入ればかり書いてしまい、映画自体のご紹介になっていませんね

 

そうそう、地味に若き日の クリスチャン・スレーターも息子役で出演されています。

 

初々しいお顔立ちです。 ウインク

 

 

 

 

そんな訳で、車の映画ではなく、家族愛、仲間の大切さ、夢を持つ大事さと、それを

 

叶える為に、どう生きるか。 という コッポラからのメッセージが詰まった力強い作品

 

ですので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  バイバイ

 

 

 

 

 

 

 

以前制作してみたサントラ動画です。気が向いたらご覧になってみて下さい。  音譜